外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第7話 第4のピープルスキル

第7話 第4のピープルスキル

能力をとらえる場合、一般的に専門能力と対人能力があることは広く知られています。今回はこの対人能力(ここではピープルスキルといいます)について考えたいと思います。

ピープルスキルは対人や組織において距離感や感情をうまく理解しながら業務上のコミュニケーションを円滑に行えるスキルです。ピープルスキルを発揮することで他の人のサポートが得られやすくなり、その結果、成果をあげることが容易になります。つまり自分のアウトプットを引き立てるスキルといえます。

ピープルスキルには、具体的にどのような要素があるのでしょうか?

以下のような4つの項目に整理してみました。

1. 個別の人間関係の構築力
日々の対人コミュニケーションが上手で、上司・部下あるいは、同僚とよい関係を築ける。または距離感の取り方がうまい。

2. チームワーク・協調性
組織の中での自分の役割を理解し、組織を盛り上げることができる。積極的にチームに貢献できる。フォロワーシップ。

3. 他者への影響力・リーダーシップ
他の人にポジティブな影響を与えたり、促したり、ビジョンを伝えたりできる。リーダーシップを発揮できる。

4. 多様な人間関係への柔軟性
いろいろなタイプの人にケースバイケースで柔軟に対応でき、相手を尊重することができる。自分のやり方を押しつけない。多様性を受け入れられる。

こうやって整理してみるとピープルスキルにも色々な面があります。その中で、今回特に強調したいのは第4のスキル「多様な人間関係への柔軟性」です。今、このスキルが非常に重要になってきているからです。

昔は、コミュニケーションスタイルは画一化されたものが是とされてきました。上位下達のピラミッド社会の中で望まれるロールモデルがあり、その中で会社は安定し、ビジネスも成長していました。しかしながら、経済成長が鈍化し、文化的成熟度も深まる中、世代間ギャップやグローバル社会への対応といった新たな課題もでており、過去のコミュニケーションスタイルは機能しにくくなっています。

会社には多くの異なったタイプの人がいます。その個性を尊重し、お互いに異質なものを受け入れていくことが組織には期待されます。なぜなら会社は常に変化に適応していくことで活性化し、成長するからです。

逆に言えば、単一の価値観はすぐに硬直した組織を作ります。これは「ダイバーシティ」という言葉ともつながっています。ピープルスキルにおいてもダイバーシティを柔軟に受け入れられることが組織の成長を生み出します。

その上で建設的なコミュニケーションを追及することが望まれています。我々は3つの基本となるコミュニケーションスキルを磨くことと共に、ここでいうコミュニケーションスキルが本来ビジネスの成果を出すことを目指すためのものであり、その意味で、今、第4のスキルが求められていることを認識すべきだと思います。


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