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読書47 『満天のゴール』

   藤岡陽子著

 奈緒の実家は、京都の宮津駅からさらに路線バスで二時間近く北の丹後半島の北端にある。二十二歳の時に結婚してから東京で暮らし、十一年ぶりに四年生の息子の涼介を連れて帰って来た。

 夫が浮気をしていた。子どもができたから離婚を迫られている。

 奈緒は専業主婦で、妻として母として一生懸命やってきた。手製の小物を持ち、結婚記念日も奈緒の誕生日も夫からプレゼントをもらったこともなかった。それが、浮気相手のブログには「交際一周年記念」として、高級ブランドのネックレスをプレゼントされたことが綴られていた。
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 この浮気相手や夫の傲慢な態度に腹が立ちますが、涼介に助けられ、涼介がここの暮らしを気に入っていくことに励まされ、何とか踏ん張ります。
 奈緒はこれまで、働いたことはないものの、看護師資格を持っていることから、地元の総合病院で働くことを決めました。そこで働く医師の三上や訪問先の患者との関わりを続けるうちに、大切なことがひとつひとつ、心に刻まれいきます。
 
 過疎地の事情、医療過疎の事情、高齢化の事情。医療の現場。さらには、ひとり親世帯の事情など、さまざまな課題をところどころに出しながら、その人らしい生き方が描かれています。
 
 奈緒のこと、三上のこと、ずっと引っかかっていたことがつながっていき、生きる力になっていきます。心に残った言葉は
「人と人とか関わり続ける限り、相手を想う気持ちが生まれる」
「誰にも救ってもらえないなら、あなたが救える人になればいい。救われないなら救いなさい」

 生きることの大切さを知りました。「満天のゴール」の意味は深いです🥲

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