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多治見の弁護士の読書ノート

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もういちど読む 山川世界史 PLUS

もういちど読む 山川世界史 PLUS

今年の初めに発売された『もういちど読む 山川世界史 PLUS』。

山川出版社の高校生向けの分厚い参考書『詳説世界史研究』を、いわゆる西洋史と東洋史に分けて、一般向けに再構成したもので、西洋史に当たるのがヨーロッパ・アメリカ編です。

ウクライナ侵攻の真っ只中ということで、先に19世紀末以降の部分を読んで西洋近現代史を振り返り、その後、最初のギリシャ文明から読み進めています。

とありますが、NA

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ウクライナ侵攻に思う

ウクライナ侵攻に思う

ウクライナ侵攻を受け、深刻な人道危機になることを危惧し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動を支える日本の公式支援窓口、国連UNHCR協会に少しばかり寄付をしました。

先週以降、情勢分析のため、The New York Times、The Wall Street Journal、BBC、CNN、Retuersのサイトから目が離せない状況です。

そして、英語だけでなく、ロシア語、ウクライ

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「多様性」の欠缺がもたらす組織や社会の低迷

「多様性」の欠缺がもたらす組織や社会の低迷

『多様性の科学』から学ぶ多様性の大切さ組織や社会が低迷したり、さらには凋落するのはどういうときか。

それは、画一的で閉ざされた状態だからではないのか。

今月も読書を続けていますが、特に印象に残ったのが、マシュー・サイド著『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』でした。

この著作では、いかに「多様性」が大切であるかが、様々な失敗例、成功例を踏まえ論述されています。

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バーニーの企業戦略論 事業戦略編に学ぶ

バーニーの企業戦略論 事業戦略編に学ぶ

2021年12月に出た、アメリカの著名な経営学者、バーニーの企業戦略論の新版。早速、全3巻購入し、既に1月末までに下巻まで読了しました。

今回は、中巻を紹介します。

中巻には、事業戦略・全社戦略のうちの事業戦略について、具体的には、コスト・リーダーシップ戦略、製品差別化戦略のほか、複数の戦略の選択肢から1つを選ぶことができる状態である戦略的柔軟性、競合度を緩和させる共謀について書かれています。

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心理的安全性 決して日本特有ではない「沈黙の文化」とその悲劇を回避するには

心理的安全性 決して日本特有ではない「沈黙の文化」とその悲劇を回避するには

「心理的安全性(Psychological Safety)」が、静かなブームになっています。

エイミー・C・エドモンドソンが2018年に出した
"The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth"。

こちらの邦訳が昨年2月に

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VRIO分析の"O"の意義 いくらいいものを持っていても、それを活かしきれるような組織でないとダメ

VRIO分析の"O"の意義 いくらいいものを持っていても、それを活かしきれるような組織でないとダメ

忙しくとも読書は進んでいますが、読書を記録するのは後回しになりがちです。今回、感想を述べるのは、有名な経営学者の「教科書」です。

経営学の教科書を読もう。そう思い立ったのは、2021年の暮れでした。

そんな中、ちょうど、2021年12月に出たのが、アメリカの著名な経営学者、バーニーの企業戦略論の新版でした。

早速、全3巻購入し、上巻から読み進め、今は下巻を読み進めています。

上巻を読み始め

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話題の大著、弘中惇一郎『生涯弁護人』

話題の大著、弘中惇一郎『生涯弁護人』

昨年の暮れに講談社から発売された『生涯弁護人』。

弘中惇一郎先生ご自身が手がけられた著名事件について、余すところなく書かれたもので、法曹関係者の中でも話題になっています。

1巻、2巻はそれぞれ517ページ、463ページに及ぶ大部となっていますので、まだ1巻しか読めていません。
まずは1巻の感想のみ書いておきます。

弘中惇一郎先生は、巷間では刑事弁護人や有名人の名誉毀損事件の代理人として著名で

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ケースメソッドMBA実況中継シリーズ 自分も授業の参加者のような臨場感

ケースメソッドMBA実況中継シリーズ 自分も授業の参加者のような臨場感

年のはじめに経営戦略やビジネスモデルの本を読むこの冬は、経営学に哲学など、法律関係以外の様々な本を読むことができています。

年の暮れに、こちらの『星野リゾートの教科書』

を読み、

と感じました。

そこで、具体的な市場の分析や戦略の組み立て方についてさらに理解を深めるべく、ケースメソッドMBA実況中継シリーズを手に取りました。

牧田幸裕著『経営戦略とマーケティング』、

そして、小山龍介著

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「教科書経営」が会社を強くする

「教科書経営」が会社を強くする

私が法律雑誌以外で定期購読しているものに、「日経ビジネス」があります。

先日の「日経ビジネス」(2021.12.27/2022.01.03合併号No.2122)の特集の一つは、「会社を強くする『教科書経営』」でした。

1 教科書通りの実践で誰もが経営できるのかこの特集で、特に印象に残ったのがこちらの記事です。

この記事には、

という星野リゾート代表の言葉が紹介されていました。

確かに、l

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兵とは国の大事なり 戦略思想から敗因と近未来を読み解く

兵とは国の大事なり 戦略思想から敗因と近未来を読み解く

年末に

と宣言しました。

そこで有言実行、この年末年始に読んだ本を紹介します。

1 『「失敗の本質」と戦略思想』を読むこれらは古代中国の諸子百家のうちの兵家の兵書、『孫子』に出てくる言葉ですが、いずれも現代にも通ずるものです。

この年末年始に、読んだのは、こちらになります。

この新書は、『孫子』やクラウゼヴィッツの『戦争論』から、かの『失敗の本質』でも取り上げられた日本軍の失敗を読み解く

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