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読書82 『ストロベリーライフ』

   荻原浩著

突然、父親が倒れた。
富士山の麓にある実家に帰省した恵介。

恵介が、勤めていた広告代理店を退社したのが二年前。そのとき父は、恵介が実家に戻って来て、農業を継ぐと思ったらしい。しかし、恵介に戻る気はなく、グラフィックデザイナーとして独立するための退社だった。
それ以来、帰省をしていない。

音信不通の間に、野菜農家である父は、多額の設備投資をして、苺栽培を始めていたのだった。

恵介には東京での生活がある。何より、農業をやりたくない。
しかし、採れたての苺は、今まで食べたことのないくらい、甘くておいしかった。
今、作業をやめたらこの苺が全部枯れてしまう。恵介は、しばらく実家を手伝うことを決意する。

ところが、今度は東京にいる妻の美月との間に、心の隙間ができ始めたのだった。
     (公開されている概要内)
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恵介には姉が三人いて、それぞれが個性を放っています。なかなかの威圧感で、そのやりとりがおもしろいです。
五歳になる息子の銀河の成長も、楽しませてくれます。

印象に残ったところです。
毎年、地元の幼稚園児が農園に、見学と苺狩りに来るそうで、今年は恵介の家の農園が担当になっています。
子どもたちが息子の銀河と同じ年頃でもあり、みんながおいしく食べて喜んでいる、きらきらした顔に、恵介の心の方が満たされました。
実家の農業を顧みなかった恵介でしたが、父も母も、大変な仕事をしていることが、身にしみてわかったようでした。

苺の栽培はどうなるのか。グラフィックデザイナーの仕事は?そして、美月との間にできた溝は埋めることができるのか・・・。

荻原さんの本は初めて読みましたが、家族や地元のつながりの話から仕事の話、農業の話まで、知らなかったことが見られたり、自分の身になって考える身近なところも多くあったりで、読みやすかったです。

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