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読書150 『ナニカアル』

    桐野夏生著

昭和17年。女流作家たちは「陸軍の嘱託として、文章で戦意高揚に努めよ」との命を受けて、偽装病院船で南方に向かった。
マレー、ジャワ、ビルマ、フィリピン。それぞれの任務先を告げられる。
林芙美子の行き先はジャワだった。

林芙美子は昭和13年漢口作戦に従軍し、女流作家として漢口一番乗りを果たした経験があった。表向きは従軍作家としての成功を収め、陸軍に優遇されていると言われていた。

「ジャワで日本がどれだけ現地人を教育して、立派な臣民として育てているかを見て、報告することが、お国のためだ」と言われる。しかし、それは日本人が思うように振る舞える占領地だったからではないか。だが、運命がどう変転するかわからないのだ。
「私たちの乗っかっているのは、泥の舟ではあるまいか」
次第に様々な疑念を感じるようになる。

事実に基づいたフィクションです。
この、ジャワで恐るべき展開が待っています。
もう、誰を信じたらいいのかわからない。ジワリジワリと鳥肌が立つ思いでした。

さらに、帰国後の話も驚きました。事実の話に、とんでもない想像力が働かされています。
もう、話の先に追いつかず、うろたえるのみでした。

林芙美子さんのことは、詳しく存じ上げなかったのですが、今回、このお話を読んで、もっと詳しく知りたくなりました。
同じ船で一緒に南方へ派遣された女性作家たちについても興味深いです。

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