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新卒でIT派遣会社に入った僕の話

大学卒業後、まともに就活しなかったらちゃんと仕事はしたけど自分が思い描いた姿とは全く違う方向に転がってしまった話です。なんかめっちゃ長編になってしまった


人生を楽に生きたかっただけ

給料が安くとも自分らしさやプライベートが充実した仕事に就きたいと考えている人は多いでしょう。

僕の周りはマスコミやら医者やら弁護士になるために色々努力している中、僕はこの「プライベートを充実させる」という一点突破だけで全くといっていいほど就職活動をしていませんでした。あわよくば働かないレベルでの思考でした。

世の”意識高い系”をある種見下しながら、「楽な仕事がよい。あとは最低限の給料さえもらえればいいのだ。底辺と呼ばれようがなんだろうが!」と決めつけていた部分があります。

分かってます、論理的には破綻しています。プライベートを充実させるから就活しなくてもいいってわけじゃないですもん(笑)

今となっては就活が面倒だった言い訳を嘘で塗りたくってるだけだったなぁと思い返します。



当時の僕が考えていた”楽な仕事”の定義

さて、楽な仕事といっても、人によって定義は違うでしょう。僕の場合は以下の通り考えていました。

  • ルーチンワークである(頭を使わない)

  • 人と関わることが少ない

  • 残業が少ない

特に意識したのは「人と関わることが少ない」。コミュ障で人間不信の極みにある僕ですので、人とのコミュニケーションこそが一番のストレスでした。

そこで人とのコミュニケーションが少ないであろうとイメージに持っていたIT業界を選択することになります。

あ、先に言っておきますとIT業界でもコミュニケーションは非常に重要ですのであしからず…というか、人とのコミュニケーションこそがIT業界で一番重要な気がする。


あえて底辺に就職したつもりだった

計画性もなんもない僕は大学卒業後にIT業界の底辺中の底辺に就職しました。名もなきITの派遣会社です。

給料は死ぬほど安く、昇給だって見込みがない会社でした。

それでも、この時自分の目標は達成していると思っていました。システム監視の仕事にありつく予定でしたので、人とはあまり関わらなくて済みますし「アラートが起きたらマニュアル通りに対応する仕事がメイン」という内容は何よりも考えずに済みます。

給料が安いのは「誰でも出来る仕事だから」と解釈していましたから特に気になりませんでした。

夜勤が発生する24H365Dの仕事ではありましたが、決まった時間で業務が終了するから残業だってありません。

これは自分の希望にばっちりマッチするぞとニヤニヤしてましたね。



コールセンターで怒られる日々

いざ就職。すると早速話が違うぞってなりました(笑)

当初予定されていたシステム監視業務への派遣予定がなぜか突如システムエンジニア(SE)兼コールセンター業務に変更されました

僕、配属前から上司に不平不満を言った記憶があります。今思うとすげえ胆力だ…

SEの仕事はルーチンワークがそれなりにあったものの、マニュアルはほとんどなくて先輩の背中を見ながら身体で覚えていく系の仕事が多かったです(それでもベンチャー系よりはマシだったか?)

きつかったのはコールセンター業務のほう。

全人類、1日でいいからコールセンター業務をやってほしいです。一度体験すれば絶対皆さんはサポートセンターに電話される際は優しい気持ちで臨まれるようになりますから(笑)

もうね、コミュ障がやる仕事じゃないんですよ。大体しょっぱなから怒られるんですもん。どんな感じで怒られてたかっつーと。

  1. トラブルでユーザが切れ気味に電話してくる

  2. ユーザはワケが分からんまま話をするので論理破綻した会話をする

  3. 僕、ワケが分からん話をそのまま整理もせずに対応開始

  4. トラブル解決できずに時間だけ過ぎていき、結果ユーザがブチギレ

  5. 人知れずトイレで泣く

コミュニケーション能力って、ようは人の話を整理して答えてあげられる力(上記で言うと3の部分)なんですが、そんな能力はないし、力をつける意志も希望もなかった僕に対して先輩どももイライラ&オコ。

あんときは先輩からはめっちゃ怒られた、怖かったなぁ。



1年やっていくと沸いてくる疑問

3日でやめてやろうと思った仕事も、一緒に入った同期のおっちゃん(中途)が良い人でして、いつも愚痴を聞いてくれたということもあって何とか1年やりとげました。そうするといくらどんくさい僕でも仕事には慣れてきます。

