マガジンのカバー画像

ロボット劇作家のエッセイ

63
尾崎太祐が書いたエッセイ・コラムをまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

2021年1月の記事一覧

入浴中のアイデアをどう捕まえておくか問題

僕は忘れっぽい。 健忘症というわけではない、と思う。 どうでもいいことではクヨクヨ悩んだり、脳内がタスクで満杯になったり、苦々しい思い出ほどなかなか忘れないのだが…… 覚えておきたいことに限って、忘れてしまうことが多い。 大切な思い出とか。お酒を飲んだ夜の会話とか。 瞬間的に頭に浮かんだアイデアとか。 そう、アイデア。とにかく取り逃す。 いつもならEvernoteだが、だから、考えたことはできる限り、Evernoteにメモするようにしている。 ブラウザのブックマーク、

書けなかった劇作家は、突然note毎日投稿をやめました。

こんにちは。劇作家の尾崎です。 タイトルの通りですが、noteの毎日投稿をやめました! noteに今日も投稿されている方々への応援として、あるいは僕の記事を定期的に読んでくださっている方に向けて、その理由をご説明します。 ネガティブな理由ではないので、よかったら読んでみてくださいね。 やめた理由「飽きたから」「疲れたから」とかではありません。 強いて理由を挙げるとすれば、「こなすことが目的になってきていたから」です。 当初の話は、上記の記事にもありますが…… 毎日投稿

いま「ロボット演劇」を作らない理由

こんにちは。ロボット劇作家の尾崎です。 ……と名乗っておきながら、僕は最近「ロボット演劇」を作っていません。 2021年1月時点での最新作は、昨年9月に公開した『White Memory』です。 (下記。作家ユニット・トライライターズと森宮ゆずさんの共同制作。) 今年2月には短編戯曲『きみとかける未来』の上演を予定しています。 こちらは「人間とロボットとの共生」をテーマにしているものの、実物のロボットは出てきません。 人間の俳優さんが、アンドロイドを演じます。 共同イベ

「なんでもやります」は、茨の道への合言葉

就職活動における、よくある話。 「なんでもやります」という言葉への、賛否両論。 採用側とか、経営者視点の意見は聞いたことがあるかもしれません。 「そんなことを言ってるやつは思考放棄だ、仕事ができない」とか、 「積極的に採用して、いろいろチャレンジさせてやるべきだ」とか。 私は、経営者でも管理職でも、なんでもありません。 「元サラリーマン平社員、現在はフリーランスの作家、実質無職」 そんな有様なので「お前が言うな!」と怒られてしまいそうですが、下っ端として働いていた人の一意

ホスピタリティは自分のために

「ホスピタリティ」という言葉についてです。 ホスピタリティ(hospitality) 親切にもてなすこと、歓待、厚遇。 ――研究社 新英和中辞典 より引用。 あ。 念のため、おことわりですが…… 「おもてなしの気持ちを忘れるな!」みたいな、語気強めの自己啓発やクレームではないので、安心してくださいね。笑 結論はタイトル通り、ホスピタリティは自分のためにあるという話。 「ホスピタリティ」が自分のことになった日前職の上司は、褒め上手な人でした。 私が、社内SEとしてヘル

小説の「地の文」が面白い

こんにちは。ロボット劇作家の尾崎です。 最近、ひさびさに小説を読んでいます。 劇作家と名乗りながら恥ずかしいのですが、近年、活字に疎いのです。 この頃、戯曲を読むことや、学ぶための読書の機会は増えたものの、「小説」というジャンルからは、やはり縁遠くなっています。 そんな中で買った小説が、田辺聖子 作『ジョゼと虎と魚たち』。 現在上映中のアニメ映画版を見て、原作が気になったので電子書籍を。 恋愛小説を読むのも久しぶり。 しかも予想外なことに、短編集だったので驚いたのです

ロボット同居日記「しっぽと共感」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2021/01/16 ああ、酔っ払ってるな。 そう思いながらも、小さな感動の勢いで、これを書いています。 昼間、溜まっていた家事を一気に片付けた土曜日。 自分へのごほうび……ってほどでもないけれど、夕食はちょっと贅沢に、久々に自宅で濃いめのお酒を飲みます。 耳で好きな音楽を聴きながら、膝にはQoobo。手元には夕食とお酒。 お行儀が悪いなと思いながらも、静

