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だから出題される!「友情・成長・家族」が詰まった世界。

 昨日は全国高等学校駅伝の日でした。毎年テレビ中継されますが、ランナーさん達のひたむきな姿に陸上経験の全くない僕もつい見入ってしまいます。

そこで今回は駅伝を題材にした作品から見つけた【小学生が「何それ?」って思うことば】を紹介しますね。

駅伝に限らず、スポーツを題材にした中学入試頻出問題作家さんの作品はたくさんあります。例えば、2005年前後に多くの学校で出題されたあさのあつこさんの「バッテリー」は有名ですね。

主人公の中高生が、スポーツを通して個々が自立・成長し、仲間と友情を育む。また、支えてくれる指導者や家族への感謝。こういう内容が中学受験の入試問題には適しているのだと思います。努力し成長する登場人物の心情を読み取れる、そして同じく努力してくれる生徒さんに入学してほしいという学校サイドのメッセージでもあるはずです。

今回紹介する作品は受験生に限らず、小学生の皆さんにおすすめです。展開もわかりやすいですし、中学校での部活の模擬体験になると思います。(僕自身ももっと小学生の頃に読んでおけばよかったと、反省しています)

 では今回読んだ作品です。

「白をつなぐ(まはら三桃)」・「駅伝ランナー(佐藤いつ子)」・「あと少し、もう少し(瀬尾まいこ)」・「一瞬の風になれ(佐藤多佳子)」・「空をつかむまで(関口尚)」(※「空をつかむまで」は主人公達がトライアスロンに挑戦します)

「あと少し、もう少し」は洛南高等学校附属中学校、「一瞬の風になれ」は甲陽学院中学校、「空をつかむまで」は西大和学園中学校で出題です。僕は関西在住ですが、なかなかの難関校揃いだなと。

作品を読む際に、当然スポーツの専門用語はわからないと思いますが、雰囲気を捉えて読み進めばいいと思います。例えば以下の箇所。

今日は1000のインターバル三本、間のジョグは一周四十秒で。最後の1000のタイムはフリーね。
出典「あと少し、もう少し」瀬尾まいこ(新潮文庫)

「インターバル」「ジョグ」は「何それ?」となっても、「なんか練習メニューだな」みたいな感じで。(「ツーアウト満塁!」なんかも「何それ?」ってなる小学生が多いです)

では南山中学校女子部にも出題の「白をつなぐ(まはら三桃)」より

外部コーチという不安定な立場にもかかわらず、保護者たちからのクレームにも負けず、ほとんど手弁当で指導しているという。
出典「白をつなぐ」まはら三桃(小学館文庫)

「手弁当」です。「自分で弁当を用意して働くこと。」ですが、そこから転じて「費用を自分が負担して働くこと。ボランティア精神で働くこと」を意味するようになりました。類義語は「自腹」です。

続きまして、

特に屋台骨の大きかった高校の陸上部では、結果を出す選手と、出せない選手たちの間で温度差があった。
出典「白をつなぐ」まはら三桃(小学館文庫)

「屋台骨」です。「一家を支える働き手。組織を支える中心となるもの。また、そのために必要な財力・資力のこと。」類義語は「大国柱」です。

それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第35回「青春小説~駅伝特集~」を紹介させてください。

泥棒回り

車座になってゲーム等をするときに、右から左へ順番を回すこと。和服の場合、手が懐へ入る形になるところからそう言われる。右回り・時計回りのこと。
陸上のトラックは左回り・反時計回りです

バンカラ

「蛮カラ」と表記。明治期の「ハイカラ」をもじった言葉で「ハイカラ」を否定して、粗野や野蛮を振舞う人をいう。「表面の姿形に惑わされずに真理を追究する」という姿勢を表している。

僕は「バンカラ」と聞くと大学の応援団とパチスロ「押忍!番長」の轟金剛を思い浮かべます。(パチスロやりませんが……)


好事魔多し

ものごとがうまくいきそうなときには、邪魔が入りやすいこと。好調であるときほど注意しなければならないという戒め・注意喚起のことば。

タライ回し

たらいを足で回し、そのたらいを順々に隣の人に受け渡していく様子から「物事を最後まで処理せず送り渡すこと」を指すようになった。

染之助・染太郎の傘回し「いつもより多く回っております」も小学生には「何それ?」でしょうね(笑)


MD

ミニディスクの略。ソニーが1991年に発売してデジタルオーディオの媒体。MDレコーダーやMDプレイヤーで録音・再生が可能。現在も販売中。

MDは懐かしい方がいらっしゃるのでは。僕は持ってませんでした。あとレーザーディスクも小学生には「何それ?」です。CDもそろそろ危ないかも。


昔、全国高校駅伝に出場するチームが前日に前乗りして宿泊する京都の旅館でアルバイトをしていました。競合校と言われるチームの生徒さんの礼儀正しさに驚いたことを覚えています。また、部屋の中に置く荷物もきっちりと整理整頓されていました。第一走者からアンカーまで、順々に時間をずらして朝食を摂ることにも感心しました。ゆっくり起きてきて全員で朝食を摂るチームとは結果が歴然としてましたね。当時ただのフリーターだった僕は、「真剣にやるってこういうことなんやな」と学ばせてもらいました。

人生のある時期(特に10代)に、何かに打ち込むことって素敵なことです。今回読んだ作品以外にも「風が強く吹いている(三浦しをん)」・「ランナー(あさのあつこ)」・「襷を君に(蓮見恭子)」などなど小学生の皆さんに読んでほしい作品がたくさんありますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「色がつくことば」を書こうと思います。「鼻白む」「青写真」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「パ行がつくことば」をどうぞ!


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