見出し画像

知らないモノに出逢う時

突然ですが


変態ってめちゃくちゃ不思議じゃないですか!?


…すみません、決して卑猥な話をしたい訳ではありません。悪しからず。

この変態とは、昆虫が蛹を経て蝶になるとか、オタマジャクシがカエルになるという現象のことです。

数日前、たまたま何かの記事で拝見したのをきっかけに、私の中で今週の気になるトピックになっています。

変態の必要性

まずもって、変態って何故行われるんでしょうか?

生物のもつ機能は、生存と種の繁栄のためにより有利に働くモノが備わるようになっています。

言い換えれば、誰かが意図して作った訳じゃないけど、意味があるはず、ということです。

少し考えてみましょう。

変態して得られるモノは何か??と考えた時に、私が思いついたのは、"環境を変える能力"です。

幼虫は蝶になることで生まれた木から離れることができるようになるし、オタマジャクシは足が生えて水から上がることが出来るようになる。

すると、よりエサの沢山ある場所や仲間(異性の)のいる場所に移動出来るので生存や繁栄に繋がるよね、ということです。

ググってみるとこの他に、食するものが違う(例えば幼虫は葉っぱ、成虫は蜜)ことで、親子で競合することがない環境になっている、という指摘も見つかりました。

なるほど〜!親が子供の分まで食べてしまわないようにすれば、子供も育ちやすいわけですね。

変態が不思議と感じる理由

変態にも生物学的な意味があることはわかりましたが、それでも身体の構造が変化するという事象はなかなか不思議です。

だって、私たちは生まれてきてから、成長はしても身体の大きく構造が変わることはありません。
(蒙古斑は消えますけどね、アレは何なんでしょう??)

一方、蛹の中身はドロドロに溶けていると聞きます。一旦身体を溶かして作り替えているらしいです。

変態が起きる動物たちの、身体の中では一体何が起きているんでしょうか?

変態の設計書

ちょっとだけ難しい話になります。

身体というのは無数の細胞の集まりです。細胞にはそれぞれ遺伝子が入っています。

遺伝子は身体の設計書。細胞は元々あった細胞から分裂して出来ますが、その時に設計書もコピーして持っていくので、全部の細胞が同じ設計書を持っています。

そして設計書の通りにタンパク質が作られて、そのタンパク質が色んな機能を果たします。

平たく言えば、身体の形も機能も全部設計書の通りに作られるようになっているということです。

そう考えると、身体の構造が大きく変わる変態は、一見、設計書が書き換えられているかのように見えます。

でも設計書の書き換え(これを遺伝子変異といいます。)は結構リスクが高いんです。

遺伝子変異はランダムなので、一度書き換えてしまうと、上手いこと元に戻すことができる訳ではありません。

書き換えた後が失敗パターンだと、機能を失ってしまうこともあります。

変態はエピジェネティック制御

ここで出てくるのがエピジェネティックという考え方です。この先は多分大学生物の話です。

エピジェネティックというのは、遺伝子の中で機能として発現する部分と、しない部分があるということです。

それは、設計書には全部書いてあるけど、必要な部品の必要なページだけ使っている、というイメージ。

例えば、オタマジャクシは鰓呼吸、カエルは肺呼吸(皮膚呼吸もあるらしい)と呼吸の方式が変わります。

先に書いた、遺伝子が書き換えられる、という考え方だと、オタマジャクシのうちの設計書には鰓の設計がしてあって、カエルになる時に肺の設計に書き換えることになります。

すると、書き換えに失敗して設計書がダメになると、肺呼吸出来なくて死んでしまいます。

でも、設計書に元々鰓も肺も設計されていて、カエルになる時にページを切り替えるようにすればこのリスクは無くなります。

よって、おそらくこれらの変態の制御は、このエピジェネティックな制御を受けているんだろうな、という推測が成り立ちます。

調べるよりも大切なこと

したり顔で話してきましたが、私は昆虫や両生類の専門家ではありません。あくまで素人の推論です。

でも実際に調べてみたところ、およそこの推論は的中していたようです。

実は、今回お話したかったことはこの部分にあります。

それは、当たり前なようなことに対して、疑問を持つこと、そしてその疑問に対し、調べる前に自分なりの回答を持つことが重要だ、ということです。

ネットが普及した現在、情報収集は実に簡単になりました。ググればたいていのことは書いてある。

さらにSNSが普及して、情報収集はネットで一方向的に書かれた情報を収集するよりも、人の持つ知識を教えてもらうという二方向性の形態に変わってきました。

人から教えてもらうのも大事ですよね。文字で読んでわからない内容も、より分かりやすい形で理解することができる。

でも、人の意見は不確かです。どこまで信頼できる情報かはわからない。

だからこそ、信頼性の高い情報を組み合わせて、自分なりの意見を作ることの方が、答えを知ることよりも重要です。

そして最も信頼性の高い情報教材が学校の教科書なんですよ。

教科書は教えてくれない

教科書に載っていないことは沢山あります。

調べるよりも自分の意見を作ることの方が大切なのは、教科書に載っていないことをどう考えるか、ということでもあります。

今回はたまたま生物の変態という凄く限られたテーマを題材にしたんですが

世の中には科学が溢れていて、コレなんだろう??って考えるようにすると、専門外のことでもめちゃくちゃ興味が湧くようになるんですよね。

で、ちょっと教科書を見てみると疑問の答えが教科書に書いていないこともザラにあるわけです。

そうなると、論文レベルを調べるとか、自分で実験して調べてみるしかないよね、という話になる。

結論的に、教科書を読んでみて解消できない疑問を見つけること。それが科学への第一歩なのだと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?