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『オルタナティブ福祉』は他人事ではない


リー・アンダーツによる人間活動第一弾『オルタナティブ福祉』が開催されます。

きたる2022年11月25日(金)、東京仙川にある小さな喫茶店「TINY CAFE」で少し特殊な座談会が開催されます。
主催はリー・アンダーツ。音楽家クニキマチコがnoteで名乗っているペンネームです。座談会には僕もゲスト参加し、少し話したり時々歌ったりする予定です。

まずは、特殊な座談会と言われても、皆さんの頭上にはクエスチョンマークが浮かんで、一瞬で消えていくことが容易に想像できるから、少しだけ足を止めてほしくてこの記事を書いています。
記事ではリー・アンダーツ、そして『オルタナティブ福祉』という企画について、僕なりに感じたことを書いていきたいと思います。
記事のタイトルにもあるように、この企画は恐らく誰にとっても他人事ではすまされない「家族間に起こり得るあらゆる問題」をテーマに進められていきます。

介護問題、児童虐待、育児放棄、引きこもり、家庭内暴力、貧困家庭など。

連日報道される数えきれないほどの家族間の問題や身内トラブルによる悲惨なニュース。どれほどの悲劇でも他人事ならば「大変だなあ。悲しいなあ。」の一言で幕を閉じることができます。しかしその悲劇が自分の身近で起きれば、生活は一変し、人生そのものが破綻しかねません。また、問題を抱える家族は孤立していく傾向にあり、日常社会の水面下で悲劇は繰り返されようとしているかもしれません。手遅れになるとわかっていても何もできない。僕にもそんな場面に出くわした経験や心当たりがあります。

家族の誰かが問題を抱えてしまった時、切っても切れない関係だからこそ、もつれたり、ぶつかったり、突き離したりすることもあると思います。それでも支えあい、時に憎しみながらも愛したいと願うのが家族なのかもしれません。
『オルタナティブ福祉』の主催、リー・アンダーツ自身も”家族という運命”に人生を翻弄されたひとりでした。

セルフネグレクト(自己放任)という問題を抱えていたリーの母。

ゴミ屋敷と化した部屋、繰り返す借金、人間関係のトラブル、ありとあらゆる問題を起こす母との最後の2年間の格闘記録。リーの書いたその記事を読んで、あなたは他人事と思えるのか?
是非、心してご一読ください。


手探りの『オルタナティブ福祉』

リー・アンダーツの記事の愛読者でもある僕は、その記事のシリーズが終盤を迎えようとするころに、リー本人から企画の相談を受けました。すぐに僕のマネージャーさきちゃんを巻き込んでのLINEグループが作られ、『オルタナティブ福祉』は動き出しました。

自分の体験を何かに還元したい。

母亡きあと、そんな想いで居ても立っても居られなくなったリーは、手探りで自分のできることを探していたようです。
NPOの設立や相談窓口の設置、福祉関連の資格取得など、具体的なことも色々と検討した結果、リーは”困っている人の支えになること”が軸にあるのなら、その活動形態に拘らないというスタンスを選びました。
形容し難いリーのスタンスは、ボーダレスで間口は広いようですが、実際に問題を抱える方たちの相談内容は深刻であるがゆえに、慎重な取り扱いと機密性の高い窓口を望むことも事実です。また、悩みの渦中にいる人は、誰かに助けを求めることさえ視野に入っていないことが予測されます。
そこでリーは、まず自分の記事に興味を持ってくれた方と一歩踏み込んだ話ができる場を持ち、自分の想いを発信したかったようです。企画の旗揚げは、そんなリーの熱意の存在を知ってもらう意味も含まれています。

では、オルタナティブ福祉とはどのような座談会で何を目的とするのか?

オルタナティブとは「主流な方法に変わる新しい方法/代案」という意味があります。つまりこれまでにあった福祉サービスの網の目から抜け落ちた人々の声もすくいあげたい。そのために何をすべきか意見交換をする。言わばまだ宙ぶらりんのオルタナティブ福祉は、変幻自在進化型座談会と言い換えれるかもしれません。

企画の具体的な進行内容についてですが、座談会なので誰もが好きに発言をするオープンな会です。と言いたいところですが、取り扱うテーマの性質上きっと他人がいる場所で発言しにくい方も多いだろうと言うところから、まずはリーに自身の体験を語ってもらうことからイベントは進行します。
それから、リーの母の介護期間に関わりのあったリーの恩人であり、友人でもある精神保健福祉士のタカハシさんをお招きし、専門家としてのご意見も頂きながらディスカッションを行います。
当日はオープンダイアローグ形式を採用し、当事者だけでなく、僕や参加者も発言できる質疑応答や意見交換の時間を設けることでイベントに広がりを持たせられたら良いなと思っております。だからといって、参加者に無理に発言や意見を求めたりすることはないのでご安心ください。
なお、イベント終了後には雑談できる時間を作りますので、現在お困りの方や不安を抱えた方、ご興味を持っている方たちと直接お話しすることもできるかと思います。カフェでお酒やコーヒーもお召し上がりいただけますので、よろしければご一緒ください。

僕自身最初は、リーのカタチにならない想いを聞き、熱意だけはしっかり受け取りながらも「一体どんな座談会になるんだろう?」と少し不安でした。しかしながら、リーの名付けた企画タイトルがその想いを言い表しており、どういう企画なのか、輪郭を思い描くことができたように思います。

『オルタナティブ福祉』

リーらしい手探りの企画は、話し合いを重ねることで”場”が出来上がっていくのかもしれません。

リーが何を思い、どう考え、どう行動するのか?
それがどこの誰かにとって、どんな支えになっていくのか?
リーというフィルターを通して、少しだけ蓋を開け、見たくなかった世界を覗いてみませんか?


