山形の姥神をめぐる冒険 読書編(塔をめぐる冒険②)#10
『塔の思想 ヨーロッパ文明の鍵』 マグダ•レヴェツ•アレクサンダー/池井 望訳 河出書房新社
ほとんど世に知られていないこの本の著者は1886年にハンガリーで生まれた女性だ。知的な家庭環境のもとで教育を受け、オランダやベルギーの大学で教鞭を取っていたらしい。
その生涯の詳細は不明だが、彼女が日々ヨーロッパの街で古い塔と共に生きてきた生活が忍ばれる。塔とは何か、という問いを得て、その着想から考えを深めていく面白さが文面にはあふれている。彼女と一緒に塔に思いを巡らし、その未