🚀イベントレポート～宇宙ビジネスを仕事に 【宇宙×理系】～

昨夜は宇宙開発&宇宙ビジネスのオンラインサロン「NEXTSPACE」と、宇宙兄弟の初代編集者佐渡島さんが代表を務める、作家のエージェント会社「株式会社コルク」共催のオンラインイベント「宇宙ビジネスを仕事に 【宇宙×理系】」に参加してきた。

■宇宙兄弟FFS本

宇宙兄弟FFS本というのをご存じだろうか。

FFSとはFive Factors and Stressの略で、

小林惠智博士が開発した「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5つの因子の多寡とその順番を通して人間の潜在的な強みを把握する「FFS理論」

のことである。

そして、このFFS本は

FFS理論を宇宙兄弟のキャラクターを例にして、
それぞれの特性に合った生き方を紹介する本

だ。

宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】

本を買うと購入特典として詳細な診断を受けることができ、以下のサイトでは無料で簡易的な診断を受けることができる。
自分の特性を知っておくと、自分に合ったストレスや人間関係との向き合い方がわかるのでおすすめだ。

宇宙兄弟×FFS診断 無料簡易診断

ちなみに私は簡易診断では主人公の弟「ヒビト」、詳細な診断では主人公「ムッタ」だった。
ヒビトは「拡散性」「受容性」が高いキャラクターで、

・興味があることには後先考えずまっしぐら ・機動力はあるが落ち着きがない

といった特性がある。

一方ムッタは「受容性」「弁別性」「保全性」が高く、

・優柔不断で、慎重で一歩が踏み出せないこともある                                                                  ・合理的に考えることもできる

といった特性がある。

一見後先考えず動いていくように見えるが、実はそのうらで何度も何度も二の足を踏んでいる自分のことを上手く見透かされたような気がした。

■イベント概要

本イベントは、そんなFFS理論をもとに、登壇者の生き方を例に、宇宙業界での働き方を発見する無料の！イベントだ。

第二回の10/7は【宇宙×理系】ということで、
理系に進み、現在宇宙業界で働いている登壇者たちの話を聞かせてもらった。

※第一回のテーマは、【宇宙×文系】で、
気になる第三回は10/9(金)19:00-20:00開催、テーマは【宇宙×異業種】である。

『宇宙兄弟』FFS本から学ぶ宇宙ビジネスを仕事にする方法vol.3【宇宙×異業種】

■登壇者

今回の登壇者二人の簡単なプロフィールは以下の通りだ。

岩崎さんは「保全性」「受容性」の高いNASAの宇宙飛行士アンディ・タイラータイプ。
(主人公ムッタが、親友でありライバルでもあるケンジとのギクシャクに悩んでいたとき、ムッタを救った救世主で個人的に大好きなキャラクターだ)

・体系的に積み上げてきた経験を活かしながら、柔軟に対応していける                               ・頼られると力を発揮する

といった特性がある。

浅川さんは「拡散性」「弁別性」「受容性」の高いNASAの宇宙飛行士カルロ・グレコタイプ。
(飛び級で大学に行けてしまうような天才タイプで、月ミッションではパイロットと医学を担当)

・興味があることに積極的で、合理的で無駄なく、柔軟に取り組むことができる                    ・周囲を巻き込むことが得意

といった特性がある。

モデレーターは、宇宙ベンチャー企業Yspaceの代表 川﨑吾一さんだ。
川﨑さんは私と同じくヒビトタイプ。

■キャリアについて

まずはお二人の今までのキャリア選択の経緯について、FFS理論に沿ってどういった考えで進んできたのかお話されていた。

ー宇宙兄弟との邂逅

＜岩崎さんの場合＞
岩崎さんは元々化学専門で、学士をとって働くか、修士を取るか、
といったように考えていて、岩崎さん曰く「そんじょそこらの学生」だったようだが、ある経験をきっかけに宇宙への道へ進んだという。

その経験というのが

「宇宙兄弟」を読んだこと

だった。
たまたま大学の生協に置いてあった宇宙兄弟を読んで宇宙への夢を書掻き立てられ、純粋な化学から宇宙へ軸を変更したとのこと。

そんな分野変更を経験した岩崎さんは、(成功体験をベースに着実に進めていく「保全性」になぞらえて)
「”コツコツ”どころか何もないところから始めてきた」と語っていた。

元々、JAXAの宇宙研(相模原にあるJAXAを総称してこう呼ぶ)で研究開発員として観測ロケット実験などを行っていたが、
JAXAは大きな組織なので、その分たくさんの人が間にいて大きな計画はどうしてもスリップしてしまうことがあるらしく、先が見えているのに計画が進められないことが「保全性」タイプからするとストレスだったようだ。