『オルタナティブ福祉』は他人事ではない

僕がこの企画を他人事ではないと感じるのは、自分の身近にも問題を抱えている人がいるからです。恐らく皆さんの近親者にも誰かひとりくらいは同じように問題を抱えている人がいるのではないでしょうか。

現在三人の娘と妻と日々楽しく忙しく暮らす僕ですが、ふとした隙間に置き去りしている問題について考えてしまう時があります。そしてその問題とは、いずれ身近にいる誰かが向き合わなければいけない時が来る。そう思うと、正直面倒だなと思ってしまう自分もいます。自分の暮らしには今のところ直接害はないから、深く考えようともせず、忙しさにかまけてはまた問題に蓋をする。

すぐそばにいるギリギリの人たち。
破綻しそうなムードを漂わせている人たち。

蓋が壊れて中から悲しきモンスターが生まれ出すのも時間の問題なのに何も出来ない。自分と自分の家族の生活を守ることで精一杯で余裕がない。頭の片隅にあるモヤモヤは問題を解決しないと晴れない。いつまでたってもスッキリしない。そんな自分に嫌気が差す時だってあると思います。できることなら誰かの何かの支えになりたい。
リーと同じような気持ちを持つ方は少なくないと思います。それは僕がこの企画へ参加する理由でもあります。

リーが誰かの支えになるべく立ち上げたこの企画は、僕に改めてそういった問題について考えるキッカケをくれました。結局は何も変わらなくても何も出来ない自分をもう一度見つめ直し、無力を知ることも一歩のような気がします。


最後に

リーの記事に書かれた母親像。そこに時折見え隠れするお調子者でお茶目な母の描写。
本人と話せばわかるように、リーは少し変わったユーモアの持ち主で万人受けするタイプの人間ではない。なのに、リーの周りにはいつも人の出入りが絶えない。それは、リーが持つ独自の愛嬌と不運をユーモアに変えるアイデアの持ち主だからかもしれない。その人間性が母親から受け継いだものなのか、反面教師にしたものなのかは僕にはわかりません。ただ、母と過ごしたかけがえのない日々がリー・アンダーツという人格を作りだし、この企画を立ち上げたことは事実です。
例えどんなカタチでも家族という唯一無二の愛に触れてきたリーの活動は、これからきっと誰かの支えになるべく広がっていくと思っています。
今は宙に浮いたリーのエネルギーがいつかどこかに着地し、どんな風に輝きだすのか。この企画の意味を少し先の未来で自分も感じてみたい。そんな風なことを思いながら書いていたら、なんだか出過ぎた文章になってしまいました。
ゲストの立場で、リーの許可もなくあれこれ書き連ねましたが、リーの想いを代弁しているわけでも、僕に皆さんに伝えるような強いメッセージがあるわけでもありません。

僕にとって『オルタナティブ福祉』が他人事ではないから書いたのだと思います。

田渕徹


イベント詳細&ご予約窓口

2022年11月25日 (金) 🎪仙川 TINY CAFE

リー・アンダーツが頻繁に出没する仙川TINY CAFE

「リー・アンダーツのオルタナティブ福祉 vol.1」

〔出演〕
語り手&聞き手
リー・アンダーツ

歌い手&寄り添い人
田渕徹

友人
タカハシ (精神保健福祉士)

料金
1,000円+1order

〔会場〕
仙川 TINY CAFE
仙川駅徒歩7分
〒182-0003
東京都調布市若葉町1丁目42−2

ご予約窓口

-----------主催者コメント--------------------
リー・アンダーツ note

わたしの母には、『ちょっとした癖』がありました。
借金・ゴミ屋敷・セルフネグレクト。
この『ちょっとした癖』のおかげで、母が死ぬまでの最後2年間は、わたしには想像を絶する苦労とイライラがついて回りました。
このことに関して、母の死後49日からおよそ半年程、わたしはnoteにたくさんのことを書き連ねてきました。
noteを通して、これまで考えもしなかった親世代のこと、福祉のこと、困った人のことを皆さんとお話しする機会がとても増えました。
今回そんなわたしの話を交えつつ、皆さんのお話も聞かせていただき、精神保健福祉士のタカハシさん、noteにいつも寄り添って考えてくれていたミュージシャンの田渕徹さんと一緒に、物事の道筋を立てるキッカケ作りになる場を、と思います。


会場はnoteにも度々登場し、わたし個人も大変にお世話になった『小さな喫茶店』ことタイニーカフェ。
飲み物を飲みながら、食事をしながら、歌声を聞きながら、昨日より気持ちが楽になるお話しを皆さんで交わせたらと思います。







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