見出し画像

中小企業の採用を成功させる、「未経験者歓迎!!」を「誰でもいい」という意味にしない方法と考えかた


こんにちは、採用コピーライターのたいすくです。
僕は、『エン転職』という求人サイトで14年にわたって4000件以上の採用成功をお手伝いしてきました。特に得意としているのが、一般的な知名度が高くない中小企業の採用のお手伝いです。

そのような中小企業の経営者・人事の方に向けて、僕が培ってきた採用ノウハウをお伝えするこちらの連載。今回は、求人広告ではおなじみの「未経験者歓迎!!」についてです。

応募が来る求人広告、採用成功している求人広告に共通しているのは、「未経験者歓迎!!」が「誰でもいいから応募してくれ」というメッセージにはなっていないこと。「来てほしい人」が求人広告上で明確になっているんですね。それはどういうことなのか、どうすればいいのか、お話ししていきたいと思います。


ただの「未経験者歓迎!!」は応募が来ない

0ライン

驚く1280×500

「できるだけ多くの人が応募できるように、応募条件のハードルは下げて未経験者歓迎にしましょう」。このようなことを、求人サイトや広告代理店の営業から言われたことはありませんか。

これ、打ち手の方向性は間違っていないのですが、間違っています。くわしく説明していきますね。

求人サイトの多くは「未経験者歓迎!!」の表記をすると、広告の裏の設定で未経験者歓迎フラグが立ち、求職者の求人検索でヒットしやすくなります。分かりやすく言うと、多くの求職者の目に止まりやすくなるんです。ここまでOKです。

でも、問題はここから先。

未経験者歓迎じゃない求人広告の場合、何かしらの応募条件が書かれています。「営業経験●年以上」とか、「簿記2級をお持ちの方」とか、「Excelで関数が使える方」とかですね。応募条件がついている求人広告は、応募できる人は万人ではありませんが、どんな人が求められているのか分かりやすいのです。

しかし、何の応募条件もついていない「未経験者歓迎!!」の求人広告はどんな人を求めているのか分からない。つまり、「誰でもいい求人広告」になってしまうのです。

とはいえ、「誰でも応募できるのだから応募が増える」…と思うじゃないですか。それは素人考えですね。実態は違います。応募する理由が特になくなってしまうのです。

結果、ただの「未経験者歓迎!!」は応募が来なくなります。

この説明では納得いかないと思いますので、くわしい理由を次の章で説明していきますね。


求職者は“つながり”を求めている

0ライン

道に迷う

まず、大前提として知っておいてもらいたいのは、「求職者は何も知らない」ということです。

世の中にどんなビジネスがあって、どんな職業の仕事が、どんな役に立っているのか、求職者は知りません。びっくりするくらい何も知りません。BtoCの仕事ならまだしも、BtoBの企業のことなんて、何も分からない状態で求人サイトを見ています。

なので、求人広告を作っていた僕がこんなことをいうのもアレなのですが、いくらていねいに事業内容や仕事内容について求人広告上で文字数を使って説明をしても、イメージが湧かないものは湧かないんですよ。

トランジスタってあるじゃないですか。小さい黒い四角に三本足が生えているやつ。その中にバイポーラ型ってのがあるんですけど、これが電流の変化で電圧を取り出すんですよ。

…という説明をしてみても、この説明でピンとくるのは電子工作なんかをある程度やったことがある人や本業で関わっているだけで、それ以外の人は何言っているか分からないし、興味も湧かない。求人広告もこれと同じことが求人サイト上では起こっています。

興味がない会社や仕事が応募しやすかったとしても、人は応募をしません。だって、万が一でも選考が進んでしまった場合、興味がない会社で興味がない仕事をしなきゃいけないわけですから。それって地獄ですよね。そんなヘルコースにつながる応募をするわけがないんですよ。

こういう何の取っ掛かりもない状態で求職者は仕事を探している。この大前提を、知名度のない中小企業の採用関係者は、まず理解しておく必要があります。

ちょっと話がズレるのですが。

求職活動をしている求職者の心理は、クラス替えで知り合いが誰もいないクラスに配属になった心境と似ています。友だちを作ろうとしますよね。近くの人に話しかけて、共通の話題を探したりしませんか。それで共通の話題が見つかると、ぐっと親近感が増しますよね。

カンのいい人なら察しがついたと思うのですが、

この「クラスで友達をつくる時の共通の話題」が、求人サイトの場合、「応募資格」だったり「求める人物」だったりするわけです。何も分からない情報の海の中で「知っているものがある」「自分が呼ばれている」としたら、当然、そっちに意識が向くし、その他大勢のものよりも親近感が湧くと思いませんか。共通の話題というか取っ掛かりというか、“つながり”を求めているんですね。

で、

話が長くなっちゃった上に何が言いたかったかというと、無策な「未経験者歓迎!!」は、この可能性を奪っているということ。だから、応募が来ないという話です。


では、どうすればいいのか?

0ライン

考える

ならば、求人広告では「未経験者歓迎!!」ではなく「経験者歓迎」にすればいいのか…という単純な話ではありません。

もちろん、経験者採用が必要な時はそのように進めるべきですが、今回お話ししているような未経験者でも問題がない求人の場合、前述した求人サイトの未経験者歓迎検索の引っかかるメリットは大きく、それを失うことも得策ではありません。検索に出てこない求人はそもそも求職者に見てもらえない、存在も知られないからです。

では、どうすればいいのか?

