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40代は職業人生折り返し地点 感想文[ドットコム仕事術(小学館文庫)大前研一]

厄年も迎えるいい歳した大人には、成長の方向性や水準について指導してくれる先生や先輩は見つかりづらい。大前研一さんの本を読むと、目指すべき方向性や豊富な具体的な事例があって発破をかけられる。今回の参考図書はこちら。20代後半~30代前半の中堅社員にオススメしたい。

 1.本書にひかれたきっかけ

私の生まれは昭和50年代で日本は高度成長期だった。昭和の価値観の中で育った。受験勉強し、大学に入り、リアルに物を作って売る商売にひかれてメーカーに就職した。それから20年が経って世界は変わってしまった。日本の製造業は空洞化して、IT全盛のデジタル社会となった。メーカーで生産管理をしている自分は、社内ではそれなりに経験を積み、海外駐在もさせてもらってきている。しかし、中長期の将来は見通せなくなった。仮にいまの会社が無くなったら、自分の経験やスキルで市場価値がつくと思えない。そんな問題認識を持ちながら本書を手に取った。

2.本書のどんなところが良かったか

本書は冒頭で年収大格差時代の到来を予測し、現状のビジネスパーソンの問題点と選びうる方向性や備えについて述べる。

相談できる人がいないサラリーマン35~50歳前後の無気力状態:自分の給料の拠り所がない、新しい知識、技術革新についていけない / 人生の俯瞰図をもつ:仕事の最終到達点(経営幹部か専門家か)から逆算して今は自分はどの位置にいるのか最終的な目標に至る道筋や不足知識、経験はなにか / グローバルジャングルを生き抜く大前提としての三種の神器(IT、英語、財務)/ ビジネス能力の発揮に必要な2つのビジネスマインド (1)日々の様々な事柄に疑問を抱き、理由と代替案を考えるクセや態度、(2)2つ上の立場で改革策、再建策を考えて準備する

私の場合、20年間働いてきたメーカーの生産管理スタッフとして、目指すべき最終到達点は専門家ではない。ERPソフトを設計、開発するような経営工学のスキルはない。したがって目指すのは経営管理のプロだろう。グローバルで生き抜く三種の神器(IT、英語、財務)はどれも初歩レベルだ。問題解決のビジネスマインドは好きなので積極的に伸ばしたい。

1章 生活習慣癖を撃退しよう・3大出費(教育・住宅・老後)をカットし自分を磨くための投資に使う/・電子メールのルール:1メールにつき1件、目的が明確、すぐ返信/・派閥入りは身を滅ぼす:時間配分は均等に、悪口言わない・他言しない/・週末ゴロ寝は時間のムダ:自分自身をマネジメントできない人に他人をマネジメントする立場は勤まらない
3章 会議力・意思決定、情報共有、影響のない会議を開かない/・進行ルール:所要時間60分(冒頭説明30分/討議20分/結論とフォロー10分)/・提案書:6W2H+メリットデメリット、見直し基準/・部下に過去の成功体験を語るな:現在に応用可能な事例か検証せずに過去の成功体験を語るのは無責任・問題解決型上司:論理を重んじ全体像を把握して真の問題点を抽出し解決のため躊躇せずメスを入れる能力

役立ったのは、陥りがちな生活習慣癖への対策だ。身から出た錆ということわざがあるが、結果はその原因があることを示している。また錆はポッと出るわけではなくて時間経過に伴って現れるのが真をついている。つまり、普段の生活習慣(時間/お金/人間関係の使い方)が、あとになって熟成された良さになるのか、錆ついてしまうのかである。問題解決型上司というスタイルは若いメンバーと一緒に考えることで共感を生むと実感している。

今いる部門、今いる会社の枠の中だけで人生の設計図を描く時代は終わっている

転職や起業に失敗しないためのアドバイス、職住接近とセカンドハウスなど新しいライフスタイルの提案もあり、こちらは将来の展望として、これまで考えてこなかったことを考える機会になった。

3.そして私はどうしたいか

人生の再設計として、70代まで働くことを想定して、今いる企業から離れても働ける職能について開発したい。取り組んできた「グローバルメーカーの生産管理」が良くも悪くも現在地なのでここから考える。生産管理は、日本では流通など他業種の在庫管理などでの活用もありうる。自動化やIoTなど今の職場でも知識と導入実践の経験は積めるのでチャンスを活かしたい。経営管理は、公的資格学習を通じて、ITや財務含めて汎用スキルとして育てる。語学は、工場内業務でなら活用できるレベルの英語は、駐在期間に日常会話までできるようになったタイ語と合わせて、引き続きスキルとして磨く。将来に海外進出目指すメーカーの支援や、外国人相手に観光や日本語教師で使える水準を目指す。経営支援や語学はいずれも最初はボランティアで実践経験を積みながら準備を進める。ライフスタイルとして柔軟性のある姿を指向する。若くして中古マンションを購入しローンも完済したが、タイでの駐在生活を経て思いのほか持家に自分がこだわらないことに気づけた。どこでも住めて働ける。その時に一番よいやり方が選べるのがいい。

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