45歳はじめての転職 第3話 いきなりビッグチャンスをはずす

第3話 いきなりビッグチャンスをはずす

縁というのは不思議なもので、就職活動を始めていきなりビッグチャンスがきた。某大手英語会社の副社長のポストだった。教育関係の仕事を長くやっていることもあり、今までの経験を活かせる仕事だ。

就職活動の効果があって、私の履歴書がひょんなつてから相手に渡り、ぜひあってみたいというのだ。今思えば就職活動を始めた直後のことで何がなんだか状況がつかめなかったが、それでも大きな話であることはわかった。結論からいえば、トップの面接は受けたものの採用のOKは取れなかった。活動を始めたばかりでそんなに簡単にはいかない。

しかし、ここで学んだことはいくつかある。

1つには、チャンスは一瞬である。波乗りのようなものだ。それを逃してはいけないということ。

後で調べるとこのポストについて3人の候補者がいたらしい。結局、私は就職活動の初めのステージで十分な準備もせず面接に飛び込んだ。アロハシャツで面接に望んだら、隣はブランドもののスーツできめていたという感じだ。

他の人は十分な準備をして、最大限に準備をして面接に望んだと思う。当たり前だが就職面接前に十分準備しておくこと。例えば、少なくとも
 1.何故、その会社に入りたいか
 2.自分の強みは何で、どんな貢献ができるのか
 3.何故転職したいのか
 4.今までどんな成果をだしたのか
くらいはすらすらいえなくてはいけない。

2つ目は、面接者や会社の採用パターンを見抜いて対応しろ。ツボをはずすなということ。

のこのこ面接にいったら人事面接ではなく、いきなり親会社(某大手教育会社)の専務がでてきた。彼はこの英語会社の社長でもあった。通常は2回や3回は面接があるのだがいきなりラストマンがでてきてしまった。

あとでわかったことだが、社長はMBAをもつ、典型的なジョブホッパー(会社を転々として上に上がっていく人)だった。白黒をはっきりさせたいタイプであった。たしかに、彼は人事のプロでなく、相手から話を引き出すのが得意だとはいえないタイプだった。しかし、こちらが相手のキャラや対応にあわせるしかないのだ。

初めての面接で私は「あんまりごりごりやらない方がスマートに見えてよいかなぁ」と思っていた。だから「私はこれこれができます」みたいなことは強く言わなかった。これが裏目にでた。面接は1時間くらいで終わってしまった。あまり強いインパクトは与えられなかったようだ。それにトップとの1対1面談になってしまったのでほとんど1回の面接で決めることになった。

ここら辺がこの採用の特殊パターンだったが私にはわからなかった。後で先方の感想を聞いたところ、やはり「少しおとなしい人のように思われ、アグレッシブさに欠けた」ということだった。

しかし、私のことをおとなしいと言う友達はいない。その場で緊張して萎縮してしまったわけでもない。私は今まで労務管理上の切った張ったの世界を経験しているが、今回はそのことを面接でアピールしなかった。そこが関係あるとは思わなかったからだ。しかしそれは間違いだった。彼らは外国人講師とのハードな交渉を絶えず抱えているようだった。あとで思えば、事前情報がなかったので大事なポイントをつかむことが出来なかったのだが、後の祭りであった。この会社とはご縁がなかったようだ。


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