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田原弘毅
2024年6月13日 16:08
地に足の着いたミステリ短篇集。 作者が女性なので全ての物語に「妻」「母」「娘」「妹」「姉」などが登場し、語り手も女性である。大がかりな殺人トリックなどはなく、日常生活での謎が主題で、このリアリティは、読者が経験を積んだ女性なら身につまされることも多いのではないかと感じた。 ただ一篇、ちょうどまんなかに収録されている「裂けた繭」だけは毛色が違う、かなり暴力的であり、エッヂの効いた短篇なので注意
2024年4月24日 20:01
米澤穂信『満願』(新潮文庫)読了。妻が「オーディブルで聴いて面白かった」と勧めてくれたのでぼくは「読んでみたら面白かった」。そうか、今はこんなふうな小説の出逢いもあるのだな。2014年に数々のミステリー賞を受賞しただけあって、クオリティは保証されているようなもの。考え抜かれた精緻な謎解きの短編が6編収録されている。ちょっと興味深かったのは妻と僕がともにベストだと思ったのは冒頭の「夜警」だった