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読書146 『ルミネッセンス』

   窪美澄著

団地が立ち並ぶ町を舞台に、人々の闇を感じさせる連作短編集です。

・トワイライトゾーン
母の介護で団地に通う男性教員。バーで出会った少年を買うという体で連れ出し、勉強を教えるが・・・。

・蛍光
文房具店の娘には、ずっと心に引っかかっている過去の出来事がある。思いきって同窓会のときに聞いてみたところ・・・。

・ルミネッセンス
同窓会で初恋の相手と再会して・・

・宵闇
学校でひどいいじめにあっている少女。
忙しい母の代わりに家事をして、団地に住む祖父の様子を見るために、祖父の家に通う。

・冥色
リフォームした団地を購入した男性。ラストに驚愕。

窪さんは「何かが起こったら狂ってしまう自分や、物事が明るく見えない自分が必ずいる」「明るい気持ちで終わるのがいいんでしょうが、重たく暗い作品を書かないと、自分の中に澱がたまる。踏ん張って出していかないと、小説の世界がしぼんでいくんじゃないか」と、危惧されたそうです。
そういう暗い部分にも目を向けて、誰にでも闇の部分を持っていると思ったら、また、前を向けるのではないかと、考えられたそうです。(2023年10月5日 北海道新聞 編集委員 恵本俊文 ネットから)

読みながら、どうにか明るい兆しを求めてしまいますが、ともった希望をかき消してしまうような、澱んだ気持ちだけが残りました。私にはホラーの要素も感じられました。

「宵闇」は他の篇と比べて、少し違った着地点に感じました。

暗いところを突いた、抉られるようなお話だと思い
ました。
嫌な気持ちになるのがわかっていながら、先が気になって、ひかれていくような感覚です。

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