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ビートルズ "Helter Skelter"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 58回目、今日の楽曲は...

アルバム THE BEATLES C面 6曲目 "Helter Skelter"

サウンド:★★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★☆
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★☆
スルメ度:★★★★☆
独創性 :★★★★
演奏性 :★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

おそらくビートルズの曲の中で、一番やかましいハードロック・ナンバーであろう。イントロの高い音からスライドし、E音と D音のぶつかり合う 16分音符のディストーション・ギター・サウンド、その D音が半音降下していくのに対し、ボーカルはせり上がっていく。そしてスネアがしだいに 16分音符でフェード・インしてきて頂点にたつと、大滝の水が落ちるかのように Aメロに突入する。なんとも衝撃的なイントロである。

そしてシャウトするポールの、メイン・ボーカルのバックに流れる 5部コーラスも、ぶ厚くて迫力がある。単にやかましい曲だけでなく、きちんとコーラス・ワークも入れているところが、ビートルズらしいポイントである。また、サビの "Helter skelter..." のすぐあとに、ギターとベース が 8分音符のユニゾンで G音から下降するラインも、オブリガードとしてなかなかキマっている。

ベースの音は、ジョンが弾くフェンダー 6弦ベースの音のようである。ゴリゴリとしたハードな音が、よりいっそうこの曲をハードにしている。フレーズ自体は、ルート音が基本の単純なものではあるが、オクターブで行き来したり、なかなかのスピード感を出しているように思う。ドラムも、スローな 8ビートのパターンで延々とプレイしているが、やたらシンバルを入れて、力強さを増長させている。

実際のレコーディング・セッションでは、かなり長い時間にわたり録音されたようだが、編集時に短くされている。途中でフェード・アウトして終わったかのように思わせ、しばらくすると再度フェード・インして、淡々と演奏が続く。編集による演出だとしても、曲の中でこのような構成をとること自体、当時としては画期的だったのではないかと思う。ちなみにこの演出手法は、松田聖子さんの「いちご畑でつかまえて」でも聴くことができる。作曲は、大瀧詠一さん。

このフェード・アウトとインの前後で、なにやら「ピーピー」と甲高い音がバックに入っている。これは文献によると、サックスとトランペットの音で、それぞれジョンとマル・エヴァンスがふざけて吹いているものらしい。まったく何をしでかすのかわからない連中である。そして、リンゴの叫び声が入ってブレークし、急激にフェード・アウトして唐突に終わる。もうちょっとカッコいい終わり方(というか編集)は、できなかったものだろうか。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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