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「そして、バトンは渡された」 を読んで こんな気持ちになった。

少し切なくもあったけど

まるで私も優しい親になったよう。

そんな気持ちになった本の紹介です。


「そして バトンは渡された」 瀬尾まいこ


この本は本屋大賞を受賞されています。



この物語の主人公「優子」

優子は幼いころから、7回も家族の形態が変わる人生を送るのですが
物語の章冒頭から「全然不幸ではない」のです。

父親が3人、母親が2人になるような人生を歩んでいるのに
優子は自分のことを悲観していない。
むしろ主人公が自ら苦労を望んでいるかのよう。

これだけ親が入れ替わっているにもかかわらず、
そのたびにたくましく成長していく主人公。

一緒に暮らさなくなった人と会うことはない、でも
どこかにいてくれることと、どこにもいないのとではまるで違う

離れ離れになったとしても、血のつながりがあろうがなかろうが
そばにいてくれた人達。

入れ替わっていく育ての親たちに見守られながら主人公は成長していきます。

読み手の私から見ると
主人公の優子の「自分の置かれている状況に、凛として淡々としていてる」ことに、少し切なさを感じます。
まして自分を全然不幸だとは思っていないから余計にそう感じるのです。

目の前にいる親である人との暮らしを作っていくことに必死で
どの親が一番良いかなんて決められることではない

そう思う優子に対し、まわりは本当の親のようになりたいと接していく。


月日が経ち、優子は3人目の父親との今の暮らしをどうしても守りたいと思う。
そう、家族を失うことは決して平気なんかではないのだ。

私は主人公に対し「そう思えてくれてよかった…」と心の中で思いました。

そして物語はバトンを繋いでいきます。


感想

本を読み進めるにつれて、まるで主人公を見守る親のような気持ちになり
ただただ、幸せになってほしいと思わず願ってしまう そんな作品です。

「家族が何回も入れ替わる不安から、家族というものに距離を置いて置かないと
気持ちがおかしくなってしまう」
そう語る主人公を思うと、決して強くて無感情なのではないのだと感じます。

冒頭の「全然不幸ではない」の言葉も、主人公がそう思い込もうとしていたのではないのか?と。

まわりの環境に流されながらも成長していく主人公と、それを見守っていく親たちの一人としてこの作品を読み終えました。

いろんな形でバトンを渡しながら人生は繋がっていきます。
いずれ私もバトンを渡すことになるのだろう。
その時にはまたこの作品を読み返したいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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