マガジンのカバー画像

16
読んだ本とかについて書いた記事
運営しているクリエイター

#SF小説

もう人間じゃん

もう人間じゃん

キャロル・スタイヴァース著、「マザーコード」(早川書房)を読んだ。本屋で手に取ってあらすじを見てバイオ兵器とかの話なんだな~くらいの感じで買ったがめちゃくちゃ面白かった。ちなみにこの小説はコロナウィルスが流行する直前に出版されている。

こっからネタバレあり。

アメリカがどこかとの戦争でバイオ兵器を使った結果暴走して世界中に広まってしまうことになった。その対策の一つとして遺伝子操作され免疫を持っ

もっとみる
ふわふわした話なのかな

ふわふわした話なのかな

フィリップ・K・ディック著、「逆まわりの世界」(早川書房)を読んだ。以前、電気羊は読んだことがあるのだけれど個人的には世間が言うほど名作なのかな、自分はよく読めていないのかな、と思っていたのでフィリップ・K・ディックは少し避け気味だった。しかし、いつも本屋に行くとハヤカワ文庫のフィリップ・K・ディックの背表紙は目立っていてなんとなく気になっていて、ある日タイトルを順番に読んでいくと「逆まわりの世界

もっとみる
vox

vox

クリスティーナ・ダルチャー著、「声の物語」(早川書房)を読んだ。この小説の原題は"vox"。この単語は声という意味のラテン語で英語圏では馴染みがありすぐに意味が理解できる単語らしい。本書の表紙ももちろん素晴らしいのだが、原書の表紙は女の人の横顔の口の部分にvoxと印刷されたxの部分が重なるようになっているみたいだ。とても素晴らしい表紙だと思う。

ここからはネタバレ込々!

あらすじは現代のアメリ

もっとみる
カオスで意味がわからなくて、センスオブワンダーのあふれた世界

カオスで意味がわからなくて、センスオブワンダーのあふれた世界

エリザベス・ムーン著、「くらやみの速さはどれくらい」(早川書房)を読んだ。SFのタイトルってかっこいいものが多い気がする。「くらやみの速さはどれくらい」って単純にかっこよくないですか。ネットで他の方が「原題は"The Speed of Dark"だから直訳すると"くらやみの速さ"のばずなのにそれに"どれくらい"を加えるのが粋」みたいなことをおっしゃられってて確かにな~と思った。

たくさんの方が作

もっとみる
研究とは呼べない自由研究

研究とは呼べない自由研究

松崎有理著、「シュレディンガーの少女」(東京創元社)を読んだ。本作は短編集で、テーマとしては「ディストピアxガール」らしい。それぞれの短編の女性主人公がディストピアでどのように生きていくのかを書いている。個人的には長編と短編集だと少し読み方というかが変わる気がする。私は長編だと一度集中すると大体そのままがーっと最後まで行ってしまうことが多い。一方短編集だとお話がいくつか入っているのでそれぞれの話が

もっとみる