見出し画像

小学生のパパ・ママ世代にはわかる!付録欲しさで買ったあの本。

「まだかな、まだかな~、学研のおばちゃんまだかな~」

小学生向け学習雑誌「科学」「学習」の訪問販売のCMソングです。正式には、「学研のおばちゃん」ではなく「学研コンパニオン」と呼ぶそうです。

僕はこの歌詞の通り、本当に待ち遠しい思いで学研のおばちゃんを待っていました。上記の歌詞を読むときも無意識に「節」がついてしまうほど思い出深い雑誌です。

幼少期、裕福な暮らしではありませんでしたが、この雑誌だけは母が定期購読してくれていました。(80年代の価格はおそらく500円だったと思います)一番の魅力はなんといってもあの付録です!僕が買ってもらっていたのは「科学」(3年の科学・4年の科学など学年ごとにありましたね)でしたが、近所に「学習」を購読している友達もいて、ときどきそっちの付録が猛烈にうらやましく思うときもありました。

テレビマガジンなどの幼年誌や小学館の学年誌にも魅力的な付録があり、少年時代の「付録」経験が自分の購買欲求を育んだと言っても過言ではないかもしれません。だから大人になった今でも「豪華付録付き!」なんて聞くとわくわくするんでしょうね。

ちなみに学研は2010年に家庭訪問販売事業から撤退。「科学」と「学習」も同年休刊しています。ということで今の小学生には「何それ?」って思われる雑誌なのですが、中学入試問題頻出作家さんの作品には登場するんですよ。

筑波大学附属駒場中にも出題歴のある「ぼくは朝日(朝倉かすみ)」より

山口くんのお母さんは月に一度、学校にきて、『科学』と『学習』を売る。どちらも学研の雑誌で、だから山口くんはサムをいち早く買ってもらえたのだ。

出典「ぼくは朝日」朝倉かすみ(潮文庫)

この作品の時代設定は1970年ですが、当時は直販と言って、小学校内で代金を集め雑誌を手渡ししていたそうです。教室内で友達が受け取っているのを見て、自分も欲しくなるという「友釣り」効果が見込まれたとのこと。

さらに、麻布中にも出題歴のある「家族シアター(辻村深月)」より

はるかは、『学習』。うみかは、『科学』。学研の『科学』と『学習』の発売日は、給食調理室の前に長蛇の列ができる。

出典「家族シアター」辻村深月(講談社文庫)

この場面でも小学校で購入していることが描かれています。「5年の学習に連載している漫画が面白い」というような描写もあり、学習雑誌でありながらも当時の小学生がそこにある漫画を楽しんでいた様子がうかがえます。

僕も石ノ森章太郎さんのチックンタックンが好きでした。ご存じでしょうか……。



ということで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「雑誌に関することば」【小学生が「何それ?」って思うことば】を紹介しますね。

付録の家計簿

ねじめ正一さんの「赤チンの町」(新潮文庫)に「母親は美智子さんに夢中だった。さすがに週刊誌までは買わなかったが、付録の家計簿欲しさに十二月だけ買っていた」という文章が出てきます。

1917年創刊の「主婦の友」が婦人誌で初めて「家計簿」を付けたそうです。現在も「婦人画報」付録のダイヤリーが人気だったりしますね。ただ100均が普及し、わりとなんでも手軽に手に入るので「付録欲しさに」という感情は薄れているのかなと思います。ダイソーの展開開始が1987年からなので、それ以前と以後では消費者のニーズも変化しているはず。

我が家に送付されてくる進研ゼミさんのDMを見ると、子ども心がくすぐられるような付録や広告があり、付録戦略が現役であることを感じます。
さまざまな付録情報がわかるサイトもありますよ。



ペンパル

ペンフレンド。文通仲間のこと。「パル」はジプシー語で「兄弟」の意。

昔の雑誌には「ペンフレンド募集」のコーナーがありました。「りぼん」や「ちゃお」の広告を覚えている方もいらっしゃるのでは。学研の中学コースや旺文社の中学時代にもありましたね。そこでは個人情報掲載しまくりだったなあと懐かしく思います。


ソノシート

1958年フランスのメーカーで開発された、きわめて薄い録音盤。素材は塩化ビニール等。1960年代から学年誌や絵本の付録として広まった。

長年の間、小学館の「小学1年生」がソノシート&ペーパークラフトを付録に付けていました。2005年に東洋化成さんを最後に日本国内での生産が終了しているそうです。


ファミコン雑誌(ゲーム雑誌)

ゲームに関する情報を扱った雑誌。コンピューターゲームの攻略記事や裏技紹介、新作発売情報などで構成される。

1985年に「ファミリーコンピューターMagazine」が創刊し、そこから独立した「ファミコン通信」が「ファミ通」として刊行中です。「裏技」なんてことばも久々感が。ファミコン・ゲームボーイ・DS・Switch……。多世代の思い出の中になにかしらのゲームがあるんでしょうね。


タブロイド新聞

1ページが新聞の大きさの半分程度の大きさの判型の新聞。広報誌、業界紙、社内報、学級新聞などに用いられている。特に大衆受けする事件を派手に扱う通俗大衆紙をタブロイド新聞と呼ぶ。

「日刊ゲンダイ」・「東京スポーツ」・「夕刊フジ」は3大タブロイドと呼ばれます。僕は関西なので目にしていたのは「大スポ」です。なんと1面に「ネッシー捕獲」の記事&写真が!オカルト誌の「ムー」を感じさせる楽しみがありました。


ぴあ

1972年から2011年にかけて出版社「ぴあ」が発行した情報誌。映画・演劇・音楽・美術・スポーツ・イベント・講座・新刊などの情報を掲載。紙のインターネットとも呼ばれた。

重松清さんの「送り火」(文春文庫)に「学生時代には『ぴあ』で名画座のプログラムを必死になってチェックしていた」という文章が出てきます。同じような行動をしていた方も多いのでは。及川正通氏の表紙イラストも思い出します。



90年代は、大阪の心斎橋にある書店「アセンス」に入り、「ぴあ」・「Lmagazne」・「Meets」をあさりながら、何しようかなとか、どこの店行こうかなぁなんて検討していました。

まだスマホが普及していなかった頃です。

当時通っていたデザインの専門学校の先生が「新聞を読むこと、本屋に行ってあらゆるコーナーを見ること、通学経路を変えて学校に来ること」これを毎日行うようにと指示されたんです。

僕は毎日本屋に行き、好みの本のコーナーだけでなく、本当にあらゆるコーナーをめぐり、本を読むというか観察しました。女性誌や学術書のコーナーではかなり浮いていたはずです。幼年誌の売っているコーナーでは、幼い子どもにギョッとされたこともあります(笑)

今思えば「自分の興味のある範囲だけに留まらずに学びなさい」ということだったのかもしれません。実際、後のデザインの仕事には役立ちました。


今は、スマホのパーソナライズ機能や行動ターゲティング広告などにより、知らず知らずのうちに自分の範囲を限定してしまっているのではと感じます。

「あんたが猫動画ばっかり観るから、こっちのスマホにもめっちゃ猫でてくんねん!」

妻の叫びです……。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「遊びに関することば」を書こうと思います。「馬乗り」「草相撲」などなど…。

よろしければ前回の記事です。コレクション・宝物に関することばをどうぞ!


この記事が参加している募集

#読書感想文

190,781件

#国語がすき

3,833件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?