愛のようなもの

何度もなんども逢いに行った
あなたの方からは
決して来てはくれなかった
"呼べば来る女"と
きっと思われていたのね

私が得たものはひと時の悦び
そして妥協に替わる僅かな報酬
あなたはといえば
"与えた"という自負
そして優越に浸る一定の時間

そんな確立された仕組みの中で
交わされた愛のようなものは
誰の話題にも上らなくなる
単なる記憶ですらなくなる

この世界に暮らす者の多くは
確立された仕組みの中でしか
相手との関係性を認識できない
せいぜい、愛のようなものを
愛と錯覚することぐらいしか


  
  ________________________

  


音楽仲間からよくライブのお誘いがあります。
そのジャンルやバンドが好きかどうかは別として、用事がない限りだいたい足を運んでました。
コロナ禍になる前は年間100本近くの音楽イベントに行った年もあったほどです。
それなのに自分の出るライブには誰も来てくれないと嘆くことが多かったです。

「呼べは来る男」と交際していた女性からからいつもかわれてました。
そんな出来事を恋愛に例えて(多少、皮肉も込めて)書いた作品です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?