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プロローグ

昨日、東京オリンピックのテストイベント『READY STEADY TOKYO』女子3000mSCに、大宅楓選手【大東建託パートナーズ】が出場しました。

本大会は、世界陸連コンチネンタルツアーゴールドの大会!
今回、日本での開催、東京オリンピックのテストイベントという背景があって、出場できたわけですが、通常、大宅選手の競技レベルでは、まず出場できない大会です(-_-;)

日本陸連3000mSC強化担当者の岩水さんから、打診を頂いたのが、4/29㈫織田記念陸上のレース後、新幹線で名古屋に向かっている時でした。

『光栄なお話だけど、大丈夫かな?』織田記念にピークを合わせてきたことや、有酸素的な土台も、少しずつ目減りしてきている時期だったので、多少の心配はありましたが、この先、こんなチャンスはないと思いましたので、大宅選手の意思を確認し、『ぜひお願いします』とお返事させて頂きました。

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浦島太郎状態

記憶を辿ると、このクラスの競技会は、2010年のスーパー陸上以来…笑
3000mSCに至っては、2008年のバルセロナ国際以来…笑笑

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今の若い選手や、指導者の方々からすると、??の世界と思いますが、とにかく久しぶりすぎて、逆にそれが新鮮でした。

織田記念でも、会う人会う人に、『大学の勧誘ですか?』『なんでここに来ているんですか?』と聞かれ、困っていましたが、今回の大会では尚更、不思議がられていましたね…(^_^;)

何年振りかに会う方々からは、『え?』『なんでジャージ姿なんですか?』などなど、聞かれましたが、『選手を指導している』『今回の大会に出るんですよ』と伝えたところ、皆さん、かなりびっくりされていらっしゃいました。

現在の女子3000mSC

私が、女子3000mSCに取り組んでいたのが、2004年~2008年にかけて。
世界陸上にも出場しましたが、当時の世界のレベルを見た時、『これは、800mから、指導をやり直さないと、戦えないなぁ…』と痛感しました。

それから、12年あまり。
世界のレベルは、どんどん上がり、日本の選手層も、厚くなってきています。

今年の日本選手権に出場するには、最低、申込資格記録を突破し、ターゲットナンバー18に入ることが条件。

2021年5月9日時点でのターゲットナンバー(敬称略、上野調べ)
1 山中 柚乃【愛媛銀行】 9.46.72
2 石澤 ゆかり【エディオン】 9.48.76
3 吉村 玲美 【大東大】9.49.45
4 薮田 裕衣 【大塚製薬】9.52.19
5 西出 優月 【関西外語大】9.55.01
6 吉川 侑美 【ユニクロ】9.58.12
7 秋山 祐妃【肥後銀行】 9.58.31
8 森 智香子【積水化学】 9.58.40
9 瀬川 帆夏 【シスメックス】10.01.08
10 小池 彩加 【大和田住宅仙台】10.06.06  
11 西山 未奈美 【松山大】10.07.05
12 佐藤 奈々【スターツ】 10.15.30
13 大宅 楓 【大東建託パートナーズ】10.18.40
14 沖村 美夏【愛媛銀行】 10.19.02
15 リンズィーヘレナ芽衣【バージニア大】 10.25.50
16 赤堀 かりん【日体大】 10.25.84
17 堀尾 咲月 【京産大】10.27.03
18 宮内 志佳【日体大】 10.29.80
19 中本 香 【京産大】10.31.53
20 笠原 奈月【福岡大】 10.33.24

5/31までに、18位以下に下がらなければ、大宅選手にとっても、私にとっても4年ぶりの日本選手権出場になります。

年月

大宅選手の強化がスタートしたのが、2016年。
中距離からの転向、バセドウ病との戦いなど、様々な困難があり、なかなか表舞台に立つことができませんでしたが、3000mSCの強化については、私なりに様々な角度から、ブラッシュアップしてきました。

ジャカルタアジア大会3000mSC銅メダリスト、Thi Oanh NGUYEN選手と面談。トレーニング方法について学ぶ。

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世界陸上1500m金メダリスト、J・シンプソン選手のトレーニングを見学。専任コーチであるコロラド大学ヘッドコーチ、M・ウェットモア氏、H・ブロー氏からコーチングを学ぶ。
※ジェニー選手は、元・3000mSCの選手
M・ウェットモア氏、H・ブロー氏は、後に世界チャンピオンとなるE・コバーン選手の礎を築いた全米屈指の名将

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後の世界チャンピオン・コバーン選手と大宅選手

写真②

3000mSC研究の第一人者であるブリガムヤング大学のハンター教授を訪問
各種データ測定に基づいたアドバイスを頂く

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ようやく、こうした経験や知識を生かす時が来ましたね。
本当に長く辛い期間でした。

エピローグ

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新国立競技場に入ってきた大宅選手を見ながら、就職活動の時にお世話になった長谷川体育施設の三宅専務(当時)との約束を思い出していました。
『日本代表になって、三宅さんを新国立競技場に招待しますから』
まだ、約束を果たせたわけではありませんが、ほんの少しですけど、お世話になった三宅さんに恩返しできたような気がしています。

だいぶ回り道をしましたけど、ようやくスタートラインにつくことができました。残された時間を大切に、大宅選手と共に挑戦していきたいと思います。

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