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山形の姥神をめぐる冒険 #36

【如来寺 六面幢】 上山市牧野  2024年4月
 のどかな田園風景が広がる中に、唐突に現れた六面幢。うららかな春の陽光に辺りの畑では帽子をかぶってしゃがみ込み、土を掘り起こす人の姿があちこちにある。近くの神社では写生をする人もいる。商業開発やニュータウンの造成から免れて、派手な看板も、しきりに車が出入りするコンビニもない。ここだけ時の流れが違うみたいだ。
 農民詩人、木村迪夫氏の生まれ育った土地である。

 六面幢は室町時代のもので、凝灰岩がほろほろ崩れかけている。
まるでクッキーみたいだ。牧野村の十王クッキーは如何?奪衣婆まんじゅうもいいな。六面幢もろこしもありだな。姥神めぐりでいろいろな石の素材を見てきたせいか、石への感受性が高くなったみたいだ。

奪衣婆?
閻魔王?

 ところで、この六面幢を探して歩いている最中に、もう一つ小さなものを見つけた。ほど近いお宅の畑の隅に、ここに居ていいのやらと困惑気味に立っていた。六面幢ミニタイプだ。この地はこのような遺跡がたくさんあるらしい。
土と信仰と。
詩が生まれる必然性をもった土地。
山も空も、人びとを見守ってくれているようだった。

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