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(前編)【Z世代とかんがえる】支援の先にみえてきたものーとあるフィリピンの小さな学校より

こんにちは!
TABLE FOR TWOインターン生の柏木です。
今回、疑問や関心が尽きない年頃の私にインタビューの機会が舞い込んできました。嬉しく思います。同じ年頃の皆さん、是非ご一緒に。
そうでない方も是非お付き合いください(^-^)
私がそうであったように、目を止めて下さった皆様にとって何かを「考える」新しいきっかけになると嬉しいな、という気持ちで本記事を書かせて頂きます。

私たちTABLE FOR TWOでは現在4か国の子どもたちに向けて、主に給食の機会提供を行っておりますが、それに併せて定期的に現地の視察を実施しております。
今年の3月、フィリピンのとある地域の小学校へ視察に行ったTFTスタッフの村田さんにインタビューを行いました。

Balaybayの風土

柏木 今年の春、フィリピンのBalaybay地区という地域に行かれていたんですよね。どんな地域でした?
村田 バライバイ地域の人たちの第一印象は、とても朗らか。道を歩くと、色々な場所から歌声が。家族や親せき、近所の人たちが集まって、カラオケをしていました。行きの飛行機、長距離バスなど至るところで歌っている人をみかけました!
柏木 陽気な人たちですね!歌が日常から溢れてるのは素敵なことのように感じます。
村田 一方で貧富の差も感じられました。大きな門がある西洋風な家もあれば、穴の開いたとたん屋根の家も。また、燃料が買えず焚火で調理をしている家庭もありました。
柏木 貧富の差は日本でも見られますが、同じ地域内でもそれほど目に見える格差があるんですね。
ちなみに、現地の方は普段どのように移動しているんでしょうか?
村田 フィリピンの交通手段としてよく知られているのは、ジプニーです。日本でいう公共路線バスにあたります。また、身近な交通手段としては、トライシクル。バイクの横に人用の荷台をつけたフィリピン流バイクタクシーです。私もトライシクルには何度か乗りました。最大6人(バイクに3人、荷台に3人)を経験しましたが、バイクから転がり落ちるのでは?とドキドキしながら、運転手の後ろでバイクにまたがって乗りました。
柏木 日本にはないタイプの乗り物!現地流の乗り物は新鮮で面白いですね。ワクワク、だけど少しスリリングな体験でしたね(笑)

ジプニー
トライシクル

どんな国?

村田 フィリピンの文化を知るにあたり、三つの背景が大きくあると感じました。
柏木 お!ポイントですね。早速一つ目から伺わせてください。
村田 一つ目は「考え方」の背景です。
柏木 考え方!文化や価値観の違いとかですかね。
村田 そうですね。なかでも、特に宗教は大きく影響していると感じました。
柏木 フィリピンの宗教といえば、カトリック教ですかね。
村田 はい。フィリピンでは、中絶が法律で禁止されています。「10代の子どもが妊娠/死産をしてしまう」など、様々な問題が起きています。その中で、正しい性の知識を広めようと動き出していると聞きました。
柏木 カトリック教が中絶禁止の教えを説いているのは知っていましたが、法的にも禁止されているとは…驚きです。宗教の影響力の大きさを感じます。
村田 二つ目は「産業」の部分です。一般的に開発途上国から先進国になる過程では、大体1次→2次→3次産業といったように、ステップがある中で発展していくことが多いです。これに対してフィリピンは2次産業が発展しませんでした。いわゆるリープフロッグ型の発展といったところでしょうか。
柏木 本来あるべき真ん中のフェーズがごそっと抜け落ちてる状態だったんですね。そうなると、メインの産業は何になるんでしょうか。
村田 大きな産業の一つは出稼ぎです。外国に働きに行くという産業スタイルになります。
柏木 確かによく聞きますが、思っていたよりも定着しているんですね。
村田 そして最後に三つ目は、「学歴社会」が挙げられると思います。想像以上に学歴社会だと感じました。
柏木 そんなにですか?!正直自分の中でのイメージとは違くてびっくりです。何か現地でそれを体感する場面があったのでしょうか。
村田 インタビューを通して感じたのですが、大学に行っても就職先がないことが多いことが象徴的です。いくら高学歴でも国内で仕事を獲得するのは難しい現状があります。また、派遣社員の契約に関しても、日本以上に厳しい状況を聞きました。契約期間が短く、次々に仕事を変えていかなくてはなりません。そのようなことがお母さんたちの危機感の高さに繋がっています。
柏木 そんなに短いんですか?!現地ならではの情報ですね。それにしても雇用環境が厳しいのですね…。

フィリピンの学校教育

柏木 バライバイ小学校で、授業も見学してきたのですよね。何か印象的なものはありましたか。
村田 授業で使う教材として、動画を使うのか教科書を使うのか、など先生個々によって違い、子どもたちに合ったものを教材として活用しているとのこと。フィリピンにも、日本でいう学習指導要領のようなものはありますが、その範疇の中で先生が裁量をもって授業を実施しているのだなと思いました。

