組織において一番重要なのは"信頼"

これまで様々なメンバーとPJを推進してきた経験と、書籍に書かれているような内容などを踏まえると、組織で働いたり誰かと協働したりする上では、"信頼"が一番重要だなと思っています。

今回は自分なりに信頼についてまとめてみました。


信頼とは

辞書的な意味では「主観的な立場から特定の人や団体を信じて頼ること」です。簡単に言えば「当人が特定の人や組織の言動を信じられること」です。

信頼がない場合

  • 信頼がないと人間関係は成り立たないし、表面的な関係性になる

  • 言動を信じられないので、節々にストレスを感じてしまう

  • 自分の期待とズレた言動に対してストレスを感じ続ける

  • 人間関係の上に成立する協働はうまくいかない

  • 心理的安全性のある組織は作れず、言いたいことも言えないし、進めたいことも上手くいかない

実際に自分が経験したもので、強い組織を作る上で心理的安全性が重要だと認識している人は多いと思いますが、信頼がなければ心理的安全性を作れるわけがありません。

心身ともにストレスを感じる中で仕事をしないといけないので、疲弊していき、ストレスで離脱する人も出てきてしまっていました…"信頼"というものの重要性を実感しました。

信頼に関する参考情報

そこで、信頼はどういった要素で作られるのか、整理してみたくて、色々な書籍を読んだり、自分の経験から整理したりしてみました。

書籍を読んでいると、下記のような形で表現されています。

①真正性:やると言ったことをやる
②共感:ステークホルダーである、我々を大切にする
③論理:我々のニーズを確実に応えられる

変化を起こすリーダーはまず信頼を構築する 生き残る組織に変えるリーダーシップ

①真実:正しいことを言う。相手を尊重しつつ、妥協せず率直に伝える。
②公正:正しいことを行う。正しく公平な行いをする。
③目的:正しい言動をするにあたって正しい理由を持つ。より良い善をなす。

誠実な組織 信頼と推進力で満ちた場のつくり方

①オーセンティシティ:本当の自分を出していると感じられる人
②ロジック:判断力や能力があてにできる人
③共感:自分を気にかけてくれると感じられる人

世界最高のリーダーシップ 「個の力」を最大化し、組織を成功に向かわせる技術

個人的にはわかりにくかったので新しく整理し直してみました。

信頼とは「信頼残高の貯金」によって得られる

今回は、シンプルに信頼は「信頼残高の貯金」によって得られるものである、と考えます。シンプルな方が覚えるのが簡単、かつ行動に移しやすいと思っているからです。

また個人的な感覚としても、この考えで行動していく方が実際に信頼を得られやすいな、と思っています。

もう少し詳細に説明すると、信頼に値する言動を積み重ねていくことで、成果・実績に繋がり、また信頼に値する性格・人間性であるという認知も広がっていき、実際に信頼につながっていくと思っています。

大きく2つの観点「定量(成果・実績)」と「定性(性格・人間性)」で信頼されるに値する人に慣れているか、を考えていけば良いです。

片方が欠けていると信頼に値しない

例えば、ある人が成果を出してても、意地悪で自己中心的な性格をしてたら、その人は組織として受け入れない方が良いと思っています。なぜなら、組織の心理的安全性を破壊し、組織崩壊を招く可能性が高いからです。短期的に成果が出たとしても、持続的な成果は期待できないです。ネットフリックスで言うところのブリリアントジャークなやつですね。

逆に、成果を出せていなくても、性格が良ければ良いわけでもないです。当然ながら、個人としてのパフォーマンスが良くないということなので、組織としての成果が最大化されないからです。成果が出せないことに対しては、ある程度シビアに見ないといけない部分ですね。

「成果・実績」と「人格・人間性」の両方が担保されて、初めて真の信頼に至るものだと思います。

求められている基準に対する成果で良い

成果・実績という話をした時に、ハイパフォーマーじゃないと信頼される人になれないのか?という疑問が出てくるかと思います。

個人的には、組織全体の中でハイパフォーマーである必要はなく、それぞれのフェーズで求められている基準に対して成果が出せているか、という観点で良いと思っています。例えば、新人・初心者のような人でも、そのレベルで求められている成果を出せていれば信頼に値する、という判断で良いかなということです。最初は小さな成果かもしれませんが、期待を超えていくことを繰り返し続けることで、信頼と成果の好循環が回っていくのだと思っています。

プロセスにこだわって、信頼を貯める

これまでの説明でなんとなく分かってきたかもしれませんが、成果・実績を残したり、信頼できる性格・人間性であることを示したりするためには、言動の積み重ね、つまりプロセスが重要になってきます。

個人的には、下記の5つの要素が重要かなと思っています。

①グロースマインドセット
②利他性
③誠実(一貫性、真実)
④知的謙虚(≒フラット)
⑤楽観主義

①"グロースマインドセット"を持つ

まず、成果・実績を残すためにも、また信頼される性格・人間性であるためにも、今の自分では足りていないと思って、努力し続けることが大事だと思っています。今持っているもので戦っても、得られるものは高が知れているはずです。

今できているかどうかに固執するのではなく、どうできるようになるか、にこだわっていくことを大事にしましょう。


②"利他性"を持つ

当たり前かもしれませんが、あなたは自分のことしか考えていない利己的な人を信頼しますか?

