さよなら、ライカM11。
ライカM11を買ってから半年
なんと、早くも売ろうかと考えている。
いや、素晴らしいカメラ、素晴らしすぎるカメラであることは間違いないのだけれど、自分の身体感覚に合ってない気がして、気がついたら持ち出すのはQ2ばかりになっていた。
買ってすぐのエントリーにも書いたけど、M型ライカはレンジファインダーという方式のマニュアルカメラなので、二重像を重ね合わせてピントを合わせなければならない。
そのひと手間が被写体や構図への集中を促す効果もあれば、機械への愛着を増す効能もある(?)ことは重々理解している。写真を撮ってるぞ!という感覚になれるというか。熟練者ならレンジファインダーの方がAFよりもピント合わせが速いともいう。
けれどその手間のぶん、慣れてない人が初めてM型ライカを使うと「自分ってこんなに下手だったっけ?」と戸惑うそうだ。
で、僕の場合はその戸惑いが半年経っても抜けず、目がショボショボして、「こりゃ向いてないのかも」と思うようになってきた。我が子をファインダーで追えない。
クラシカルな見た目の最新マニュアルスポーツカーを乗りこなせない感じ。
ビゾフレックス2というEVFアダプターを付ければレンジファインダーから一眼カメラスタイルにはできるものの、マニュアルカメラであることには変わりない。
というわけで、子どもを撮るならやっぱりAFかな、Q2かな、って買う前から気づけよ!という話だけど、そんな風に思うようになるのに半年かかった。
認めたくなかったというのもある。だってお高いし(本体だけで120万弱)。元を取れてないぞ、と。お飾りスポーツカーだったの?と。
次に欲しいカメラは
でも、もう腹が決まりつつある。
新しい乗り替え先を見つけたから。
その“クルマ”の名は、Hasselblad X2D 100C。
1億画素のモンスターカメラ。
子ども撮りがメインの写真パパに1億画素もいる?という話。
いらないと思う。
M11だって6000万画素を3000万画素に落として使っていた。
けれど、かつて学生時代にペンタックス67という中判カメラを愛用していた身としては、中判フィールドカメラの楽しみよ再び、というロマン?カタルシス?ワクワク感なのだ。
1億画素で娘を撮ってやろうじゃないの、という気にさせるほど魅力的だった。マップカメラで触らせてもらって感動した。
ボルボにも通じる、スカンジナビアンデザインな佇まいも好き。かつ、巨大な液晶を有効に使ったタッチ操作とボタン操作のバランスも良い。チルト液晶なのもGood。操作性もAFも先代より機敏。
カメラのUIUX
僕は本業がエクスペリエンスデザイナーでUIUXを考え設計するのが仕事なので、シンプルで美しいUIには目がない。ライカもそれで好きになった。ハッセルもきっと好きになる。
UIについてはこちらのレビュー動画が分かりやすい。
プロセッサの処理能力アップと巨大なディスプレイがスマホライクなタッチUIを実現させていることがよく分かる。
さあ、もうM11を売ってX2Dを出迎える心の準備はできた。が。
Hasselblad X2Dを予約
初回分はすでに完売で、いつ再入荷されるかも分からないので「いったん」予約した。いったい僕の前に何人並んでいるのだろう。マップカメラのお兄さんは「かなりご予約来てますね」としか教えてくれなかった。じゃ、いったん予約しとくか・・・。
同時予約したレンズは55mm。35mmフルサイズ換算で43mm。これも触った感じはめちゃくちゃ良かった。
広角ならライカQ2の28mmを使いつづければいいし、よっぽど気に入ればQ2を売ってその資金を元手に38mmレンズ(換算30mm)を買えばいい。その前に来年出ると噂のQ3が欲しくなっているかもしれない。
M11からハッセルに乗り替えれば、レンズに待たされることもなくなる。すでに予約済みのライカ・アポズミクロンは入手に5年も10年もかかると言われている世界。そんなに待てません。だって4歳児は日ごとにぐんぐん成長しているし、僕はどんどん老けていく。4歳の5年後は9歳で、42歳の5年後は考えたくもない。
こうして自分の残り時間、究極をいえば「死」を言い訳にすれば、何だって決断できてしまう。M11のときもおんなじようなことを考えていたっけ。
今までいくつものカメラを乗り替えてきたけど、いつがいちばん楽しかったっけ?と考えると、決められないほどたくさんある(コレじゃなきゃ撮れなかった1枚、というのは無い)。M11は残念ながら今の自分には合わなかった。気がする。
M型はまだ早すぎたのかもしれない。
でも売ったら後悔するかもしれない。
Hasselblad X2Dがその後悔を吹き飛ばしてくれることを祈る。
そして、機材に溺れず、毎日写真を撮ろう。
2022/11/09追記:
若干心が揺らいできたことを10/4に書きました。
つづく。
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