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「なんでもやります」は、茨の道への合言葉

就職活動における、よくある話。
「なんでもやります」という言葉への、賛否両論。

採用側とか、経営者視点の意見は聞いたことがあるかもしれません。
「そんなことを言ってるやつは思考放棄だ、仕事ができない」とか、
「積極的に採用して、いろいろチャレンジさせてやるべきだ」とか。

私は、経営者でも管理職でも、なんでもありません。
「元サラリーマン平社員、現在はフリーランスの作家、実質無職」
そんな有様なので「お前が言うな!」と怒られてしまいそうですが、下っ端として働いていた人の一意見として、読んでみてください。

いつもよりちょっと長め、語気強めの記事ですが、熱は込めています。
ちなみに、私はこれに気づくまでに5年半かかりました。

自分を呪い、茨の道へと誘い込む

あくまで、持論ですが……
「なんでもやります」は、働く自分自身を呪う言葉だと思っています。

未熟なりに、自分の覚悟を表す言葉としては、ベターです。
意気を示すことで「面白い!」と買ってくれる人もいるでしょう。
ただ、そのあとには間違いなく茨の道が待っています。

もう少し詳しくお話しすると、
「なんでもやります」と言うことによって、以下の副作用が起こります。

「なんでもやります」の副作用
① ミスマッチを起こす
② 自分自身のキャリアや人生設計が迷走する
③ 本物に出会った時、喪失感や恐怖心が大きくなる

要は「遠回りすることになるよ」ってことです。
もう少し、掘り下げて書いてみます。

ミスマッチを起こす

運良く入社できたとしても、これは間違いなく起こります。
大企業だろうが、スタートアップだろうが、ホワイト・ブラックも問わず。
「あ、違うな」が必ず発生します。

「なんでもやります!」→「よし採用!」なんてないと思いますが……
採用担当者が、面接であなたの性格や考え方を当てるなんてことはなく……
見ているのは「この会社への適性」「伸び代」くらいです。
「なんでもやります!」が先で、こちらの意志や希望が二の次だとすると。
配属時にミスマッチを起こす可能性が高いです。

もちろん、希望を伝えたからと言って、100%叶うなんて保証はありません。
希望通りの部署になったって「あれ、なんか違うぞ……」なんてザラです。

でも、面接の場で自分の希望を強く主張しておくことには意味があります。
近しい領域やPJに配属される可能性も高まります。その後のフットワークも軽くなるはずです。

自分自身のキャリアや人生設計が迷走する

心意気だけでとりあえず始めてしまう、という考え方もあるのでしょう。
しかし、個人的にはおすすめしません。
その後、かなり迷走するからです。

「なんでもやります」は、キャリアの行き先を相手に委ねる危険行為。
会社に舵を任せてしまう禁句だと思います。

「なんでもやります」なんて、配属後であっても言わないほうがいいです。
「仕事を覚えて、学んでいるうちに見えるものもあるだろう」?

そんな余裕はないです。
あっという間に現場の忙しさに振り回されます。
自分の現在地がわからなくなります。

自分のキャリアイメージや希望を伝える機会が作れるならば、積極的に具体的に話すことをおすすめします。

いやいや、今やりたいことなんてないし、選べない。
本当はやりたいことがあるけれど、今の状態から一足飛びには難しい。
そういう方もいるでしょう。

目の前の選択肢も限られているかもしれません。
明日を生きていくために、なにがなんでもやる、という方もいるでしょう。

でも、だからといって「なんでも」でいいのでしょうか?
その言葉は、混迷を極める原因になりませんか?
焦らず、いったん立ち止まってでも、考えることをおすすめします。

どうせ、どこかで考えなければいけない時が来ます。
早めに考えたほうが、守るものもないし、こじれてないのでラクです。

本物に出会った時、喪失感が大きくなる

この「本物」という表現には、2つの意味があります。

ひとつは、「自分にとって本当にやりたいこと」
もうひとつは、「この仕事を、本当に好きで取り組む人」

本当にやりたいことなんて、どうせ新卒採用時には見つかってないのです。

そこで、「なんでもやります」と言ってしまうか。
結果的に違っててもいいので、意志を持って、希望として伝えるか。

先にも書いたとおり、
「自分で舵取りできているかどうか」という点で大きく違います。

自分で舵取りせずに来て、「本当にやりたい!」と思うものに出会った時。
それまでやっていたことが、すべて無駄になってしまうような喪失感を味わうことになるかもしれません。

とりあえず頑張って、迷走しながらも踏ん張ってみた。
でもイマイチ成果が上がらない。自分でも成長を実感できない。
そんな折、「この仕事がいいんです!」って入ってきた人がいたとします。
おそらく、その人は素早く成長します。好きこそものの上手なれ。

そうなった時、あなたは何を思い、どう感じるでしょうか。

今の居場所を、自分が希望して納得して選んだのかどうか。
立ち直りのスピードにも、だいぶ違いが出るはずです。

人間関係がいい職場の落とし穴

余談ですが……
入ってみてからしかわからない要素として、「人間関係」があります。
「仕事はそんなに好きじゃないけれど、人間関係が好きで続けてます!」
そんな方も多いのではないでしょうか。

私も、辞める前の3年間はそうでした。
「仕事は好きじゃないけど、人間関係はいい職場」だと感じていました。
あとは、自分に言い聞かせるように勤め続けました。

個人的には、実はこれが一番決断を鈍らせるタネだったわけですが。

その人間関係には、いつか終わりが来ます。
異動、転職、組織変更、業務内容の変化。
それでも、あなたの仕事は続きます。
お人好しのあなたはきっと「人間関係」を大事にして、悩みます。

しかし、会社は学校のような、ともに学び、仲間を作る場ではありません。
あくまで仕事(業務)がベースにあって、付随してくるのが人間関係です。

その人間関係が、明日終わったとしたら。
あなたはその会社に、本気で残り続けられますか?

なんでもは、やらない

ということで、結論は至ってシンプル。
「なんでもやります」は言わない。

やればいいってもんじゃないです。考えましょう。
他の誰でもない、自分のためにです。

もし今、あなたが自分のキャリアに迷っているなら、追われるものから一旦逃げてでも、じっくり考えることをおすすめします。
新卒入社を控えている学生さんなら、とりあえず決めてしまう前に、立ち止まって考えてみてください。早いうちに。

自分で考え、意志を持って。
間違っててもいいので、はっきりと希望を伝える。

どうせ、一人で全部なんてできないんです。
自分の好きな、得意なことはなんなのか。
考えて、捨てて、選び取るのです。

そうしてたどり着いた仕事なら、きっと好きになれると思いますよ。



※参考:5年半の迷走 関連記事


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