一応、注意をしておきますが、「未経験者と経験者の両方を歓迎する求人広告にする」というのは最悪の手です。くわしくは下記(↓)の記事に書いてありますので興味がある方はご覧になってください。

答えは、実はこちらの記事(↑)の後半にも少し書いているのですが、

【1】業務遂行に活かせる、ハードルの低い応募条件をあえて設定する
【2】【1】と連動する【求める人物像】を記載する
【3】【1】の応募条件が活かせる【仕事内容】の書きかたをする
【4】未経験者歓迎である理由を記載する

この4つを行なうことで、ターゲットとなる求職者に“つながり”を感じさせつつ、求職者は「未経験者歓迎!!」に後押しされて、応募しやすくなります。これが、応募が来る「未経験者歓迎!!」の求人広告の考えかた・つくりかたです。

次の章では、【1】~【4】の書きかた・考えかたについて簡単に解説していきましょう。


【1】ハードルの低い応募条件の書きかた・考えかた

0ライン

ハードル

求人サイトにおける「未経験者歓迎!!」とは、一般的に「職務未経験者を歓迎する」という意味です。つまり、「募集職種の経験がなくても応募できますよー」ということですね。

僕が提唱する「ハードルが低い応募条件」は、注意して考えないと、掲載審査で「未経験者歓迎!!」と認められない場合があります。例え話をすると、法人営業の募集のとき、「何らかの営業経験がある方」と書いてしまっては職種未経験とは言えないのでNGです。「何らかの提案経験がある方」でもほぼ営業と同じなので×。

コツは、「まったく違う仕事やバイトなどのワンシーンでやっていたことがこの仕事でも活かせる」というモノを見つけることです。

例えば、僕が過去に採用成功させた「物流管理職」の場合。この仕事は聞きなれない職種名かもしれませんが、要はトラックが出入りする物流センターで、各トラックに積む荷物を仕分けして梱包するスタッフたちに指示を出していく仕事でした。スタッフは18~40歳までの女性が多く、彼女たちに話をしたり、質問に答えて、時にはサポートにまわり、時に冗談をいって場を和ませる仕事だったんですね。これをハードルの高い(&応募数が来ない)書きかたにすると、

<ハードルが高くてダメな書きかた>
■10人以上のチームマネジメント経験がある方

このように(↑)なるのですが、ハードルを下げて書くと次(↓)のようになります。

<ハードルを下げた場合>
■サークルやアルバイトで10人以上の人たちとコミュニケーションを取り、まとめていた人、この仕事に向いています!

これなら求職者目線で「自分は応募できる!」「できない!」が分かりやすいですし、Web履歴書でも面接でもどのようにハードルを越えているか説明しやすいと思います。

物流管理という仕事を初めて聞いた人でも、サークルの会長をやっていた人やバイトリーダーをやっていた人がこの求人を見たら、「ん、僕のこと読んでる?」と分かるし、ただ「未経験者歓迎!!」と書いてあるものより親近感を覚えるというわけです。


【2】【求める人物像】の書きかた・考えかた

0ライン

女の子決めポーズ

【求める人物像】というと、

・困難に立ち向かっていける方
・飽くなき挑戦心を抱き続けている方

といった記述を想像される方もいらっしゃるかと思いますが、このような書きかた(↑)は求人広告の効果に全く関係がない、求人広告の体裁を整えるだけの記述なので忘れてください。

【求める人物像】とは、【1】の裏付けになる情報であるべきで、【1】のハードルの低い応募条件を見て、「僕のこと?」と思った人がここを読んで、「やっぱり僕のことだ!」と思ってもらう機能です。そのため、

(1)【1】の条件を満たしている人はどんな人か
(2)その人のことをどう書けば分かりやすいか
(3)書いた人はこの仕事で活躍できる人かを再確認

(1)~(3)の観点で考えていきます。

ちなみに、【1】で例として出した物流管理職の【求める人物像】を考えてみると、

・みんなで1つのことを成し遂げるのが好きな人
・人から頼られる人
・誰とでも分け隔てなくコミュニケーションが取れる人

こんな感じの書きかたになるのかなぁと思います。


【3】応募条件が活かせる【仕事内容】の書きかた・考えかた

0ライン

原稿用紙

すでに気がついている人もいらっしゃると思うのですが、この【1】~【4】は一貫性があって連動していることが欠かせません。

つまり、物流管理の求人広告の例をあげると、

・10人以上の人たちとコミュニケーションを取り、まとめている
・みんなで1つのことを成し遂げている
・人から頼られている
・誰とでも分け隔てなくコミュニケーションが取ることが大事

ということが分かりやすく、【仕事内容】に書かれていないといけないことになります。


【4】未経験者歓迎である理由を書く理由

0ライン

理解した

これ、書いていない求人広告が多いのですが、求職者は「本当に未経験者の自分が応募していいのか?」という問いの答えを欲しがっているものですし、もっと言えば求人広告の「未経験者歓迎!!」を信じていません。

だからこそ、理由をかけるということは、求人広告の信憑性を上げることになるのです。

ただし、「このたび、未経験者を採用し、イチから育てていくことにしました」といった言葉では何も伝わりません。理由に説得力をもたらすのに必要なのは、

・具体性
・根拠性

この二点です。

この求人がきちんと考えられたうえで「未経験者歓迎!!」と謳っているのならば、これを書くのは簡単です。でも、考えられていないとしたら、具体性と根拠性を書くことはできないでしょう。


さいごに

0ライン

本日は以上になります。
今回、お話しした内容は、これまで4000件以上の採用成功を実現させてきた僕なりのノウハウです。僕の書いている記事はその他の記事の内容と連動していますので、以下の記事も参考にしてみてください。

Twitterでは、求人広告や採用HPの効果を上げるノウハウをほぼ毎日発信しています。興味を持ってくださった方は、twitterアカウントもフォローしていただけると嬉しいです。

ツイッター画面03

※クリック(↑)すると、Twitterアカウントにリンクしています。
※アイコン変えました。

興味を持っていただけましたら、スキ&フォローいただけると嬉しいです!
それではまた明日!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?