私が棄てた男
男を匿ったのよ
追われてるって言うからさ
私はどうせ店だから
夕方から朝までは
好きに使えばいいって言ったわ
巨大な財産を手にする
きっかけの出来事になろうとは
もちろん夢にも思わなかった
朝食の用意なんかさせたのよ
元は板前だって言うからさ
私はどうせ飲んで寝るだけだし
塩鯖とか冷奴とか
簡単なものでいいって言ったわ
世界中の要人たちを相手にする
きっかけの出逢いになるとは
まさか知るはずもなかった
憐れに感じたわけでも
何かを企んだわけでもない
ただ直感に従っただけ
明け方そいつと寝たのよ
面白くなるって言うからさ
私の直感が言うからさ
そんなこんなで私も
一緒に追われる身に
甘んじてるってわけ
おかしな話よね全く
男を匿ったのよ
そして棄てたのよ
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