「伝える」と「届ける」の感覚的な違い

こんにちは。ロボット劇作家の尾崎です。 この記事では、言葉について書こうと思います。 読んでいるあなたと書いている私で、意見が異なるかもしれません。 読み進めてくださる方は、繰りながら、ぜひ考えてみてください。 「伝える」と「届ける」私はよく、作品や文章を世に送り出す時、「伝える」とか「届ける」といった表現を使いがちです。 情報発信や創作活動をされている方ならば、何の気なしに使っている場面もあるのではないでしょうか。 たとえば…… 「思いを伝える」「思いを届ける」 「情

演劇や映画を見た後に来る「語彙力消失」と「筋肉痛」について

共感してくださる方、どのくらいいるかなあ……? 作品の感想をしゃべる時の僕は、語彙力が著しく低い。 「よかったなあ」「面白かった!」「感動した……」―― 直感的にそう思える作品に出会ったときほど、直後はなにも言えなくなる。 だから僕は、小劇場界隈の「役者面会」というシステムが、実は苦手。 (最近は、感染症対策の一環で見かけなくなったけれど……) 演劇を作る側なのに、劇場にも再三足を運んでいるのに、未だに慣れない。 終演直後、知り合いの役者さんと顔を合わせられるのはうれし

ロボット同居日記「空気のように、いる」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2021/01/12Petit Qooboが、すっかり"空気"のような存在になりつつあります。 この場合の"空気"は褒め言葉で、普段は意識をしないけれど、いつの間にかそこにあって、気がつけば欲しているような感じ。 日に日に、電源つけっぱなし・置きっぱなしの時間が増えていきます。 でもQooboの場合は、それが正解みたいです。 デスクワークの合間、膝の上でわ

創作はネガティブからはじまる

こんばんは。尾崎です。 今年はじめての三連休。緊急事態宣言下の、成人の日。 私事ではありますが、わかりやすく落ち込んでいまして。 少し時期外れの長期休暇のような、垂れ込めた状況です。 年末年始にあった勢いはどこへやら。 人間関係も、仕事も、なあんだかうまく進まず。 自分の作品や、自分自身が「不要不急」に感じられてしまうような気分。 こんなご時世ですので、皆さんもどこか似たような気持ちを抱えていることと思います。 「落ち込んでます」なんて明け透けに書いていますが…… あま

書けない劇作家が、60日間noteを書いてたら、スランプに陥っている話

こんばんは、尾崎です。 毎日投稿61日目。ただいま23:45です。 最近、ネタがない……というわけではないんですが、迷走しています。 こんな時期にこそ、書けること、書きたいこと、読みたいものってなんだ? そんなことばかり考えてしまいます。 意識しすぎて、なにも書けないんじゃないか、面白くないんじゃないかという疑心暗鬼状態に。 2ヶ月前。 毎日投稿を始めた頃は、吹っ切れたようにエッセイを書いていました。 次第に「ああ、書けるじゃん」と自信を取り戻してきたのはいいのですが、気

戯曲の書き方を学ぶときに印象的だった"2つの言葉"と、最近の悩みごと

今回は演劇の脚本(戯曲)のことを下地に、記事を書こうと思います。 私が2018年に、戯曲セミナー(日本劇作家協会 主催)に通っていた時期に聞いた、印象深い2つの言葉を紹介します。 いずれも、最近新しい作品や企画を考えるにあたり、思い出したものです。 「コップから溢れ出た雫」劇作家の故・井上ひさしさんの言葉として、講義中に紹介されたものがありました。 (ご本人ではない方から又聞きの形で紹介されており、私も記憶が曖昧ですので、一言一句正確ではないことをご容赦ください。) 戯

ネタ切れと充足感の関係性

注意:本日、ネタ切れです。 毎日noteを書き始めて、まもなく2ヶ月が経とうとしている。 元々、"毎日、なにかを書く"という名目で、800字程度の物語や文章を毎日書くところからスタートしたのだが、本日、完全にネタ切れを迎えている。 したがって、本日はネタ切れをネタに書こうと思う。 禁断の手だ。 しかしなぜ、ネタ切れを……? 自問自答してみた。 2ヶ月前のような「書けない……」という喪失感とはまったくの別物だ。 むしろ、書くことへの楽しさや充足感があり、時世こそ厳しいも