見出し画像

今の小学生、悪口のボキャブラリーも乏しい!?

こんにちは。息子にまんまとやられました。

息子「何を言ってもオカチメンコって言ってね」

僕「よっしゃー!」

息子「鉛筆」

僕「おかちめんこ」

息子「消しゴム」

僕「おかちめんこ」

とこのやり取りが何回か続いた後、

息子「おかめちよこ」

僕「おかめちんこ。えっ!」

息子「ぎゃははは!ちんこ!」

僕「なんで…………。」

皆様ご存じでしょうか。「おかちめんこ」ということばを使ったゲームです。この「何を言っても…」ゲームはさまざまな種類がありますね。なぜか時としてクラスで流行ります(笑)

息子に「女の子にも仕掛けてんのか!?それはやめとけよ」と言いながら

(そもそも「おかちめんこ」ってことばを知ってんのか?)と思いました。

「おかちめんこ」って「目鼻がつぶれたような整わない顔をした女性のこと」で、誰かに向かってそう呼ぶと、言ってみれば「ブサイク」って呼んでるのと同じです。ふだん聞かなくなりましたね。

考えてみると息子の小学校はあだ名禁止で、クラスでは友達同士「さん付け」で呼び合うよう指導されています。「おかちめんこ」だけでなく、そのほかの人に対す呼び方も絶滅危惧状態。(参観日に、同級生と「さん付け」で会話しているところを見ましたが、個人的にはちょっと気持悪かったです)




というわけで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「人の呼び方」(今回は悪口版です)で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは「運命のひと(山本甲士)」より

岩瀬君が女子にぶつかったので注意したら、うるせえオカチメンコと言いました。

出典「運命のひと」山本甲士(小学館文庫)


「おかちめんこ」はこんな風に登場します。時代設定は昭和で、小学校のクラスの場面。意味は知らなくても、なんとなく悪口だということは読み取れそう。


続きまして大阪星光中・駒場東邦中にも出題歴のある「天翔る(村山由佳)」より

そういう世界を、あんたはもういっぱい知ってるんだもねえ。いつまでもネンネのまんまかと思ってたけど、おばあなんかとっくに置いてきぼりだわ

出典「天翔る」村山由佳(講談社文庫)

「ネンネ」です。年齢の割には恋愛や性の知識が幼稚な人、世間知らずの女の子をちょっと馬鹿にした表現です。もともとは、子守唄の「坊やはよい子だぁ、ねんねしーなぁー」の「ねんね」で、「寝る・眠る」の幼児語。そこから「はやくお家に帰って、お布団に入って寝なさい」と相手を子ども扱いしたことばです。類語は「うぶ」。

僕は、機動戦士ガンダムにおけるシャアの名言「坊やだからさ」を思い出しました。


それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第59回「人の呼び方(悪口版)」を紹介させてください。

イカレポンチ

「ぽんち」は「ぼんち」と同義で「坊ち」つまり未成年の男子のこと。「いかれた男子」を指して呼ぶことば。

フルーツポンチの「ポンチ」はもともとは「パンチ」で、ブランデーなどに果汁や砂糖などを交ぜた飲み物だそうです。


アンポンタン

間が抜けて愚かなこと、またそういう人を指すことば。「あほ」と
愚か者を指す「だらすけ」が複合して「あほんだら」ということばが生まれ、それがさらに変化して「あんぽんたん」になったという説がある。

ヤッターマンのドロンジョ様は「スカポンタン」と言ってました。これは「スカタン」と「アンポンタン」の複合語だそうです。


ゴンタ

やんちゃな悪童を指すことば。「義経千本桜」の登場人物である「いがみの権太」が語源。

関西弁のイメージがあります。「あいつはほんまにごんたやさかい」みたいに使われます。NHKの番組「できるかな」のゴン太くんを思い出す方もいるのでは。


ボンクラ

人より頭が悪い人や鈍い人、ぼんやりして行動が遅い人をののしることば。漢字では「盆暗」と表記し、サイコロを振る丁半博打である「盆」で読みが悪く負ける人、賭けに弱い人に対して使うことばであったものが広まった。


ズベ公

品行の悪い女性。だらしのない、素行の悪い女性。ずぼらと同じ意味の「ずべら」にののしる意味の「公」をつけたことば。

1970年代には、東映で「ずべ公番長」シリーズが製作されました。また、この時代には「スケバン」ということばもメディアで用いられるように。
僕も全然観たことがない映画ですいません……。




今回は悪口になる人の呼び名を拾い集めましたが、あまり聞かなくなったことばが多いですね。「人を傷付ける可能性があるので、あだ名はいけません」と「きまり」として指導されている小学生達は、あだ名で傷付けたり、傷付いたりする経験自体を積むことができません。それもどうなんかなぁと思っちゃいます。

ボキャブラリーに乏しく、ことばの応酬がなくてすぐに「死ね」みたいな究極のことばしか使えない子も多いですね。

例えば、同年代の登場人物が登場するような物語の読書を通じて、言葉のやり取りの疑似体験を増やしてくれたらなと願っています。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「小学生が知らない昭和の日常」を書こうと思います。「テープの片面がとぎれる」「ハズレと書かれた木の棒」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「『ない』がつくことば」をどうぞ!


この記事が参加している募集

#国語がすき

3,813件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?