❨252❩1972.5.10 水 曇 ついに飛行機に乗ったゾ!/プンタアレーナス:チリ(Puerto Montt→Punta Arenas:Chile)
生まれて初めて飛行機に乗った。それも最果ての町へ向かって。
天気が悪かった為に、予定よりかなり遅れた。
バスで飛行場まで行く。旅費529エスクド。
飛行場での荷物チェックはいい加減で、はかりが小さく、自転車は前輪を乗せて計量。
15kg以内無料で、ちょうどその15kgーーモウカッタ、モウカッタ。
しかし、ズボンから上着、腹の中にはフライパンまで重いものを殆んど身につけて、荷を軽くする為に苦心した。
1時40分発(プエルト·モント)
3時40分着(プンタレーナス)
初めての空の旅、ちょっと心配があった。
下界は雪景色だった。 それに今日は雲を上から見下し、何ともいい気分だったことか!
離陸・着陸の際、知らぬ間に緊張していたが、無事目的地に着いた。
一時四十分、出発。
初めて見る上からの雲、白い海の様だ!
殆んど揺れもなく、これで動いているのかと思った。
爆音だけが、飛んでいることを思わせる。
乗客は少なく、席はガラガラ(60~70人乗り)。
ちょうど中央の席で窓ぎわ、翼がちょっと視界を妨げる。
今、陸地が見えた。山に雪がある。
ピラミッドのようでスバラシイ!
白い雪を頭にかぶった山々、その白さが青い 海と対象的で、なんとも云えない美を作っている。
所々雲がかかっており、それがまた神秘的でさえある。
ちょっと揺れ出した。気圧の加減だろう。
下から見れば見上げなければならない山や雲、 今日だけは俺が見下してやる。いい気分だぜ。
アナウンスで今、8200mの上空を飛んでいるといった。
まっ青な空が見えて来た。
あちこちに湖があり、ある所は赤茶けた山肌を見せている。
時間が経つのが実に速い。もう一時間になる。
後ろの方を眺めると、湖に太陽が当たって金色に輝いている。美れいだ。
サンドイッチとスープが配られて来た。
湖は氷が張っている様だ。
ここは一面雪におおわれていて、川も所々が雪で消えている。
やがて下降が始まった。雲の海がまた近づいてくる。
ああ 無事、プンタ・レーナに着いた。
よかったよかった。
三時四〇分着
飛行場を出てすぐ走り始める。
ここでは氷が張っているが、それ程寒くない。
一路、アルゼンチン・ブエノスアイレスへ。
周囲は総て草原。広いが、何もない。
10km位行くと舗装が切れた。が、それ程ひどい道でもない。
夕方、草原の道脇に一軒ホテルがあった。
現金があれば入ったが、残金少なく、出国・入国の時コミッションを取られるのではないかと思い、ホテルをケって、野宿に決めた。
海を右手に30km走ると、漁師のほったて小屋があり、飛び込んだ。
雨はないが、強烈に風が冷たく寒い。
さすが地の果てという感じがする。
ローソクの灯で3切のパンと、一切れのチーズ、 そして一切れの乾肉で夕食。わびしいネ!
その後、手に息をかけながら日記をつける。
明日はアルゼンチンへ入れるか?
まだ100km少しあるようだが・・・。
ここは、稚内を思い出させる。あそこでキャンプした時も、風が強く、潮の匂いがした。何か独特のムードのある所だった。
文明の力、あっという間に三百里
地図で夢みた南の果てに
今 その地にて 夢をみんとす
Openstreetmap
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?