伊藤 拓郎

都内の広告会社でエクスペリエンスデザイナー/コミュニケーション・プランナーやりながら写…

伊藤 拓郎

都内の広告会社でエクスペリエンスデザイナー/コミュニケーション・プランナーやりながら写真やってます。1980年生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒。写真好き、映画好き。2018年8月第一子、2023年12月第二子誕生。

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『Return to ’78-’85 - 洋館で暮らした私たち - 島尾伸三+潮田登久子+しまおまほ』レビュー

僕は 写真展で 時空を超えた。 としか言いようのない体験をしてきた。 『Return to ’78-’85 - 洋館で暮らした私たち - 島尾伸三+潮田登久子+しまおまほ』 が、世田谷区豪徳寺の旧尾崎テオドラ邸にて6月4日まで開催中である。 写真家・島尾伸三、同じく写真家・潮田登久子、ふたりの娘であり漫画家・エッセイストのしまおまほ一家による、写真と、文章と、数々の思い出の品で構成された展覧会。 潮田さんについては過去に2回テキストに起こしているので、そちらもどうぞ

    • 大橋仁写真集『はじめて あった』に会った

      写真家・大橋仁。 義理の父の自殺未遂現場を極めて冷静に撮り、荒木経惟をして「凄絶ナリ」と言わしめた『目のまえのつづき』(青幻舎)で1999年にデビュー。以降、10組の出産現場に迫った第2作『いま』(2006年)や、300人の性行為(乱交)を撮った第3作『そこにすわろうとおもう』(2012年)など、見る人によっては強烈な嫌悪感を催す対象を素直に撮る写真界の鬼才である。 2023年に最新作『はじめて あった』(青幻舎)を発表。久しぶりの新作に、長年鑑賞してきた自分はすぐにご本

      • 鈴木心の超 写真がうまくなっちゃうワークショップに参加した話

        2023年1月から、写真家の鈴木心さんが主宰する「鈴木心の超 写真がうまくなっちゃうワークショップ」、通称「超写うま」(ちょう しゃうま)に参加しました。 超写うまって?その説明の前に、写うまとは何か?をおさらい。 というのがベーシックな「写うま」です。期間中、ほぼ毎日Instagramで心さんから講評をもらえます。僕はアメリカの写真家、アレック・ソスをお手本としました。 詳しくは「写うま3期」に参加したときのレポートをお読みください。 「超写うま」は、この「写うま」

        • まねぶ、学ぶ。

          4歳娘の公文からの帰り道。元気にキックボードを蹴る彼女を自転車でのろのろ先導していたら、背後で 「あ、ちょっと待って!写真撮りたい」 と言って娘がポシェットからおもちゃのカメラを取り出した。 おもちゃのカメラといってもトイカメラではなく。シャッターを押せば次々と動物のスライド写真が回転しながら入れ替わる、ファミレスのオマケで貰ったおもちゃだ。 アザラシかレッサーパンダがアフリカゾウが見えてるはずのファインダーに接眼したまま「よし!」と満足そうに笑ったかと思えば「いいよ

        『Return to ’78-’85 - 洋館で暮らした私たち - 島尾伸三+潮田登久子+しまおまほ』レビュー

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          潮田登久子写真展『永遠のレッスン』

          以前、潮田登久子さんの写真集『マイハズバンド』を紹介しました。 ちょうど横浜で『マイハズバンド』含む潮田さんの写真展が開かれていたので、最終日、トークショーとともに行ってきました。 会場に入ってまず目にとまるのが、巨大な冷蔵庫の写真。 中判カメラで正面から撮り続けた『冷蔵庫』のシリーズは1981年から2003年頃まで撮り続けられ、ご本人曰く「まだ終わってない」。ご自身の生活の記録から始めた写真は、やがて数々の家庭の定点観測となっていったそうです。 額に入れず隙間を埋め

          潮田登久子写真展『永遠のレッスン』

          写真集を読む|『マイハズバンド』

          写真家・潮田登久子(うしおだ とくこ)さんの『マイハズバンド』を紹介します。 潮田さんは1940年生まれの今年83歳。荒木経惟や森山大道と同年代の写真家で、夫は写真家の島尾伸三、娘はエッセイスト・漫画家のしまおまほ・・・ というわけで、本作は2007年に出版された島尾伸三の写真集『まほちゃん』と比較せずには語れません。 現代アメリカを代表する写真家、アレック・ソスも昨年のベスト写真集で本作を推薦し、長島有里枝が寄稿文を寄せるなど、国内外の写真家からも注目される本作。撮ら

          写真集を読む|『マイハズバンド』

          現場レポ:写真がうまくなっちゃうワークショップ(後篇)

          前回は、鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ(略して 写うま)の全6回のサマリーや、最終回直前の取り組みについて書いていきました。 今回は最終課題「写真集を作る」に向けたメイキング。16歳から現在までに撮りためてきた「自分のバナキュラー写真」から話を始めます。 ソスを起点に、自作のコンセプトを考える先々週、作品撮影のために帰省し、高校〜20代前半に撮っていた写真のネガを実家から持ち帰りました。 見返すのも途方に暮れる分量ですが、ソスのやってきたことを自分なりに再

          現場レポ:写真がうまくなっちゃうワークショップ(後篇)

          現場レポ:写真がうまくなっちゃうワークショップ(前篇)

          9月下旬から参加している「鈴木心の写真がうまくなっちゃうワークショップ」、略して「写うま」について、産みの苦しみ真っただ中からレポートしてみます。 「写うま」とは?写真家の鈴木心さんが、伝わる写真の極意を込めた著書『写真がうまくなっちゃう7のこと』をベースに、「いい写真=伝わる写真」を生み出す術や、そのための思考法を探る全6回のワークショップ。 僕が通っている3期オンラインクラスは、希望者にはオフラインでの参加も可能で、会社員、主婦、消防士さんなど全国からさまざまな人が参

