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ラピュターだった私が、チヒラーになった話。


ラピュタが一番だった。

それこそ小学生の頃からずっと。ラピュタ以外ありえない、ラピュタをこえるジブリ作品なんてないと思っていた。そして、飛行石がほしかった。

もし私がラピュタを語るなら、カンボジアのベンメリア遺跡とか、海に落下していくムスカとか、ラピュタDVDパッケージの隠れトトロとか、そういうマニアックなネタにうっかり熱くなりそうで、どん引きされそうで怖い。それくらいダントツの一番でラピュタが好きだった。

私の“ラピュター”歴は三十年を超える。あっ、“ラピュター”というのは、安室奈美恵のアムラー、マヨネーズのマヨラーのようなものだと理解してほしい。(この言葉、いま思いつきでつくった)。ちなみに、日テレでラピュタが放映されるたび、日本中が同時多発的にTwitterで「バルス」と叫ぶ現象が起こるが、それに参加したことは一度もない。

そんな私が、まさか“チヒラー”になるなんて、いったい誰が想像できただろうか。ほとんど誰にも話していないので、きっと誰も想像がつかなかったはずだ(当たり前)。

“チヒラー”とは、いまあなたがピンときた通り、“千と千尋の神隠し派”の人のことである。


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どのくらい好きかといえば、指人形の神様シリーズをこんなに揃えてしまうほどだ。鳳神社の熊手の横に飾っている。御利益ありそうでしょ。

私の推しメンは「春日(かすが)様」(写真右)だ。なぜか強く惹かれる。「よきかな」でおなじみの河の神もほしかったが完売だった。お店の人にきいたら入荷予定の目処はたっていないという。

作品内にはいろいろな姿の神様が出てくる。湯屋のシーンで一瞬だけしか映らないような面白い風貌の神様も沢山いる。片っ端からぜんぶ指人形にしてほしい。



それまで私の中で、千と千尋の神隠しは、もともとジブリ作品の中でも四〜五番手くらいの位置にいた。ハクと千尋が空を飛んで戻っていく最後のシーンが強引に物語の辻褄を合わせにいってる感じがして、納得できなかった。そこだけに引っかかって、どうしても心から愛してると言い切れなかった。

でも、ある時、それを補って余りある魅力があることに気付いた。場面設定、世界観、キャラクター、全体のストーリー、音楽・・・。実はそのすべてが極上だったのだ。電車に乗っている時に流れる曲「六番目の駅」なんてもう最高。

宮崎駿の頭の中は底なし沼だ。

観れば観るほどに発見があって、どんどんその深みに体が沈んでゆく。実は、この作品、かなりの要素が詰め込まれている。森羅万象、八百万の神様、輪廻、宗教、神話、和洋、現代社会への揶揄・・・情報が詰め込まれすぎていてお腹いっぱいで、もうどうしようもなく幸せ。

平成の三十年余りずっとラピュターだった私が、なぜこんな急にチヒラーになったのかを考えていた。思い当たるのは、平成から令和に時代が変わろうとしていた昨年四月は、自分が小説を書き始めた時期なのだ。

「千と千尋の神隠し」は、インスピレーションの宝庫だ。本編124分の中に、100以上の短編小説のネタが入っていると思う。100という数字に特に根拠はないけれど、それくらい情報量が豊富なのだ。さまざまなシーンが、物語を考える私の脳を刺激してくる。



昨年の夏に書いたこの「境界」も、千と千尋の神隠しに影響を受けていたかもしれない。「境界」では、参道の露店の灯りがものすごい速度で消えていくシーンがある。

ハクから「じきに夜になる。その前に早く戻れ」と言われた千尋が来た道を引き返そうとすると、廃墟の街に灯りがともっていく。瞬く前に街が息をし始めるそのスピード感に戦慄するシーンだ。それはまさに、「境界」の逆パターン。影響を受けまくりじゃないか。



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「おいでおいでおいで〜」このシーンむっちゃ好き!



さて今回、自分が「チヒラー」であることをカミングアウトしたけれど、あなたは何ラーだろうか。

誰にも求められていないけれど、この機会に、各作品(宮崎駿・高畑勲監督作品を中心に)でイチオシする人の呼び方を考えてみることにした。必ずア行+音引きをつけるルールで。時系列表示にしてみた。そう、私は暇人である。

「カリオスター」・・・カリオストロの城派
「ナウシカー」・・・風の谷のナウシカ派
「ラピュター」・・・天空の城ラピュタ派
「トトラー」・・・となりのトトロ派
「ホタラー」・・・ほたるの墓派
「マジョター」・・・魔女の宅急便派
「ヤナギバー」・・・おもひでぽろぽろ派
「クレブター」・・・紅の豚派
「ポンパー」・・・平成狸合戦ぽんぽこ派
「ミミスマー」・・・耳をすませば派
「モナー(デイダラー)」・・・もののけ姫派
「ヤマダー」・・・ホーホケキョ となりの山田くん派
「チヒラー」・・・千と千尋の神隠し派
「ハウラー」・・・ハウルの動く城派
「ポニャー」・・・崖の上のポニョ派
「イキネバー」・・・風立ちぬ派
「カグヤー」・・・かぐや姫の物語派
「カリグラー」・・・借りぐらしのアリエッティ派
「ゲダー」・・・ゲド戦記派
「コクラー」・・・コクリコ坂から派
「アンナー」・・・思い出のマーニー派
「コパンダー」・・・パンダコパンダ派
「ラナー(モンスラー)」・・・未来少年コナン派


あの・・・適当ですみません。

みなさんそれぞれに推しの作品があるだろうから、上記の呼び方に納得いかない人もいると思う。暇人だったら自分で考えてみよう。

特に、「ヤナギバー」と「イキネバー」はしんどい。しんどすぎる。

(終わり)



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