やっていくうちに僕はいくつか疑問がわいてきました。

  • SEっぽい仕事&コールセンターの業務は慣れればルーチンワークだったが、楽ではない(特に精神的に)

  • ルーチンワークだから自分が成長している感がなくて逆に不安になる。この1年ぐらい何やってたん自分?と思うようになる。同じく派遣されていた先輩方も僕とそんなに変わらない仕事をしていて余計にヤバさを感じる。一方派遣先の社員はシステム運用、設計構築へのジョブチェンジなど目に見えてステップアップしていた

  • 自分での決定権がほとんどなくて、改善しようにも改善案が通らない

  • 派遣だから責任を取らなくていいってわけじゃない。普通に始末書とかも書かされるし評価は下げられる(ミスったのは僕だから仕方ないとしても楽ではない)

  • やってることは変わらないから給料ももちろん上がらない


ここで思ったのは、「楽でも面白くもない、将来も見えない仕事を続ける理由ってどこにあるんだ」ということ。

僕はとにかく楽な仕事をしたかったのに精神的には堪えるわ、残業はさせられるわ、全然先がみえんわでイライラしていました。

今思えば、出発点が間違っているんですけどね。



給料が安い仕事はそれなりの理由がある

派遣業務や業務委託の全てを否定するつもりはないし、そうでない会社はあると思います。また人の仕事に対する割り切り方によっては「派遣のほうが良い」と考える人はいるでしょう。

ただ、派遣されていた僕が率直に感じることとして、派遣先(プロパーといいます)の会社は派遣費用を沢山かけようとは思ってませんし、ましてや派遣社員の成長を期待するなんてこともないです。傭兵みたいなもんですから。

最近は「ジョブ型」なんて聞こえのいい言葉で濁されることもありますが、派遣・業務委託について限って言えばようは決められた仕事を低コストで行える人たちをプロパーは期待しています

プロパーの社員はコールセンターの業務なんて精神的負担がかかる仕事はしたくないですし、いわば定型業務に対してパワーを割きたくないという本音があります。より利益を出すための仕事に力を注ぎたいのです。だから派遣会社を使うのです。

派遣元の会社はそれを納得してプロパーに付き合ってるわけですから、そのような状況下において誰かが一介の派遣社員たる僕の将来とか考えてくれることはまずないと感じました。

それをも理解して付き合い続けるのが派遣という仕事ならば、自分の年齢なども含めて僕は腐るわけにはいかないと思ったのがこの時です。

ここまでの考えに至るまでに僕はおおよそ3年かかってます。



3年かけて振り出しに戻る

2年ぐらい勤めてから僕は会社に辞める辞めると言い始めて、そのくせ面倒になってきたのでダラダラと仕事を続けていた時期がありました。派遣元営業からは「yazuは辞める辞める詐欺」と言われました(笑)

単純に転職活動が面倒だったという、これまた悪い癖がでた時でもあります。この期に及んで何やってんだか…

それでも最終的にはこの派遣会社を辞めました。この後は自社でサービス提供をしている会社の正社員として転職することになります。

先輩たちに恵まれたということもあり、個人的にこの3年はいい経験をさせていただきましたが、一方で絶対必要だったかと言われると「うーん」と答えざるを得ないです。



楽な仕事とは

楽な仕事という言葉が中々難しいです。人によって「楽」という基準が違うからです。

定型的な業務を行うことが楽なのかと言われると人によって異なります。経験したからこそ分かったことではありますが、少なくとも僕の場合はそう思わなかった。

それより、僕は自分がシステム設計して構築運用する仕事のほうが「楽しい」と思えました。この仕事は定型業務でもなんでもなかったけれども、それが楽しいと実感しました。

ああ、図らずも「楽」という言葉がかかってますね。同じ「楽」という漢字でもこんなに印象が違うものがあるとはね。僕が追い求めていた「楽な仕事」は「楽しい仕事」だったんだろうなと感じます。


楽な仕事というより”暇な仕事”は確かにあります。しかしそれが人によって楽なのかどうかは分かるはずがありません。

貴方にとっては天職かもしれないし、僕にとっては苦痛かもしれない。

加えて、僕みたいに当初考えていた理想が変わる場合もあります。それならそれでいいと思う。回り道ですが、それもまた人生です。

ただ派遣という仕事はお互いが割り切った関係性で成り立っていることはまず理解してほしいと思います。

事情があるならともかく、派遣は最初から選ぶ選択肢ではないかなぁ。

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