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あの頃、お菓子の缶には何が入っていましたか?

「そのカンカン空になったらちょうだいや!」

子どもの頃、お菓子の缶や空き箱(特に贈答用の大きなもの)は魅力的でした。自分の宝物入れにするんです。ギザ10・牛乳のキャップ・べったん・怪獣消しゴム・グリコのおまけ等々……。人が見たらガラクタだと思われるような物がごちゃっと入ってました。

思い出の宝物入れはありますか。

100均で手軽なケースが入手できるようになり、子ども達がお菓子の空き箱をねだることもあまりないのでは。

昭和の少年少女の宝物と最近の小学生の宝物とでは、かなりギャップがあるので、小説を読んでいると、小学生が「何それ?」って思うことばがたくさん出現しますよ。

ということで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「コレクション・宝物に関することば」【小学生が「何それ?」って思うことば】を紹介しますね。

まずは「古切手集め」です。昭和40年代には切手収集ブームがありました。投機目的で値が上がりそうな切手を購入するんです。もちろん純粋にデザイン性に魅力を感じてコレクションしていた場合もあったでしょう。祖父母の方に聞けば、今でもお持ちかもしれません。

ただし、今の多くの小学生は切手を知らない!

日本郵便株式会社による2022年度の「手紙の書き方体験授業アンケート調査報告」によると小学1年生の51.4%が「年賀はがきを知らない」と回答しています。LINEやメールでのコミュニケーションによる影響もあると思いますが、多くの子ども達は郵便システムを理解していないようです。

僕の息子(小学生)も切手を知りませんでした。

だから本文中に「切手を集める」という表現が出てくると「何それ?」ってなるんですね。以下実際の作品を紹介します。

筑波大学附属中にも出題歴のある「キップをなくして(池澤夏樹)」より

コレクションは自分が生まれた昭和五十一年に発行された切手を集めるという方針で、ぜんぶで四十枚ほど。

出典「キップをなくして」池澤夏樹(角川文庫)


筑波大学付属駒場中
にも出題歴のある「ぼくは朝日(朝倉かすみ)」より

「切手とか、お金も集めてる」朝日は立ち上がり、玄関ドアを開けた。

出典「ぼくは朝日」朝倉かすみ(潮文庫)

「運命のひと(山本甲士)」より

修はそれらの写真や記事を切り抜いて、スクラップ帳にせっせと貼った。小学生のときに挫折した古切手集め以来のコレクションである。

出典「運命のひと」山本甲士(小学館文庫)

なんだか「きっぷ」「スクラップ帳」も通じないような不安もありますが。まずは切手のはたらきを教えてあげてくださいね。

続きまして、「おまじない(西加奈子)」より

小さな頃、私たちが田舎に帰ると、浮きちゃんが私と弟にくれるのは、決まってグリコだった。弟には男の子用、私には女の子用、キャラメルは美味しく、おまけは嬉しかったけれど、それは私が大学生になるまで続いた

出典「おまじない」西加奈子(ちくま文庫)

「男の子用、女の子用」です。グリコは昭和47年に男の子用、女の子用に分けられたそうです。バービーやシルバニアファミリーなどおもちゃの世界においてもジェンダーバイアスを取り除く方向に進んでいます。男の子用、女の子用に分けられた商品はどんどんなくなっていくはずですので、これからの子ども達にとっては、当時のグリコ「男の子用、女の子用」も「何それ?」ってなるんでしょうね。


それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第47回「コレクション・宝物に関することば」を紹介させてください。

ブロマイド

俳優・歌手などの肖像写真。写真伸ばし用の印画紙であるブロマイド紙が用いられたので、そう呼ぶようになった。

仮面ライダーカードやビックリマンチョコのシールそしてポケモンカードと時代時代で紙物コレクションのブームは続いていきますね。


スクラップ帳

新聞・雑誌記事などを切り抜いて貼り付けるための帳面。

今はアプリでスクラップする派の方が多いのでしょうか。
以下は無料でもらえるスクラップ帳です。


ポケットアルバム

写真をポケットに差し込んでいくタイプのアルバム。従来の張り込んでいくタイプのアルバムに比べ、手軽に写真を整理できる。

アルバムもアプリで作成するのが主流でしょうか。
ナカバヤシのフエルアルバム……。懐かしい。


ゲームウォッチ

1980年任天堂発売の携帯型液晶ゲーム機。ゲームをしないときは時計として使える。1983年にファミリーコンピューターが発売されると、それに人気を奪われ、国内では1985年で発売は終了した。

ドンキーコングやマリオブラザーズなど記憶にある方もいらっしゃるのでは。ちなみに麻布中に出題歴のある「家族シアター(辻村深月)」に登場しますよ。


金のエンゼル、おもちゃのカンヅメ

森永製菓が販売している「チョコボール」の箱上部取り出し口側面に「金のエンゼル」「銀のエンゼル」が印刷されていて、金なら1枚、銀なら5枚でおもちゃが入った缶入りの玩具詰め合わせと交換できる。1967年2月「まんがのカンヅメ」1969年4月「おもちゃのカンヅメ」がスタート。


もし過去に戻れるのならば、引っ越しの際に処分されてしまった宝物入れを取り戻したいと思うことがあります。

現在5年生の息子にも宝物入れがありまして、折り紙、ゴルフボール、BB弾、輪ゴム、クリップ等々本当に雑多なものが入っております。

妻に捨てなさいと言われたものを、こっそりそこに入れているところも見かけたことがあります。僕は少年時代の自分を思い浮かべ、決して捨てなさいとは言えません。本人だけの価値があるんですよね。

そんな息子ですが、今月の誕生日に何が欲しいと聞くと

「ヨギボー!」ですと。

「えっ?」ってなっちゃいました。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「雑誌に関することば」を書こうと思います。「学研のおばちゃん」「ぴあ」などなど…。

よろしければ前回の記事です。いろんな「たとえ」を知っていこう!をどうぞ!


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