見出し画像

ビートルズ "Honey Pie"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 61回目、今日の楽曲は...

アルバム THE BEATLES D面 2曲目 "Honey Pie"

サウンド:★★☆
メロディ:★★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★
第一印象:★★★
スルメ度:★★☆
独創性 :★★☆
演奏性 :★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

ビートルズにしては珍しく、クラリネットとサックスが入った、ジャズ風味のナンバーである。他でクラリネットをフィーチャーした曲は、When I'm Sixty-Four ぐらいか。ドラムもブラシを使って、軽やかにスイングさせている。リンゴがブラシを使っている曲は、このあとの Cry Baby Cry ぐらいしかないだろう。明らかに新しい方向性を持った曲である。

サウンド的には、ピアノがメインになっている。特にイントロからAメロ "Honey Pie, You are making me crazy..." に入る前までのピアノのフレーズが、フリーテンポも相まってなかなか美しい響きである。Aメロ以降は、ごく普通のコード弾きになるが、その音にフラリネットとサックスのジャジーなオブリガードが重なり、非常にゴージャスなサウンドに仕上がっている。

しかし、2コーラス目に入る前のギターソロが、なんか怪しい。ジャズ・フィーリングたっぷりのフレーズで始まるが、3小節あたりから次第に音が小さくなっていってしまう。このソロはジョンが弾いているようだが、こんな甘いジャズ・フレーズが弾けるとは、驚きである。それでも途中で自信がなくなってきたのか、尻切れトンボみたいなソロになってしまっている。ちょっと、もったいないかな。

さてコード進行は、見事なまでのツー・ファイブが基本となっている。Aメロのコードは、G→Eb7→E7→A7(13)→D9→G→Eb7→D7 となっており、3番目の E7から 6番目の Gまで連続ツー・ファイブ進行となっている。また、2番目や 7番目に登場する Gからの Eb7が、短 3度下降で特徴的なコード進行を形成している。7番目の Eb7は、その次の D7へ行くための代理コードともとれる。

ところで、イントロに SPレコード風のノイズとバンドパス・フィルターの効いたセリフが入る。今ではノイズやフィルターでわざと音質を低下させて、それをエフェクトとして用いるのは当たり前の技法である。当時すでに、このような試みがなされていたとは、やはりビートルズは時代の最先端を走っていたのである。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?