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主に小説、趣味のことに関する投稿。

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【短編小説】令和寛「夜景」

「爪が綺麗だね」 そんな言葉で、沈黙が連なるぎこちない関係から、距離が一気に加速したのはなんとなく覚えてる 確か、都内の水族館の大水槽の前の薄暗い椅子で、手を重ねたところから物語が動き出して、 でも、それ以上に 「1週間だけ」 生涯聞くことのない、このフレーズのほうが強烈に脳裏に焼き付いてる そう、忘れもしない出来事は、夜の20時、東京スカイツリーの展望台の出来事で。 話すのが得意じゃない無口の彼女が、距離を詰めてきたから、僕は人差し指を伸ばして曲げるように、自分と

    • 心乱華

      ー心緒淒迷(心が迷って乱れている)ー 「別れよう?だって前に美香ちゃんが好きって言ってたでしょ」 「付き合う前の話でしょ、それに美香とはもう連絡とってないし」 「他の子を下の名前で呼ばないで」 「ごめん」 「私じゃ、令は幸せにならないよ」 何を思ってるのか、一年記念デートの翌日の第一声で彼女から別れを切り出されるなんて、思いもしなかった。 普通のカップルと異なり、事情を抱えた僕らは、愛が深まるほど別れる明確な理由を欲していた。 ー全て(事情)を捨てられたら、彼女だけに

      • イジメと亡霊③

        日が木の葉の隙間からこの岩を射すように、何かが僕の心の闇の中に、射すような。 見とれながら僕はかおりさんに問いかける。 「この岩が、どうかしたの?」 岩からは草や木のように情緒が感じられないが、 時流を感じさせる力を感じさせて、 でもそれだけではなく、目に見えない何かがこの岩には感じられる。 「しみじみとした、美しさは目に見えないものだなって…」 ひとみさんの発言は、どこか世間離れしていて、 それでも惹きつけるなにかがあって。 岩のことをもっと知りたいと思い始めると

        • イジメと亡霊②

          朝、2週間に1回は必ず虐められてた時の夢を見る。今日はその日だった。殴られたり…とかではなく、ただ部活をしてる夢。 でも、それを見るたび当時がよっぽど辛かったんだなと思い起こされる。 今日もおそらく、楽しくはない、ただ、虐められてた頃に比べれば、マシだ。暴言も暴力もない平和な世界だから…。 強いて言えば、劣等感くらいだ。孤独でない人たちと比べて…。 列車に揺られ、携帯の画面をただ眺める。 同じ高校の人たちが乗ってこれば極力視線を逸らした。孤独がみじめだったから。誰もそんな

        【短編小説】令和寛「夜景」

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        • イジメと亡霊
          3本
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        記事

          幽霊の逆襲

          1.霊女 装束を身に纏った女性は、渋谷区の線路下のトンネルで、ただ立っていた。 (僕はいつものように、冷気を感じながら、彼女の横を通り過ぎ、トンネルを抜けて家へ帰宅する。) 僕が通るタイミングで現れ、通り過ぎるタイミングで姿を消す彼女は、紛れもなく幽霊である。 ー幻覚ではないだろうか 確かに、50年前に流行した幽霊=幻覚という仮説は一方で正しいと思う。精神的に追い込まれた人に、幻覚が現れる現象は精神分析学の観点から認められていて、僕1人の経験を切り取ってみても、やは

          幽霊の逆襲

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          https://youtu.be/UsasgTg8DU0

          【恋愛小説】好きって何? 読書を始めたきっかけは? 【特別対談】

          https://youtu.be/UsasgTg8DU0

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          執筆•読書•taga.bookを始めた経緯について(エッセイ)

          こんにちは文学youtuberの令和寛です。 本日は執筆•読書•taga.bookを始めた経緯についてお伝えできればなと思います。 早速ですが、皆様は執筆は好きですか? 私は国語をはじめ、読書が大の苦手でろくに本を読んできませんでしたが、高校一年生の時点で、作文する機会があれば、何となく文を書くのは好きだと感じてました。 普段日常を過ごしていると、執筆をする気は一切起こらなかったのですが、定期テストの度、机に向かったのは良いもののやる気がわかない。そんな状況下で、用紙の