          現場レポ:写真がうまくなっちゃうワークショップ(前篇)

          写真よふたたび (高校〜浪人篇)

          1996年、四国の片田舎にて。 16歳だった。ミノルタの一眼レフを父親から譲ってもらった。きっかけはその1年前、中学時代に変わり者の友人に誘われて入った生物部。そこで魚の解剖をすることから話は始まる。 顧問が放置し、下級生もいない生物部。毎週、友人Dか自分が魚屋で魚を1匹仕入れて、内蔵をきれいに仕分けるだけのシュールな放課後。解剖するのはDで、僕は隣でそれを割り箸ペンと墨汁で絵にする係だった。杉田玄白ごっこ。いま考えたらずいぶん根暗だなーと思うが、中2病という言葉もなかっ

          写真よふたたび (高校〜浪人篇)

          初めて見るもの

          先日、アレック・ソス展の最終日に葉山へ行ってきた。 妻は友達と朝から遊びに出かけていたため、4歳娘とふたり、都内から2時間かけて電車とバスで向かった。 葉山駅から神奈川県立美術館へ向かうバスの車窓から、海が見えた。 図らずも娘にとっては初めての海になるかも?と思い、美術館に入る前に海岸へ行ってみた。 細長い路地を抜けると、突如あらわれる広大な景色。 娘よ、これが海だ。 着替えも何も準備していないし、ワンオペでカメラもぶら下げているので波に積極的に入って撮ることはで

          初めて見るもの

          さよならしていいのか?ライカM11

          これを書いて5日。 早くも迷いが生じてきた。 さよならすると決めてから再度使いはじめたら、楽しいのだ、ライカM11。 もっと使い倒さないと見えないもの、感じられないものがある気がしてきた。 ・・・ハッセルも欲しいけど!というか、ハッセル欲しさの言い訳にM11を持ち出していることは明白。趣味にかける道具としてはライカってホント一級品なんだなということも理解しつつ。 今はただ、さよならなんて言ってごめんという気持ち。 つづく

          さよならしていいのか?ライカM11

          さよなら、ライカM11。

          ライカM11を買ってから半年なんと、早くも売ろうかと考えている。 いや、素晴らしいカメラ、素晴らしすぎるカメラであることは間違いないのだけれど、自分の身体感覚に合ってない気がして、気がついたら持ち出すのはQ2ばかりになっていた。 買ってすぐのエントリーにも書いたけど、M型ライカはレンジファインダーという方式のマニュアルカメラなので、二重像を重ね合わせてピントを合わせなければならない。 そのひと手間が被写体や構図への集中を促す効果もあれば、機械への愛着を増す効能もある(?

          さよなら、ライカM11。

          Leica M11、新たな沼のはじまり

          かつて、「レンズ沼から抜け出すためにたどり着いたライカQ2」というエントリーを書いた。 などと言い訳を並べ立てて自分を満たしていた。 あれから3年。 実際、写りにも取り回しの良さにも洗練されたUIにも満足している。Q2は素晴らしいカメラだ。ライカの克明でありながら油絵のようなこってりした描写がオートフォーカスで堪能できるのは画期的だと思う。しかも防塵防滴。ズミルックスレンズでマクロ撮影までできちゃうし、M10よりも軽くてバッテリー交換も楽々。金利はジャパネットが負担。欠

          Leica M11、新たな沼のはじまり

          2歳と40歳父だけでディズニーランドに行ってみた話

          2歳半の娘はClubhouseに夢中だ。 と言っても音声SNSの方じゃなくてDisney+の『ミッキーマウス クラブハウス』。ミッキーもミニーもドナルドもデイジーも大好きだ。 くわえて、保育園ではトイ・ストーリーのウッディやバズライトイヤーなんかの名前も覚えてきた。 それならばと、ネットで繰り広げられるディズニーランドのチケット争奪戦に参加。運よく会社の休暇奨励日(平日)のチケットが1枚取れた(3歳までは小児は無料!)。 2歳娘と40歳父の、ふたりだけのディズニーラン

          2歳と40歳父だけでディズニーランドに行ってみた話

          日の丸構図が好きです

          2歳になって、走るのが速くなった。 そんな娘にカメラを向けて、目標をセンターに入れてスイッチ。 被写体がど真ん中にある構図を、日の丸構図という。 娘を撮るようになって、日の丸構図が圧倒的に増えた。 追いかけるのに必死というのもある。 堂々と、そこにいるから。というのもある。 フレームのど真ん中で撮る。 たまにセンターじゃないのもあるけど。 迷わなくていい。 とにかく、目標をセンターに入れてスイッチ。 フォーカスモードも、センターで固定だ。 ノールックでも

          日の丸構図が好きです

          夜中に寝てくれない赤ちゃんには「縦揺れよ」って高い電動ハイローベッドチェアを買う前の自分に教えてあげたい

          秋にいとこが女の子を産みます。8月には同僚が男の子を産みました。めでたい! そこで、今日は彼ら新米パパママにむけて書くつもりで、2年前に新米パパになった僕が寝かしつけで役に立ったあるモノをご紹介します。 6万円の電動ハイローチェアがムダに夜泣きにはずいぶん苦しめられました。そこで、電動でベッドごとスイングしてくれるネムリラというハイローベッドチェアを購入しました。 やっぱ文明の利器は楽ちんだなあ。と思ったのも束の間、この電動スイングで寝てくれたのは最初の数回だけでした。

          夜中に寝てくれない赤ちゃんには「縦揺れよ」って高い電動ハイローベッドチェアを買う前の自分に教えてあげたい