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【調節者 忠告者 観測者だって重要じゃないかなぁ】 感想:『悟浄歎異』 中島敦

『俺みたいな者は、いつどこの世に生まれても、結局は、調節者、忠告者、観測者にとどまるのだろうか。けっして行動者にはなれないのだろうか?』

感想

以前読んだ東大の先生がすすめる本で、推薦されていた本です。
なんで西遊記?と思って読み始めたのですが・・

本書は西遊記を河童の沙悟浄の目線で見た物語です。
仲間の悟空や猪八戒、三蔵法師のことを憧れを持ちつつ冷静に分析しています。
そこで沙悟浄は悩み
『俺みたいな者は、いつどこの世に生まれても、結局は、調節者、忠告者、観測者にとどまるのだろうか。けっして行動者にはなれないのだろうか?』
と彼はひとり考えるのです。

活力溢れ行動を起こす悟空、世の中を愉しみ尽くす猪八戒、知恵に富んで永遠を見据える三蔵法師。
そうした仲間を間近に見ることで、その中で自分は??と考えています。
特に悟空の行動力について、高く評価し羨望の眼差しを向けている一方で、自らを所詮傍観者だとして低く評価しています。

行動力や情熱がある人に対する、すごいなあ、うらやましいなあという気持ちは私もよくわかります。
私の場合その対象となるのは、起業家とかクリエイターとか、です。

私は以前やったストレングスファインダーが示す通り、学習や調和性、公平性を重要視していて、自分自身には新しいことを成す行動力や情熱に欠くところがあるなと思っています。
なので、沙悟浄が考えていることにとても共感してしまうのです
でも、こういう沙悟浄的な考え方に共感する人は決して少なくないのでは?

一方で本書で登場する沙悟浄は非常に冷静かつ的確に仲間達を分析しており、彼自身の教養の高さが垣間見えます。
沙悟浄の視点を外れて、三蔵法師一行をチームとして外から眺めてみると、沙悟浄のような人物は必要不可欠に思えるのです。
沙悟浄がいるからチームが機能しているように思えてなりません。
ですから、そんな考え方をしなくてもいいんじゃない?と沙悟浄に声をかけたくなるのです。
でも実はその声は他ならぬ自分自身に向けられているような気がするのです。

すごく短い本なのですが、考えさせられることがたくさんあります。
さすがに東大の先生の勧める本でした。
いい本ですよ。
読んだことがない方は是非!

この本を読んで実践したこと/したいこと

なんだか感想が長くなっていまいました。
良い本だった。
また見返すと新しい発見があるかもしれません。
Kindleで無料購入できたので いつでも再読可能です。
しばらく経ったら再度読んでみたいです。

とりあえず1年後のスケジュールにこの本の再読を入れてみました。

1年後にこれを読んだときに自分はどう感じるのでしょうか?
楽しみです。

その時にnoteもちゃんと続いてたらいいな


基本情報

リンク:悟浄歎異
購入場所:Kindle
読み始めた日:2024年2月15日
備考:


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