          執筆•読書•taga.bookを始めた経緯について(エッセイ)

          読了ツイート(基礎編)

          こんばんは令和寛です。 現代では一昔前と異なり、オンライン上で本の感想をシェアできる時代ですよね。 そんな恩恵に便乗し、令和時代で私は、純文学の作品や、無料投稿サイトの作品を読み漁り日々感想をネット上に投稿しております。 今回は私がtwitter上で感想を上げる際に意識している3つのポイントを簡単にお伝えします。 3つのポイント ・要所となるスポット ・本文の気に入った言葉をメモ ・作品を一言で表す それでは早速順を追って紹介させていただきます。 1.要所となるスポット

          読了ツイート(基礎編)

          【都内】1人で訪れたい、夜の読書スポット7選

          1.the 3rd Burger 青山骨董通り店(表参道) 1人で読書を楽しむのに、オススメの時間帯は、休日の夜19時以降です。 Burger店ということで、Take outもできるからか、予想に反して夜の時間は空いており、BGMに揺られてゆっくり読書を楽しむことができます。 本を読んでいて、お腹がなりそうになってもお手頃な価格で、美味しいハンバーガーを頬張ることができます。WIFIもしっかり飛んでいるので、読了ツイートもスムーズです! 2.六本木ヒルズ展望台(六本木)

          【都内】1人で訪れたい、夜の読書スポット7選

          イジメと亡霊 (1.2)

          著者: 令和寛 絵:しめさば 1.理不尽な足跡 イジメを受けたのは2年前。だけど… イジメ後遺症はまだ消えていない。 人を見れば、何か悪口を言われてる心持ちがして。人間がただただ怖い。そんな状態で友達もできるわけもなく…誰からも理解されれない世界で、僕は孤独だった。 逃げてはいけないけど、理不尽極まりなかった。 青春なんて無縁。イジメを受けたあげく、得てしてイジメをした側や、見て見ぬ振りをしたノーダメージの人が高校生活を楽しむ内容のsnsが発信されていて。要するに僕の

          イジメと亡霊 (1.2)

          読書の秋に、李白を味わう

          こんばんは、令和寛です。 本日は李白について、簡単につづらさせていただきます。 私は普段漢詩は読まないのですが、李白に関しては幻想性や世捨て感に魅了され読み進めてしまいます。 季節は秋ですので、秋と関連の深い詩や私の好きな詩をいくつか紹介いたします。 秋月を味わう清景南樓夜 風流在武昌 庾公愛秋月 乗興坐胡床 これは、立場のある将軍様が秋月を愛し、部下と語らってる描写です 漢字は、鑑真によって輸入されたという見方が主流ですが、この詩の情景をイメージすると秋月をに風流を感

          読書の秋に、李白を味わう

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          文学アナウンサーと紐解く、夏目漱石『こころ』

          #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい #夏目漱石 #こころ #純文学

          文学アナウンサーと紐解く、夏目漱石『こころ』

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          明治文学作家のような綺麗な文章(文語体)を書くために必要な3つの条件

          自己紹介 曽祖父が直木賞作家と作家家系ゆえ、親戚にもひと昔前編集局長を長年つとめられた方など文学好きが多くございますが、どうも現代の編集者は売れること(読み手が主)で文学を語らうようです。これは1200年もの遡り、長い目で日本文学をみるならば、特異な時代と申すことができましょう。 こんばんはtagaです。 皆さまは文体が綺麗な作家と聞いてどなたを思い浮かべますか?村上春樹さんでしょうか?一人称単数が発売されて話題になりましたよね笑 私は普段明治〜昭和文学を中心に読んでいる

          明治文学作家のような綺麗な文章(文語体)を書くために必要な3つの条件

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          https://youtu.be/-YSBL2LR-cs

