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自転車日本一周の旅50日目

朝起きて、Mが仕事に行くのを見送った。カギはある場所に隠してくれればいいから、ゆっくりしていけという。二度寝をかまして家を出た。Mありがとう!楽しかった!

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少々二日酔いだったので、ピンクがかったオレンジ色のカレーを食べる。夕月という店で、カレーはバターが効いた独特な味だった。




ご飯を食べて長崎をあとにする。本当に最高の街だった。

来た道を少し戻る。いくつか山を超えたあと、行きに通った花だらけの道を右に曲がって東に進んだ。いい天気なので気持ちがいい。

坂道のない、平坦な道をまっすぐ走る。左手に見える海を眺めながら進み、途中、スーパーに寄ってヨーグルトとカレーパンを食べた。

走っていると道の駅のような店を見かける。カステラを見て、長崎に行ったのにカステラを食べ忘れていたと気づく。買うか悩んだが、試食すると満足してしまった。すいません。出発する。

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島原市に着いた。めちゃくちゃわかりづらい写真だが、島原城である。

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武家屋敷や島原城を見て回る。江戸時代の風情よりも、昭和感漂うレトロな街並みの方が気になった。

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その後、島原フェリーターミナルでチケットを購入。時間が来るまで近所をフラフラしたり、建物を見たりして時間を潰した。

乗船時間になったので乗り場の近くに行き、スマホを触ろうとするとポケットにないのにきづく。あれ、と思って探すも、どこにもない。

行列が船の中に飲み込まれていく。さすがに焦ってきた。列に現れた美人なおばさんを見ながら必死に考える。スマホどこに置いたっけ。スマホどこに置いたっけ。

スマホ、どこに置いたっけ!???

美人なおばさんが船の中に飲み込まれて行くのを見ていると思い出した!

僕は、切符を買うときにスマホを取り出して、それ以来使っていなかったのだ。切符売り場に走った。

だがチケット売り場に着くも、スマホはどこにもない。時計を見るとフェリーの出発時間が3分を切っている。自転車は先に積んであったので、このままでは自転車だけが行ってしまう。

さすがに焦っていると、お土産屋のおばさんに話しかけられた。

「これ、もしかして!!」

おばさんの手には僕のスマホが握られていた。

「ああ!それ僕のです!」

そう言った瞬間、店にいたおばさんの店員4名ほどが声を上げる。

「よかったなぁ!」「きをつけや」「がんばって!」などと声をかけられながらフェリー乗り場に走った。周りの視線が気になり恥ずかしかったが、応援してもらえたので嬉しかった。

フェリーになんとか間に合った。席に座ると安心して寝てしまい、目が覚めたら熊本市に入っていた。熊本市はすでに真っ暗だった。

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今日は大学の友達であるSちゃんと飯を食う約束をしていたので熊本駅に行く。熊本市街も栄えており、九州という場所のパワーを感じる。

Sちゃんとはラーメン屋で会った。Sちゃんと昨日泊めてもらったMと僕は共通の友達だ。そしてMとおなじくSちゃんも記者をやっている。

僕の周りには記者が多い。僕も某有名スポーツ新聞社を記者志望で受けており、「子供にバレないエロコンテンツとして、官能小説を提案します」という内容だけで最終面接の手前まで行ったことがある。

ちょっとエロい企画が受けていて、面接官に「君が小林くんか。話は聞いとるで〜」といわれることもあった。

だが最終前の役員面接で「エロいコンテンツを!」と言ったらめちゃくちゃ滑ってしまい、落ちた。

だから記者をやっている人はすごいと思う。

僕はSちゃんにラーメンをおごてもらった。何日連続でおごられてるんだ?そしてSちゃんはスクープを発表するタイミングが他の記者に遅れたと悔しがっていた。

僕はラーメンを食べながら、記者はなんと大変な仕事なんだろう、と思った。だがSちゃんは楽しそうだった。目を輝かせながら、自分が扱う事件について語ってくれた。素晴らしいことだ。

ラーメンと食べ終えると、Sちゃんはまた仕事に戻って行った。その背中を見ながら、僕も頑張ろうと思った。Sちゃん、ラーメンサンキュー。

いよいよ旅も終わりが見え始めている。あと2週間で僕は日本一周を終えるのだ。最後まで全力で駆け抜けたいと思いながら近くの道の駅まで走り、近くのスーパーでビールと焼酎を買い、星を見ながらめちゃくちゃ酒を飲んで寝た。

生きます。