田原弘毅

田原 弘毅(たはら ひろたか) 1969年5月5日生/東京都出身 日本大学芸術学部文芸…

田原弘毅

田原 弘毅(たはら ひろたか) 1969年5月5日生/東京都出身 日本大学芸術学部文芸学科中退 1999年第67回小説現代新人賞受賞 25年ほどアニラジの構成作家をしていましたが 最近になって改めて短篇小説を書き、妻との合作も始めました。 作品に興味のある方はご連絡ください。

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最近の記事

矢樹純『妻は忘れない』(新潮文庫)

 地に足の着いたミステリ短篇集。  作者が女性なので全ての物語に「妻」「母」「娘」「妹」「姉」などが登場し、語り手も女性である。大がかりな殺人トリックなどはなく、日常生活での謎が主題で、このリアリティは、読者が経験を積んだ女性なら身につまされることも多いのではないかと感じた。  ただ一篇、ちょうどまんなかに収録されている「裂けた繭」だけは毛色が違う、かなり暴力的であり、エッヂの効いた短篇なので注意した方がいいかもしれない。個人的にはこれが一番面白く読めました。 https:

    • フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』(創元推理文庫)

       11の短篇が収録されているが、いわゆる「ミステリ=謎」を扱っておらず個人的には「犯罪小説集」と感じた。謎解き要素があるのは「サマータイム」くらいだろうか。作者は「なぜ夫は妻を、姉は弟を殺さなければならなかったのか」という経緯にこそ注目している。  シーラッハはドイツの作家で実際に弁護士であり、報告書のような淡々とした文章がむしろ陰惨さを際立たせる。リアリティに富んでいるため当然のように残酷描写や暴力表現が多出するので苦手な方はご注意。浮世離れしたミステリより地に足の着いたド

      • 鈴木悦夫『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』(中公文庫)

        …あー。書いてみようと思ったんですが、長篇ミステリのレビューって、めちゃくちゃ難しいんですね。「1989年の作品で」「あの有名な」「フーダニットというよりは」と書いただけでもなんか読み了えた自分としては「それは全部ネタバレかもよ!」という気がしてしまう。なので感想は「面白かったのでぜひ読んでください」としよう。ジュブナイルとして書かれているのですらすら読めます。 ちなみにこの文庫を購入される場合は表紙に仕掛けがあるので帯付きを買うことを強くお勧めします。 以上は、X(Twi

        • 筒井康隆『世界はゴ冗談』(新潮文庫)

          筒井康隆『世界はゴ冗談』(新潮文庫)読了。 一読して驚嘆。八十歳にしてこのクオリティの短篇群を書けるのはすさまじい。しかも扱っている題材が「震災」「ウクライナ」など。ああ、そうか、この方はもう50年以上も『現代作家』を続けてらっしゃるのだな。 小説についての小説「小説に関する夢十一夜」、メタフィクション「メタパラの七・五人」などなつかしいテーマも健在、さらに「ペニスに命中」や「奔馬菌」などおれが中学生のころから愛してやまない「饒舌な老人」も健在。 個人的なことになるが、筒井康

        矢樹純『妻は忘れない』(新潮文庫)

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        • ブックレビュー
          7本
        • コミックレビュー
          4本

        記事

          村枝賢一『RED』(講談社)

          個人的「Netflixで完全映像化してほしい日本マンガ」圧倒的1位! 性別は男性、女性、中性、年齢は子供、大人、老人、人種は白人、黒人、チャイニーズ、ジャパニーズ、他、こんな人間たちが活躍をする群像劇なんて、実に今のネトフリっぽい!そして全篇を貫く爽快なガンアクション!北米を舞台にした日本マンガの最高峰なので、これをアメリカで映像しないなんて勿体ない!絶対に忠実に実写化してほしいものだ。ヘイトソングが火を噴き、敵を撃ち抜くシーンが観てみたいぞ! マンガとしても大傑作なので

          村枝賢一『RED』(講談社)

          『午後三時にビールを』中央公論新社編(中公文庫)

           完全にタイトルに惹かれて購入した「酒場作品集」。「作品」と銘打っているようにほぼ小説は載っておらず、エッセイ、随筆、短文が大部分を占めている。  とにかく執筆メンバーがすごく、自分が知っているだけでも、萩原朔太郎、井伏鱒二、大岡昇平、太宰治、坂口安吾、檀一雄、久世光彦、小沼丹、内田百閒、池波正太郎、吉村昭、開高健、向田邦子、安西水丸、田中小実昌、中上健次、島田雅彦、吉田健一、野坂昭如、倉橋由美子、と、名だたる文豪、文士、作家、エッセイストがずらずら。一つ前のエッセイに登場人

          『午後三時にビールを』中央公論新社編(中公文庫)

          九井諒子『ひきだしにテラリウム』(イースト・プレス)

           2024年の現在ではもはやTVアニメ『ダンジョン飯』原作者としてのほうが高名だが、九井諒子はマンガ短篇の名手であり、特にこの一冊は全てのストーリーが10ページに満たないショートショート。この内容をよくこのページ数で収めたな…と惚れぼれするし、また、作者の絵の技量が尋常ではないので、いろんな絵のパターンで楽しませてくれる。  ただまあ、限られたページ数の制限のためか、作品のレベルにばらつきがあったこともまた事実か。  Amazonの他の方のレビューを読むと、ブラッドベリ、星新

