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010:シリコンバレー不動産バブルの底知れぬ恐ろしさ|クレイジーで行こう!第2章

値段が上がり続けているシリコンバレーの不動産

ご存じの方は多いと思うが、シリコンバレーは空前の不動産バブルが長い間続いている。Google本社があるマウンテンビューなどは、ぼろぼろのアパートで1LDKくらいでも、月の家賃が35万円ほどという恐ろしい価格だ。

とはいえ、新型コロナウイルスの影響で、多少は安くなったかもしれないと思った僕は、不動産会社に連絡をしてみた。永住権を取っていることもあり、家の購入を検討したいとふと思ったのだ。不動産屋は「メンローパークの物件をお見せしましょう」と、意気揚々とセッティングしてくれた。

真剣に考えようとしていたけれど、その金額に驚いてしまった。一般的なファミリー向けの一戸建てが、平均2億5000万円ほどだというのだ。だが、もっと驚いたのは不動産屋の振る舞いだった。

「この家が2億円でも2.5億円でもたいした問題ではないんです」

この人は、何を言っているんだろう? 僕はそう思わずにいられなかった。

「だって、投資なんですよ。今買っておけば、10年後に2倍になるんですから」

そんな保証はどこにもない。そんなうまい話があるわけない。ところが、目の前にいるこの人物は、本気でそれを信じているのだ。

確かに、リーマンショックが終わってからの10年、このあたりの不動産価格は2倍ほどになっている。40万円だった家賃は、10年前には20万円だった。いま2.5億円の値が付いている家は、10年前に1.3億円ほどだったということだ。

「いや、でもこの家は修繕する必要があるでしょう? 500万円もかけて直すのは大変ですよ」

僕がそう言うと、不動産屋はこう反論する。

「500万かけて修繕するでしょ。そうしたら修繕した部分が、売るときには1000万の価値になります。すべての修繕に値段が付くんですよ」

僕は「そんなバカげたことがあるか」と言いそうになった。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークも増えている。シリコンバレーにGoogleやFacebookといった巨大IT企業があるとはいえ、必ずしも近くに住む必要はなくなっていくだろう。だから、これまでのようにどんどん値段が上がるなんてことはなくなるに違いない。

でも待てよ、リモートワークが増えたことで、ZOOMが上場した。それにより、シリコンバレーはまた巨額の富を得た人であふれる。彼らの中に、5000万が3億に化けたような人がいたとする。そうなると途端に、彼らの住まいとして3億円の家がターゲットになるのだ。

この不動産バブルは、株式バブルによって裏打ちされている。株式バブルは、ここのところ続いているITバブルがもとだ。Facebook、Google、ZOOM、Slackが生んだIT長者が、次々と財を成している。一夜にして数億円を手にした人たちが、金銭で持っているよりも安全だし、ここは天気もいいからと、価格を気にせず家を購入するのだ。

はたして本当にバブルなのか?

バブルはいずれ弾けるものだ。だが、ここシリコンバレーで起こっていることは、本当にバブルなのだろうか? 考えているうちに、そんな逆のハテナが浮かんでしまう。

もしかしたら、人類史上まれにみる、実体経済に裏打ちされたニューエコノミーなのかもしれない。ITやデジタルがもたらした破壊的な富の創出を後ろ盾として、バブルではない不動産の高騰が起きているのではないだろうか。

「そんなバカげたこと」と一蹴した後に自分で考えていくと、裏打ちされた実体経済の大きさに空恐ろしさを感じる。最近売却益を生み出したZOOMやUberを考えると、多くの人がそのサービスを毎日のように使っているし、下手をすると1日の半分以上利用している人もいるだろう。それほどの価値だと考えると、おかしくはないように思える。

この場所で生み出されたGDPの総体が、10年間で200%になったということだとしたら……。それは実態を伴っていると言えるのではないだろうか。

風船のように中身のないバブルを想像すると、おそらくこの問題は見えてこない。つっぱり棒のようなものが、一部実態として入っているからだ。つまり、つっぱり棒たるGoogle、Facebook、Appleなどの活躍があるからこそ、不動産の価値がどんどん上がっているのだ。

空気や水が入っただけのただの風船ではない。つっぱり棒以外の部分に、何が入っているのか。バブルと言われている今の状況はまもなく崩壊するかもしれないし、今後さらに増幅するかもしれない。

新型コロナウイルスの影響で、ダウ平均株価は一時期30%ほど下落した。通常、株価変動が不動産のマーケットに影響するまで半年ほどのタイムラグがある。そこで、シリコンバレーの不動産がどう動くかが見ものだろう。これでも価格が上がり続けるのなら、無敵と言えるのかもしれない。そうなったら、このエリアには、誰も勝つことができないだろう。

世の中で動くサービスの大半が、この地で生み出されているのだ。

僕はこの地で「日本人として」闘っている。次から次へと出てくるアメリカの巨大なパワーを前にどうやって戦っていけばいいのだろうかと、ある種の絶望感すら覚える。

上昇し続ける不動産価格は、そのパワーの象徴だろう。日本人として、彼らとどうやって戦っていくのか。すぐには答えが見つからないまま、今日も前に進むしかない。

(記事終わり)

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