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「神様、仏様、〇〇様」あなたの〇〇は誰ですか?

こんにちは。

先日の「GTOリバイバル」。主演の反町隆史さんが、若い生徒役の方々に対して「あの子たちヒゲダンスわかってない!」とコメントされていました。

ヒゲダンス!

懐かしいですね。昭和世代なら全員通じると思います。今は視聴するメディアが多岐にわたり、好みも細分化。テレビ番組にしても放送時間に観るとは限らないので、放送日の翌日にクラス全員がその話題で盛り上がるなんてことはないのでしょうね。

ヒゲダンスつながりで、全員集合といえば、

「かぁーらぁーすなぜ鳴くの、からすの勝手でしょー」

思わず節をつけて読んでしまった方は同世代(笑)

小学生には「何それ?」と言われるフレーズですが、加納朋子さんの「ななつのこ」には登場しますよ。


というわけで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「決まり文句に関することば」で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは聖光学院中にも出題歴がある「ぼくのメジャースプーン(辻村深月)」より

「鶏が先か、卵が先かじゃないんですか」鶏が卵を生むことが先なのか。それとも、先に卵があるからこそ鶏が生まれるのか。

出典「ぼくのメジャースプーン」辻村深月(講談社文庫)

「鶏が先か卵が先か」です。意味は「どちらか先なのかわからないこと」です。「卵が先か鶏が先か」という場合も意味は同じです。どちらが先なのか因果関係がわからない疑問や結論が出ない問題等に対して用います。
「将棋ボーイズ(小山田桐子)」にも以下のように登場しますよ。

卵が先か鶏が先かという問題のように、とっかかりすら分からない。やっぱり、自信なんて、自分にはまだまだ手が届きそうになかった。

出典「将棋ボーイズ」小山田桐子(幻冬舎文庫)



続きまして愛光中にも出題歴のある「天の瞳 少年編Ⅰ(灰谷健次郎)」より

ボロは着てても心は錦……という歌の好きなウエハラさんの男気に、子どもたちは添うているのである。

出典「天の瞳 少年編Ⅰ」灰谷健次郎(角川文庫)

「ボロは着てても心は錦」です。着ているものは粗末でみすぼらしくても、心は錦を着ているように美しく堂々としている様子から、意味は「窮乏していても誇り高くあり続けるさま」です。また、そのように内面は気高くありなさいという趣旨の標語でもあります。水前寺清子さんの「いっぽんどっこの唄」の歌詞の一部としても有名です。類語は「武士は食わねど高楊枝」

こちらは大阪星光学院中にも出題歴のある「天翔る(村山由佳)」に登場。

〈武士は食わねど高楊枝〉と言うだろう。誰だって、四六時中、理想の自分でいることなんかできやしない。

出典「天翔る」村山由佳(講談社文庫)


僕にとっては「貧乏暮らしだけど頑張ろ!」みたいな自分につぶやくことばです(笑)

それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第57回「決まり文句に関することば」を紹介させてください。

開けゴマ

何かを開ける時の呪文。物語「アリババと40人の盗賊」で、盗賊たちが盗んだ財宝を隠している閉ざされた洞窟が、「開けゴマ」と呪文を唱えると開くという設定がある。

スマホのアプリで音声認識によりドアを自動開閉できるものがあるそうで。物語の世界が現実に!


鬼が出るか蛇が出るか

前途にはどんな運命が待ち構えているのか予測できないという意味。

からくり人形を操る人形師が、人形の入った箱を開ける前に「鬼が出るか蛇が出るか」と言って観客の注意を集めたことが始まりらしいです。類語に「吉と出るか凶と出るか」。観客の注意を集めるものとしては、「当たるも八卦当たらぬも八卦」なんかも。


清水の舞台から飛び降りる

必死の覚悟で思い切ったことをする様子。非常に重大な決意を固める様子。京都にある清水寺の観音堂の舞台は切り立った崖の上にあり、飛び降りるには死ぬ覚悟が必要なところから言われるようになった。

実際に飛び降りる人がいたため、1872年政府が飛び降り禁止令を出したそうです。驚きです!

あと、何か高価な買い物で奮発するときに用いることもありますね。


神様、仏様、稲尾様

1958年の日本シリーズにおいて西鉄ライオンズに所属していた稲尾和久が見せた快投にたいする賞賛のことば。このことばから派生して伝説的な活躍をするプロ野球選手は「神様、仏様、〇〇様」と讃えられることがある。

僕は野球には疎いのですが「神様、仏様、田中様!」は記憶にあります。関西人なので「代打の神様」ということばの方が馴染みがありますね。


一宿一飯の恩義

旅の途中でちょっと世話になること。博徒の間で用いられていたことばで「一宿一飯の義理」とも言われた。旅の途中だけでなく、困ったときに手助けをしてもらったような場合にも用いることがある。


立てば芍薬、座れば牡丹(たてばしゃくやく、すわればぼたん)

正式には「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」立っても座っても、また歩いても、姿があでやかで魅力的な美人の形容。

都都逸の形式を備えた美しいことばですが、セクハラやルッキズムだと叫ばれるご時世では、容姿を賞賛することも難しくなりましたね。「美人」や「イケメン」ぐらいでもアウトって言われたり。不適切世代の僕はしんどい……。



今回、冒頭で「GTOリバイバル」の話題をあげましたが、最近「GTO」以外にも「シティハンター」「キン肉マン」「あぶない刑事」等々、80年代作品の映画化・アニメ化が盛んですね。

当時のジャンプ・マガジン世代の僕としては、ひそかにワクワクしてます!
小学生には「何それ?」でしょうけど(笑)



最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「『ない』が付くことば」を書こうと思います。「NHKしか観ない」「縦の物を横にもしない」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「お金に関することば」どうぞ!


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