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ビートルズ "Mother Nature's Son"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 55回目、今日の楽曲は...

アルバム THE BEATLES C面 3曲目 "Mother Nature's Son"

サウンド:★★☆
メロディ:★★★☆
リズム :★☆
アレンジ:★★★
第一印象:★★☆
スルメ度:★★☆
独創性 :★★☆
演奏性 :★★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

この曲も Blackbird や I Will と同様、アコースティック・ギターによるポールのほぼソロである。得意のツー・フィンガー奏法を駆使して弾き語っている。強いて言えば、ブラスが入っているというところが、アレンジ面での相違点であろう。このブラスは基本ロングトーンで、バッキングをさりげなくサポートしている。

曲の途中から、コツコツ叩くような音が聞こえる。メトロノームの音かと思ったが、リズムが一定していないので、何か硬いものを叩いている音なのだろう。あとリズム系の楽器といえば、若干オフマイク気味のバスドラの音がときおり入っている。文献によると、この音はスタジオの外の階段にバスドラを持っていき、コンクリート壁の残響も含めて録音したとのことで、なかなか凝ったことをしている。

コードの使い方では、sus4を非常にうまく取り入れていると思う。キーは Dメジャーで、歌い出しの音は Aなので最初のコードは当然 Dである。しかし、歌い出し 1小節目の "poor young" の部分は Bになるが、コードはその音とは関係のない Dsus4である。確かにGへ行くには強引すぎるし、ずっと Dのままだと変に間伸びしてしまう。そこで Dでありながらも G音を加えることで Dsus4とし、あえてあいまいなコードにしたのであろう。なかなか見事だと思う。

そして、サビのボーカルラインは珍しくスキャットになっているが、このメロディが非常に美しい。しばし心が洗われる気分にひたれる。そして、一番最後のブラスによるコードが Dではなく、あえてセブンスコードの D7 で終わっている。この響きがなんとなく、終わりを惜しむかのような郷愁感をかもし出しているように感じられる。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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