          河野裕/いなくなれ、群青 こんにちは、令和寛です。 今日は河野裕さんの『いなくなれ、群青』について、3分程度で、少しでも魅力をお伝えできればなと思います! 河野裕さんの『いなくなれ、群青』はこんな方にオススメです!↓↓↓ ・矛盾する2人の複雑な関係を通して、恋愛の本質や可能性を思案したい ・移動と停滞のコントラストの中で幸せについて考えたい ・階段島の謎を解き明かしてみたい(ミステリー気分を味わいたい) 目次 河野裕さんの特徴作品紹介階段島について喫茶の時間(感じたこと) ○河野裕さん 著者の河野裕さんは、現役作家さんです。 作品の特徴はざっくりとこんな感じです!↓↓↓ 【読解難易度→高校生〜大人まで】 思慮深さ:◎ 感性:○ 読み易さ:◎ キャラ造形力:◎ 構成力:◎ 思慮深くも読みやすい青春ミステリーといったところでしょうか?? ○ 『いなくなれ、群青』作品紹介(140字) 七草は「捨てられた人々の島」で目を覚ます。島での生活は平穏だったが、ある日、許せない出来事が起こる。 【移動と停滞、双方の本質。群青の中の輝きは、何を照らすのだろうか。】 ありのままの可能性について考えさせてくれる、感情的で論理的な青春ミステリです。 ○階段島について 本作品の序盤で猫が、移動と停滞について発言しています。 停滞:不幸とも幸福とも遠い場所 移動:不幸もあり幸福もあり 皆様はどちらが好きでしょうか? 言い換えると、安定と成長(リスクアンドリターン)とかかな…。 恋愛で置き換えると、 衝突(停滞)と迎合(移動) 前者の方が動かない星空のようでちょっとロマンチックですよね、後者はなんだか現実的ですよね。 階段島は前者のように感じます。 そうすると、移動の世界は現実の世界ですかね。 ありのままと適応に優劣をつけるの難しいですよね。ただ、ここで一つポイントなのは停滞も移動も理性的判断によるものだと思います。 しかし、感性も人間には備わっています。 そこを如実に体験できるのが本作品で、哲学的思考を感情的判断が覆う面白い作品です! ○喫茶の時間(大人的見方) 本作品の魅力は二つあります! 一つは島の謎、もう一つは七草と真鍋による2人の関係性です!恋愛青春ミステリーと名付けることもできますが、ライトそうに見えて結構、思考が深掘りされているので、恋愛や幸せについて考えてみたいかたにとってはオススメな作品と言えます。ゴールデン期間中に訪れてみてはいかがでしょうか? ーーーーー 本日もご精読いただきありがとうございました。 依然としてコロナ収束の目処は立っておりませんが、皆さまのご活躍を心からお祈り申し上げます!! #読書好きな人と繋がりたい #読了 #いなくなれ群青 #河野裕

          https://youtu.be/-YSBL2LR-cs

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          TAGA文学速報第1回〜10回

          第1回 尾崎紅葉https://youtu.be/-_vqUvLIOOY 第2回 幸田露伴https://youtu.be/KpQSY6wqmpE 第3回 夏目漱石https://youtu.be/5hJ4Cv0mOOQ 第4回 江戸川乱歩https://youtu.be/Mz9-Uh-OvHo 第5回 菊池寛https://youtu.be/HZxf_-ZceqM 第6回 谷崎潤一郎https://youtu.be/HZxf_-ZceqM 第7回 宮沢賢治htt

          TAGA文学速報第1回〜10回

          泉鏡花のような流麗な文体をものにするために

          自己紹介 曽祖父が直木賞作家と作家家系ゆえ、親戚にもひと昔前編集局長を長年つとめられた方など文学好きが多くございますが、どうも現代の編集者は売れること(読み手が主)で文学を語らうようです。これは1200年もの遡り、長い目で日本文学をみるならば、特異な時代と申すことができましょう。 こんな特異な時代で私は、純文学というものに読むのも書くのもはまってしまいましたので、twitterなどの活動を始めたのであります。 王朝の作品まで遡る必要性の可否 川端康成氏によると、文豪の中

          泉鏡花のような流麗な文体をものにするために