大きな組織の分業制よりも、体系的に全体をとらえることができるベンチャーに魅力を感じ、Yspaceに転職したそうだ。

ー博士か就職か

＜浅川さんの場合＞
※「弁別性」には情報に基づいて、白か黒かはっきりさせる、あいまいなことがストレスになりやすい、という特徴がある。

まずはご自身の特徴から説明されていた。

「弁別性」の高い浅川さんは、情報がないときの対応として、「できるだけ情報を集める」という手段をとっているそうだ。

浅川さんは衛星の推進機/推進剤が専門だが、衛星はトラブル続きで情報が足りていない状況というのが多いが、そういった中でも他のメンバーの意見に「本当にそれでいいのか？」と問うことが多いそうだ。

※私も以前衛星運用に関わっていたが、本当に衛星はトラブルの連続のため、浅川さんのようにできるだけ情報を集めてから決定する人がいると、不確定で不安な中、データによって定量的に考えることができるので安心感が得られる

ちなみに、「拡散性」の高い川﨑さんはそういった状況だとパッと選び悩むことはあまりないそうだ。

浅川さんは修士課程の際、博士か就職か迷い、宇宙好きなら誰もが一度は考えるであろう”JAXA”の選考も受けたそうだ。

だが、JAXAの面接試験と、ISTS(宇宙技術および科学の国際シンポジウム)の開催日が重なってしまったそう。
その際も、持ち前の「弁別性」の高さから、ご縁がないということでスパッと選考を辞退したとのこと。

また、現在は「株式会社 Pale Blue」のCEOとしてご活躍されているが、それは修士課程のときに、アメリカで開かれた小型衛星関連で最大の学会でベンチャー企業のすさまじい勢いを感じたからだそうで

「自分もやらねば！」

と、闘志を燃やされたそう。
その後博士課程に進学した後、そのまま東大で特任助教として働いたのだが、そういった経験の中で

研究とその実用化のギャップを埋めたい

と思い、Pale Blueを立ち上げるに至ったそう。

ー研究はある一点を見つめる行為、だからこそ

浅川さんは、「研究」について以下のように語っていた。

研究はある一点を見つめる行為であり、一方向ばかり見つめているわけにはいかないので、自然とまわりの意見を聞くようになる。
また、ある一点を深堀するために、その周辺の知識も見えてくる。そうすると、自分が知らないことが多いということに気づくことができる(無知の自覚)。

岩崎さんは、修士課程の頃から知っている浅川さんについて、昔より柔軟で謙虚になったと話されていたが、上記のような背景があったようだ。
ご本人も「受容性」は研究やCEOなどを経験して、後からついてきたように思うとおっしゃっていた。

■ベンチャーに求める人物像

ベンチャーに入ってほしいのはどのような人か、という話でお二人は以下のように話されていた。

ー広い世界へ飛び出そう

＜岩崎さんの場合＞

大きな企業やJAXAのような組織で、研究職をやっている人は様々な業務を担当しなければいけないためマルチタスク能力を備えている
ーたとえば、研究・開発・事務的な作業など．．
そういった人たちは広い社会へ出て行っても十分やれる。

そして、画面の向こうの研究者へこう語っていた。

「おれたちの世界は広いぞ！」

ー”個”ではなく、チームで考える

＜浅川さんの場合＞

ベンチャーは人が少ない分、スピード感や責任が人に依存しやすい。
チームとして取り組むのが楽しいと思える人が向いていると思う。

ちなみに、川﨑さんも自身の経験を踏まえ、ベンチャーは外には強いが、中には弱く、「チームは中から死んでいく」とおっしゃっていた。

■博士課程に進んで良かった/悪かったこと

＜岩崎さんの場合＞
良かったこと：博士課程に進んだことで宇宙と関われた
悪かったこと：生活が苦しく、就職した同期に劣等感を抱いた

＜浅川さんの場合＞
良かったこと：自分の好きなことができる！
悪かったこと：生活が豊かではなかった

■最後に

日本の宇宙業界はまだまだ「宇宙村」と言われるように、人が圧倒的に少ない。
だが一方で今回の登壇者のように、開拓されていない宇宙だからこそ道を切り拓いていく人もだんだん増えてきている。
私も宇宙の一端に関わる一人として、お二人のように覚悟を持ってほどよいフットワークの軽さで突き進んでいきたい。
私も博士課程を視野に入れている宇宙大好き人間なので、あまり例を見ないような生き方をされているお二人のお話を聞くことができて、大変強い刺激になった。

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