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❨405❩1972.10.10.火.曇/待つ時は、待つ以外に用がなければ、じっと待つのだ。/ポッセ:ブラジル(Posse:Brazil)

2日待った。車はダメだった。
4台の車が来たが、全て満タン。先客がいてダメ。のらりくらりと、半日が終わる。
マンゴが鈴なりになってるのを、石で落として食べる。

近くのほったて小屋には、これまた俺同様、バイヤへ向かう2家族がいて、車を待っている。

長い旅をしているのか、汚れた衣類に鍋まで持っている。
可哀相に、雨が降って来ると小屋の隅っこにかたまっている。ロクな物も食っていない。

焚き火で豆を煮て食ったり、マンゴの木に登って実をとって食べたりしている。
タダで乗せてくれる車が乗るまで待つらしいが、全く、気の長い話。

しかし、俺も他人事ではなく、進まない日は食うべからずで、昼は持ち合せのスープとビスケット1コ。朝はパンとココアだけで我慢している。安い安い。

しかし俺も気長になった。
今日でまるっと二日目というのに、以前程、焦りは出て来ない。

郷に入りては郷に従えで、南米にいるのだから、その慣習に添ってゆくのが、間違いなかろう。

今夜は待ちついでだと思って、もう一晩、ベッドを借りる事にした。
かまの様な月の今夜だ。

「想い」

「想い」
待ちくたびれるという言葉がある。
ここの土地に住む者には、不用の言葉だろう。
無駄な時間というものは、人間には必要だと思う。 これがないと、コチコチの張りつめた人間になってしまう。
無駄な時間を過ごす方法を、俺は学んだ気がする。
つまり、何もする事がない時は、じっと何もしないでいる事が一番いいのではないか?
待つ時は、待つ以外に用がなければ、じっと待つのだ。

ドライブイン・レストラン・ポッセで・・・

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