学校の先生たちと村田さん


柏木 おお!学校教材ではない教材といいますと…?
村田 YouTubeにアップされている英語音楽の教材を使って、歌や踊りをしながら英語学習を進めていました。
印象的だったこととして、もう一つ。フィリピンでは、次の学年に進級するために進級テストに合格する必要があります。学力に関わるテストだけではなく、日々の授業の様子や学校生活なども評価の対象となります。
コロナ禍で、フィリピンは2年近く学校が休校でした。そのため、子どもたちは家庭で学習をし、テストを受けていました。子どもたちの家庭学習の様子や、理解度を把握し辛く(保護者がどの程度手伝っているか、自分の力だけで問題等を解いているかなど)、先生たちは進級のための評価が難しかったと言っていました。
柏木 日本には通知表がありますが、小学校の段階で進級の為だけのテストがある学校は少ないのではないでしょうか。ドキドキのテストですね…!
日本と似ているなと感じた点はありましたか?
村田 黒板に向いて授業を受けるスタイル(一斉教育)は日本の学校教育と同じでした。
柏木 基本スタイルは一緒なんですね!受ける姿勢は、違いそう…!
村田 そうですね。自分の意見を言うことに対する恥ずかしさがないと感じました。
そういえば、授業中に見ていて素敵だなと思った場面があります!
「電流」の授業を見学していたときのこと。「並列」の図を描きに黒板に向かったものの、途中でわからなくなって黒板の前で困っていた子に対し、すっと手伝いに行った子どもがいました。一緒に話ながら答えを考える光景を見て、とても心が温かくなりました。
柏木 めちゃくちゃ素敵じゃないですか!

意欲的に楽しんで授業に参加


村田 そうですね。子どもたちだけでなく、保護者もとても積極的で驚きました。
支援先パートナーであるACTIONさんと学校の先生が連携して、定期的に栄養セミナーを開催しています。
こちらは、給食プログラムに参加している保護者向けのものなのですが、皆さんは、ご自身の意見やアイデアをよく発言されているのが印象的でした。(※支援先レポート「テーブルの向こう側から」vol.43に掲載→https://jp.tablefor2.org/publishing/report43/
柏木 日本とは違うイメージです。学校の保護者会などでは、意見が活発に出るイメージがあまりないので…。
少し話が変わりますが英語教育はどのような感じでしたか。フィリピンはとても進んでいる印象があります。
村田 そうですね。一部の教科を除いて、算数や理科など英語で授業をしています。日本では、母国語で学習をするのであまり考えたことがなかったのですが、外国語で各教科を学習するのは思った以上に大変なのだろうと思いました。専門用語が英語で表記されている理科の教科書も見せてもらったのですが、理科の学習分野そのものと、英語力の双方に力が必要です。
近年、オンラインツールでの英語教育はフィリピンの重要な産業の一つになっていますが、こうした背景があるのだと実感しました。
柏木 私もフィリピン講師によるオンライン英会話に一時期お世話になっていました!どの先生も英語をどのようにして習得したかまで教えてくれてとっても為になりましたが、こういう背景があったんですね。

保護者向けの栄養セミナーの様子。積極的な発言が飛び交います。

学校給食のシステム

柏木 TFTの支援は給食の提供を中心としていますが、この学校の給食事情を教えてください。
村田 TFTでは、発育不良と診断された生徒を対象に給食支援を行っています。基本的に(本プログラム以外では)給食は提供していないので家に帰って食べる子どもたちが多い印象でした。保護者が学校に弁当を持ってくる光景もみられます。幼稚園生の子どもたちは、お昼に迎えに来て家庭で昼食をとり、午後の授業の前に保護者が一緒に再度登園してきます。
柏木 なるほど。学校で食べるのが普通の我々からすると、結構大変そうですね。ちなみに、一旦家まで帰る子もいるとなるとお昼休憩はどのくらいの時間あるのでしょうか。
村田 幼稚園の子は三時間ぐらい、小学生の子どもたちも二時間ほどだったと思います。バライバイ小学校では、子どもたちは日本の学校と同じく、午前午後と授業を受けています。しかし、マニラのような都市部は、学校の数に対して子どもたちが多すぎるため、午前に学校に行く子どもたち、午後に行く子どもたちと二部制になっています
学校を建てる、教師を採用するなど、教育費には多くの予算がかかります。子どもたちの教育環境を整えることの重要性はもちろんですが、一方で実際に実現する難しさについても考えさせられました。

友達と給食を楽しむ子どもたち

後編では、お子さんをもつ保護者の方々の声や家庭訪問から生活スタイルを深掘りしていきますが、フィリピンならではの素敵な価値観が沢山垣間見えた回となっております!今回の訪問を通して村田さんが抱かれた「これからの支援のあり方」に対するご所感や、それら全てを受けて私自身が消化するパートも設けさせていただいております。是非、一緒に考えてみませんか🌟

後編に続く🍙ˎˊ˗
▷▶︎https://note.com/tablefor2/n/n3572f7c29ec0

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