          九井諒子『ひきだしにテラリウム』(イースト・プレス)

          米澤穂信『満願』(新潮文庫)

          米澤穂信『満願』(新潮文庫)読了。 妻が「オーディブルで聴いて面白かった」と勧めてくれたのでぼくは「読んでみたら面白かった」。そうか、今はこんなふうな小説の出逢いもあるのだな。 2014年に数々のミステリー賞を受賞しただけあって、クオリティは保証されているようなもの。考え抜かれた精緻な謎解きの短編が6編収録されている。 ちょっと興味深かったのは妻と僕がともにベストだと思ったのは冒頭の「夜警」だったのだが、妻がピンとこなかった、と告げた「死人宿」がぼくはかなり気に入ったこと。や

          米澤穂信『満願』(新潮文庫)

          ココイチとモネ

             丸ノ内線の駅を降り、ラジオの収録の前に、ココ壱番屋に入った。  構成作家はパーソナリティに指示出しするため、ブースに入るので、本番中、お腹が鳴るといけないのだ。  店内を進むと、高校生くらいの年ごろの女の子が二人、もうカレーを食べ終わったのか、おしゃべりをしていた。 (ココイチに女の子二人ってけっこう珍しいな)とぼくは思った。  ライス150グラムサイズのポークカレーに半熟卵をトッピングして注文する。ほどなくして提供されたカレーを食べていると、女の子たちの会話がぼくの耳

          ココイチとモネ

          阿部共実『空が灰色だから』1巻

          阿部共実『空が灰色だから』1巻再読。 ああ、やっぱりこれはいい。 まず、ギャグマンガ以外で「マンガの短篇集」の傑作って意外と数が少ないと思う。『ゴルゴ13』『ブラック・ジャック』みたいに主人公がびしっと決まっていれば連作として成り立つのだが、本作のように毎回登場人物が入れ替わる傑作マンガ短編集って案外思いつかないが、これは見事にやってのけていると思う。 全篇を通じて「青春というなんかぐぢゃぐぢゃしたもの」がこれでもかと詰め込まれている。そして「コメディ」で終わるのか、「ホラー

          阿部共実『空が灰色だから』1巻

          細野不二彦『ギャラリーフェイク』38巻

          細野不二彦『ギャラリーフェイク』38巻読了。いやまさか2024年になってもギャラリーフェイクの新刊が読めるとはありがたい!しかも題材が「コロナ」「セクハラ」「自動車事故」「ネトゲ」「老人介護」「ヤングケアラー」ってバリバリに令和なんですけど!細野先生、尖りすぎてます!しかし連載開始が1992年って…フジタ、いま何歳なんだ?アートコミックの『ゴルゴ13』みたいになってきたな… amazon.co.jp/dp/4098627167

          細野不二彦『ギャラリーフェイク』38巻

          『超短編!どんでん返しSpecial』

          小学館文庫編集部 編『超短編!どんでん返しSpecial』(小学館文庫)読了。ミステリ、ホラー、SF、時代小説など、ジャンルの垣根を超えた現代作家さんたちが執筆されており、文字数制限とアクロバティックな決着なんていうダブル制限のなか皆さんそれぞれの技法で果敢にチャレンジしている!と感心した。自分的に「これはすごい」と唸ったのは澤村伊智さん「井村健吾の話」結城真一郎さん、「昼下がり、行きつけのカフェにて」。まさに驚愕の結末、とてもよいアンソロジーピースだと思う。 amazon

          『超短編!どんでん返しSpecial』

          作品/短篇小説(掲載済)

          〇おかしな時代劇 「洗うひと」(1999年「小説現代」) 「おのまとぺ屋」(1999年「小説現代」) 「親子芸人」(2000年「小説現代」) 「ねぶた枕」(2000年「小説現代」) 〇へんな私小説 「疑問の多い料理店」(2005年「小説現代」)

          作品/短篇小説(掲載済)

          作品/長篇小説(出版物)

          『ネヴァードロップ』 2002年 講談社刊 https://www.amazon.co.jp/dp/4062116030

          作品/長篇小説(出版物)

          作品/舞台脚本

          『妖精ホームズ』(1998) 下北沢駅前劇場 『ミュージカル HUNTER×HUNTER』(2000~2001) 原作:冨樫義博 東京新宿スペース・ゼロ

          作品/舞台脚本

          作品/作詞

          康 斉亭(こう せいてい kou seitei)名義 「はっぴぃ☆なんちゃら」 (歌:糸色望(神谷浩史)・ナーミン(新谷良子)) (作曲:Low-tech Son) WEBラジオ『さよなら絶望放送』主題歌 CD『絶望大殺界』(キングレコード)収録 「仮面タカダーのテーマ」 (近藤タケシ(高橋広樹)) 地上波ラジオ『高田広ゆきラヂヲシティホール』挿入歌 CD『伽羅にて候』収録 Amazon.co.jp: 高橋広樹キャラクターソングベスト 伽羅にて候(初回限定盤): ミュージッ