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最近よく言われる「UGCが大事」って結局なぜ大事なのか

UGCはなぜ大事なのか

昨年からニーズは増えていましたが、最近もクライアントからUGCを作りたいと言われることも増えてきつつ、より大規模にUGC施策を打つ企業も出てきました。(特にコスメ企業でマスと掛け合わせて実施している)

主にSNS上に投稿を作っていくプロモーションを数多く実施してきましたが、世の中を見ているとUGCを増やして売上を上げている企業もあれば、売上が上がらない企業もおり、
逆にUGCを施策で増やすことでハッシュタグ検索結果が「作られた雰囲気」」になることもあって本当に良いことなのかも疑問に思ってきました。

ただ現代で売上を作っていく、競合に勝っていくためにはSNSの活用は必須となっています。

ではなぜ成功する企業とそうでない企業に分かれてしまうのでしょうか。

結論、現代においてはECショップにアクセスするとき、店頭に行くときには、すでに何を買おうとしているか決まっている状態になっている、
つまりはその前段階の購入検討フェーズでユーザーに効果的にアプローチできていないことが、成功と失敗を分けています。

この購入検討フェーズがWeb、SNS、リアル問わずあらゆるチャネルで行われており、
企業側のコントロール下に置きづらいことが物が売れない時代を作っている要因とも考えられます。
UGCはその1つのチャネルであるために重要性が高まっています。

UGCの重要性を考える際に、そもそも消費者の購買行動パターンはどのように行われているのか、から始めてみます。

様々なフレームがありますが、P&Gが2004年に提唱した消費者の購買プロセスのフレームでFMOT(First Moment of Truth)、SMOT(Second Moment of Truth)があります。(えふもっと、えすもっと)

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FMOT理論とは「顧客は店舗に並べられた商品を見て、3秒~7秒程度でどの商品を購入するかを決定する」というメンタルモデル(顧客の思考プロセスのモデル)、
SMOTとは商品を購入した顧客が商品を持ち帰り、使い心地を実際に体感するプロセス、
です。

それまで多額のマス広告予算を使っても売上が高止まりしていたP&Gが
リサーチを重ね提唱したこの理論によってブレイクスルーとなりました。

P&Gが打った施策は
・きれいな商品パッケージにする
・商品のPOPやディスプレイを目立たせる
・販売員のトークスキルをアップさせる
・モニターを設置してプロモーション動画を流す
など

これによって当時売上を伸ばしたということです。
もちろんFMOTで買われてから使われたあと、
商品力が低ければリピートされないので、商品力ありきなのは前提としてあります。

また、これと同じような理論でC/Pバランス理論があります。


「C」はConceptの略で、「買う前に買いたいと思わせる力」を指します。一方の「P」はPerformanceの略で、「買ったあとに、もう一度買いたいと思わせる力」を意味します。

新商品を発売したときの売上は、このC/Pバランスによって4つの曲線をつくることを示したのが上の図。

左下はCが弱く、トライアル購入が起こらず、Pも弱いためリピート購入も起こらない状態。そのため売上は上がったとしても一瞬で下がるかたち。

左上は、主に多額の広告宣伝費と店頭でのプロモーションによって広告露出と店頭販促を行ってCを上げてトライアルを喚起するが、
Pが低い場合リピート購入は起こらない。そのため瞬間風速的に売上が上がってその後続かないかたち。主にコモディティ商品などは他社との違いを出せずにリピートされないなど。

右下は、Cが弱いためトライアル購入は起こりづらいが、Pが強いから既存顧客のリピート購入によってじわじわ売れていくかたちで、知る人ぞ知るような商品やなにかのタイミングでバズった商品などはこのパターンになってきます。
商品の入れ替えが激しい店頭系の業態などは起こりづらくなってはいます。

右上が理想形ですが、CもPも高いためトライアルも伸び、リピーターになっていくことで売上が上がっていくパターン。
このかたちに持っていくことがマーケティングの目標になります。

P&GのFMOT戦略は、「コンセプト」の力を最大化させてトライアル購入を増加させ、商品力によってリピート購入を増やすことができた事例と言えるでしょう。

ただネット時代においては、ここから「ZMOT」が重要になってききました。
ZMOTは2011年にGoogleが提唱した概念で、
「消費者は、ニーズが顕在化したとき、またはお目当ての商品がある場合、お店に行く前に徹底的にネットで検索をしています。だから、店頭に行ったときは、すでにどの商品を買うか、7~8割は決まっているんですよ」
というもの。

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広告業界にいれば今や当たり前のことですが、
ZMOT〜FMOT、FMOT〜SMOTまで一貫したマーケティングを立案して実行するのは、かなりハイレベルで本当にできている企業は一握りなのではないでしょうか。

ネット検索で消費者が事前調査する項目として
・購入すると、どんなメリットがあるのか
・どのメーカーの商品がオススメなのか
・他の商品と比べて、何が優れているのか
・ユーザーの評判はどうか?
などありますが、

ネット世代であればこの段階で競合に負けていた場合、
売上につながることはなさそうであると実感ベースで感じられると思います。

ここで当初のテーマに戻りますが、なぜUGCが重要なのかということに関しては、ZMOTの1チャネルとしてUGCがなければユーザーの事前調査段階で競合に勝てないため、
であることが分かります。

ただZMOTはUGCだけあれば良いということでもありません。

もちろんSNS上で
・Instagram投稿
・Twitter投稿
・TikTok投稿
・YouTube投稿
は必要ですが、

・アットコスメのレビュー
・アマゾンのレビュー
・食べログのレビュー
などレビュー系もあり

・ブログ記事
・ネットニュース記事
などの記事系

・友人との会話
・家族との会話
などのマクロなリアルコミュニケーションについても
ZMOTを作り上げている要素になってきています。

売れている商品やサービスは、あらゆるチャネルでUGCが相乗的に増えていっていることが多いです。
逆に1つの面だけUGCが偏っていればステマ、やらせなどネガティブな印象を持たれることも少なくありません。


ではZMOTを作っているのは誰か、それは既存ユーザーになっています。

そこで近年になって登場したのがTMOT(Third Moment of Truth=ティーモット)です。
TMOTは、消費者が、購入した商品やサービスのリピーターとなり、何度も使っていくうちに愛着が芽生え、愛用者になる瞬間のこと。

ここまで紹介した購買体験を時系列に置き換えてみると、
何かのきっかけ(刺激)→気になった商品やサービスをインターネット上で検索・購入する物を決める(ZMOT)→店頭で検討する(FMOT)→購入後、再度購入するかを判断する(SMOT)→何度も利用するうちに、愛用者となる(TMOT)
になります。

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置き換えるとTMOTで愛用者となったユーザーの口コミによってZMOTが作られ、新規ユーザーのFMOTを作っていると考えられます。

ZMOTがないとそもそも競合に勝てず、FMOTにつながること少ないため、ZMOTとなるUGCが大事、となっている状況だと考えられます。


SNSマーケティングにおいては、インフルエンサーPRやギフティング施策は擬似的にZMOTを作り出していますが、
愛用者ではないので本質的にはUGCとは異なっているものではあります。
どちらかというと「何かのきっかけ(刺激」をユーザーに与えるコンテンツに近いと思います。
では本質的にZMOTをマーケティング活動として作っていくにはどうすればよいのか?いつか次回に続きます。

引用:

https://note.com/ikedanoriyuki/n/n9d59fea76e5a

https://basixs.com/times/columns/zmot-marke

https://smmlab.jp/article/what-is-zmot/

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