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"未来を考える大人"と"今を生きる子ども" ~長男坊に気づかされた思考の違い~

 今日は、読み書きが苦手な長男坊のとった行動から気づかされた「大人と子どもの思考の違い」について紹介します。つい先日、家族で水族館へ行くときの出来事。とてもホットな話です。

家族で出かけたいんだけど・・・

 前々から、この週末は家族みんなで水族館へ行くよ!、と予定していました。なぜ水族館へ行く予定をしていたかというと、水族館で定期的に開催されるイベントへ参加するためです。このイベントには参加予約が必要でしたので、水族館へ行く日時も決まっていました。

 その日は、水族館のイベント開始時刻から逆算して、起きる時刻や食事の時間、出発時刻を考えて行動をしていました。そして、順調に予定していた出発時刻まで進みます。さあ、みんなで車へ乗り込もうとしたその時です。

 「行きたくない、行きたくない」
 と次男君が突然言い始め、リビングから出ようとしなくなりました…。

 イベントに間に合うための出発時刻が刻一刻と迫る中、「行きたくない」と言い始めた子へどんな声をかけますか?


目的地までのハードル

 前日ふくめ、何度も予告していた水族館行き。でも、次男君は直前で「行きたくない」状態になってしまいました。次男君を連れていくためにも、もう一度気持ちを持ち直させてあげる必要があります。

※ちなみに、この次男君。長男坊以上に ” こだわりが強い子 ” です。次男君とのあれこれや、そこから学んだことも近いうちに紹介します。

 さて、「行きたくない」次男君も一緒に水族館へ行くためには、たくさんのハードルが設けられています。

   ハードル① リビングから玄関へ移動する。
   ハードル② 玄関で靴をはく。
   ハードル③ 玄関から外へ出る。
   ハードル④ 車に乗る。
   ハードル⑤ 水族館まで車で座る。

 これらのハードルのどれかを越え損ねると、せっかくの水族館行きがなくなる可能性があります。慎重にハードルを越えるため、急ぎたい気持ちを抑え、次男君へ声をかけていきます。

 「お魚、好きでしょ。」
 「今日は魚にエサをあげれるんだって。」
 「ひさしぶりにみんなで出かけるから行こうよ!」

 こんな感じに色んな声かけをして、なんとかハードル②の ” 靴をはく ” ところでところまできますが、ここで足踏み状態になります。

 どんどん出発時刻が迫ってくる中、なかなか出かけられずにいる子へどんな声をかけますか?


ハードル前の一進一退

 『なんとか水族館へ・・・』、『最悪、車に乗ってくれれば・・・』
 こんな気持ちで声をかけ続けますが、次男君はなかなか靴をはきません。

 ハードル②の前で足踏みしているところに、先に車に乗り込んでいた読み書き苦手の長男坊が戻ってきます。次男君のことが気になったのかもしれません。

 戻ってきた長男坊は、何を話すわけでもなく、玄関の中をウロウロ。ときどき玄関を開けてみたり、玄関を開けたままちょっと外へ出てみたり。謎な動きをします。私が「長男坊、先に乗ってて」と声をかけても、なぜかウロウロを続けました。

 『今度は2人にハードルを越えさせないと・・・』
 そう考え、ちょっと気が重くなり始めたときです。次男君が靴をはき始めました。そして、玄関から外へ行くではありませんか!

 『よし、このまま車に乗れば行ける!』
 私からすると超ラッキーな展開です。しかし、そううまくはいきません。外へ出た次男君は、駐車スペースの横に作られた雪山に登り始めます。

 「ほら、車にのるんだよ!」と私は声をかけますが、次男君は聞く耳を持ちません。今度は、雪山に登り、飛び降りのくり返し。『最悪、車に乗ってくれれば・・・』と思っていた私にとっては、ゴールが目前で後ずさりする状況に " いら立ち " のような感情がめばえてきます。

 しかし、私の気持ちをよそに、一緒に次男君のことを見ていた長男坊が楽しそうに声をかけ始めます。

 「次男選手、一番、遠くまで飛びました!!」
 「次は走ります。よーいどん!」
 「速いです。一番です!」

 この声かけが少しずつ次男君を車へ近づけます。そして長男坊が最後に一言。

 「寒いから、先に車に乗ってるね!」

 そして、次男もこれに続いて車に乗りました。


どんな形でも1つ1つハードルを越えればいい!

 今回の出来事から、大人と子どもで「目標を達成しようとするときの思考の仕方」が違うように私は感じました。大人と子どもの思考の仕方は次のようなものだと思います。

【大人の考え方】
 ・ ゴールを見すえて段取りを考える。
 ・ ゴールまで直線的に効率よく進もうとする。
【子どもの考え方】
 ・ ゴールまでの道のりをこまかく考えていない。
 ・ 目の前の興味や関心によって進み方を変えられる柔軟さがある。

 【大人の考え方】は、仕事でよく使う考え方かもしれません。いかに他者より早く目標を達成するか。ビジネスで成功する鉄則の1つだと思います。ただ、この考え方だと、段取りを失敗したり、スピードで負けると、目標を達成できないこともあります。

 【子どもの考え方】は、仕事にそぐわない非効率な考え方です。先々に起こることに対して心構えができていませんし、目の前のことにさえスムーズに越える準備をしていないかもしれません。
 でも、時間はかかっても、不器用でも、目標を達成しようとする意志、気持ちはなくさない。どんな形でも自分の力で目の前のハードルを越えようと考えているように思います。

 今回の水族館へ行くときの話ではら私の【大人の考え方】だと、ゴールである " 水族館へ行く " へ向けて一直線。1つ1つのハードルの前で立ち止まる次男君にかけた言葉は、「お魚、好きでしょ。」、「今日は魚にエサをあげれるんだって。」、「ひさしぶりにみんなで出かけるから行こうよ!」。全て水族館に関することでした。

 長男坊のとった行動は、玄関の扉を開けて外を見せ、外で楽しい時間を過ごし、最後に「寒いから、先に車に乗ってるね!」。最終目的 " 水族館 " のことは一切触れていません。でも、【子どもの考え方】で目の前の1つ1つのハードルを越えるきっかけを作ってくれました。

 【大人の考え方】と【子どもの考え方】は、どちらが正しいということではなく、どちらも必要な考え方だと思います。子どもたちには、【大人の考え方】を教えつつ、時間の追われてついつい忘れがちな『どんな形でも自分の力で目の前のハードルを越えようとする【子どもの考え方】』を理解して接することができるといいのかなと考えています。


 いつも面倒をみているつもりであった長男坊から、大事なことを教わった先日の出来事を紹介しました。この出来事をちゃんと記録しておこうと書き始めたら、3日がかりになってしまう作文力のなさの私です(汗)。それでも、記事は書き続けたいと思いますので、また新しい記事がアップされたら読みにきていただけると嬉しいです。

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