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一方的なコーチングはうまくいかない

1.コーチングは大事だけど難しい

患者と医師の関係は、アスリートと優秀なコーチの関係であるべきだ

というのが私の持論です。私の医療理念は「患者が自ら病気を治すように主体的に動くように導く」ことをよしとしているからです。

その意味で、相手のやる気を引き出すコーチングという手法に私は以前から興味があります。

しかしながら、このコーチング、口で言うのは簡単でも実践するのは極めて難しい方法に感じています。

そんな中、ある教育者の方からコーチングの秘訣について、「優秀な学生にはツンデレで、まだまだな学生にはデレデレで」というコツを教えてもらいました。

要するに最近何かと話題となる「自己肯定感」に注目し、

優秀な学生に対しては高い壁を準備して、それをうまく乗り越えられた時にその努力を適切に認めるということを、

まだまだ実力が足りない学生に対しては、できないことよりも今できていることを確認し、その努力を認めるというのが基本になるということではないかと思いました。

しかしそれもまた口で言うのは簡単ですが、実際にやるのは難しいことです。

なぜならば、何を認めどのように課題を設定すべきかというのは、相手をよく見ていないとわからないことであるからです。


2.適切なコーチングのために必要なこと

よく、「ほめて伸ばす」べきなのか、どうなのかということが、教育の中で問題となることがありますが、

多分答えは「ケースバイケース」です。「ほめる」ということが良い方に働く人も言えば、なんだか上から目線で馬鹿にされていると感じる人もいることでしょう。

ですが、適切に「ほめる」ためには、相手のことをよく理解していないとできないということは確固たる事実です。

この場合、「ほめる」というよりも「認める」と表現した方が適切かもしれません。

あなたが今、誰かを教えている際に「ほめる」ことによってよい成果が得られていないのだとすれば、

それは相手のことを正しく理解できていないということに他ならないのかもしれません。

そのことを私は自戒を込めて感じています。

要するにコーチングのためには質の高いコミュニケーションが必要だということです。

プロスポーツの世界で、偉大なアスリートとその才能をうまく引き出したコーチとのペアが脚光を浴びるのを目にすることがあります。

患者と医者の関係もそのようになれればどれだけいいだろうと思います。


3.双方向性のコーチングを目指そう

一方でアスリートがそうであるように、まず患者側に何かをこうしたいという想いがあることがコーチングの大前提であるようにも思います。

引き出すものがなければ、どれだけ上手なコーチングを行おうと何かが引き出されてくるはずもありません。

アスリートはそのスポーツでトップになりたいという明確な目標があると思いますが、患者はどうでしょうか。

もちろん、病気を治したいという目標はあると思います。アスリートの大会で優勝したいという目標ともリンクします。

ただアスリートの場合は、そのためにどうすればいいかということを学ぼうとする明確な意志が存在しています。患者はどうでしょうか。

病気を治したい。でもどうしたらいいかわからない。だから「先生にお任せするしかない」。

ここがアスリートとの決定的な違いです。アスリートは「コーチにお任せするしかない」とは決して思っていないはずです。

コーチの言葉を参考にしながら、どうすればよいかを自分の頭で考え続けて実践と軌道修正を繰り返しているはずです。

スポーツにしても、健康にしても、自分の身体と向き合うという意味では共通しています。

スポーツでは自分の能力を分析して、さらなる能力の向上とために試行錯誤を繰り返すのに、

健康のことになった途端に、ドクターへ全て一任してまな板の上の鯉になるというのはおかしいです。ましては他ならぬ自分の身体のこととなれば尚更です。

何をどうすれば病気になるのか、その構造を理解し、自分でチャレンジを試みない限りは、病気の克服という金メダルを得られるはずもありません。

コーチする側の努力、コーチされる側の努力。

両者の努力があいまった時に初めて良いコーチングは生み出されるのではないでしょうか。

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