自分は信頼できないな、と思ってします。仕事している以上、エンドユーザーや社内顧客のために、自分を犠牲にして取り組むことが大事なる瞬間はあるはずです。その時に、自分の利益だけを考えている人は、良い仕事はできないですよね。

また、尊敬は「信頼の通過である」という話もあり、自分以外の人を大切にすることができなければ、組織全体として信頼を循環させていくのも難しくなってしまいます。

自分以外の誰かのために、あるいは会社や社会のために、何をやるべきか・何をしていきたいのか、といったことを考えて行動していきましょう。


③常に"誠実"に対応する

誠実であるとは、真実であること、そして一貫性があることが大事だと思っています。

まず、自らが発信する情報は、嘘偽りがない状態を維持していくことが大事だと思っています。

相手に伝えにくいことだったとしても、相手を尊重しつつも、妥協せずに率直に伝えていくと良いです。相手が忖度しているな、と感じてしまうと逆効果になります。また、厳しいことでもちゃんと言ってもらえている、という方がその人を信頼しやすくなります。

次に、一貫性があることについてです。言動一致が重要なのは当たり前かもしれませんが、その観点以外にも3種類の考え方があります。

・時間的一貫性:同じ人に対して態度を変えない。

・関係的一貫性:対人関係において一貫してフェアであること。

・状況的一貫性:通常時と緊急時における人の接し方や行動スタイルの一貫性があること。トラブルはリーダーの本質を暴く。相手にとって、自分がどういう状況か、というのは関係ない。

大前提、守れない約束はしない、ということですね。

もし、一貫性がない行動をとってしまう可能性がわかっているのであれば、事前に伝えるということもポイントです。事前に伝えておくことで、仮に一貫性がなかったとしても、相手に疑心暗鬼にさせるリスクを減らすことができます。

また、対人関係でフェアである際に大事なのが、その場にいない人にこそ、尊敬を示すということです。その場にいない人に尊敬を示すのは、その場にいる人に尊敬を示す最高の方法です。簡単にいうと、陰口を叩くのは控えましょう、ということです。他人の悪口を言えば、聞いている人は自分が悪く言われていなくても、不信感を覚えてしまうリスクがあります。

加えて、失礼な態度はすぐに改めさせる、というのも大事です。自分が陰口を言わないだけではなく、他の人にも言わせないということです。常にそういった失礼な態度の芽を摘まないと、信頼の流通を妨げる原因となってしまう可能性があります。


④知的謙虚(≒フラット)に接すること

あなたは自分が完璧だと思っている人を信頼できますか?

自分は、その人が自分に自信がありすぎて、なんか近寄り難い感覚になります。

自分が持っている知識・知恵よりももっと多くのことを知っている人はいるし、自分が出したアウトプットよりももっと良いアウトプットを出せる人もいる、そして、周りの人の意見がもっと優れた成果を出すのにつながる可能性がある、と思っていることが大事だと考えています。あっているかわからないですが、メタのメタという感覚です。謙虚のうち、知的観点での謙虚なので「知的謙虚」と呼んでいます。

これによって、全ての人に対して、フラットに(平等に尊敬を持って)接しすることができますし、その人たちの意見を聞いて簡単に軌道修正することもできます。

信頼できる人は、進んで自分自身を「点検」し、周囲の意見を聞き、それに基づいて必要な軌道修正を行うことができます。

別の表現をすると、ありのままの自分を受け入れていて、変なプライドがない状態とも言えます。そのため、自分が完璧だとは思わずに、周りの意見を取り入れて改善してくことができます。


⑤楽観主義

常に物事を悲観的に見て、仕事に取り組んでいる人を信頼することはできますか?

個人的には、そういった人は仕事のブレーキになりますし、期待以上の成果を出すことが難しくなっていくので、あまり信頼して任せたくないな、と思ってしまいます。

楽観主義だと言い過ぎ感はあるのですが、悲観的にシナリオを組んで考えつつも、楽観的に取り組んでいけていれば良いと思っています。取り組む時にも悲観的になっていると、たまたま良いものが得られた、みたいなことも起きにくい気がします。それに、何とかなると思って取り組むからこそ、本当に何とかなるのが仕事なのかなと感じています。


まとめ

これまでの5つをまとめると下記のようなイメージです。

人としてベースに「グロースマインドセット」と「利他性」を持っていることで、行動する際のマインドのベースができてきます。
常に誠実な対応をすることで周りと連携もしやすくなりますし、知的謙虚に接することで周りの意見も引き出しながら仕事していくことができます。
そして、常に楽観的に取り組んでいくことで、周りにもポジティブな影響を与えながら、実際の成果を出すことに繋げていきます。

こういったプロセスで継続的に取り組めていれば、いずれ成果・実績にも繋がり、性格・人間性としての評価も優れたものになるのではないかな、と思っています。

正直、成果・実績が出せるかどうか、というのは、その人の能力がどれぐらいか、とどれぐらい努力できるか、という話になってくるので、人によっては時間軸が長くなる可能性はあります。

また5つの要素も、どれも簡単に体現できるものではないですし、人によって発揮される度合いも異なるので、何を強みにしていくかも変わっていくかなと思っています。

信頼に関する注意点

①マネジメントでは、まず信頼から入る

そもそも判断力や能力がない人を信頼することができるか、というとそうではないです。"信頼残高"という言葉がある通りで、まずは信頼を貯金しないといけない、と思っています。

最近、仕事をしていて個人的に感じる違和感としては、最初から信頼されることが当たり前と思ってしまっている人が多いことです。
「なぜ任せてもらえないのか?」「なぜ細かく確認されるのか?」
といったことを疑問に思う人がいるのですが、それは信頼を獲得していないからだ、ということを気づく必要があると思っています。

一方、時代が変わってきていることも確かで、マネジメントする立場の人が最初から信頼せずにコミュニケーションをとっていると上手くいかないことが多い気がしています。そのため、信頼して任せてみたり、コミュニケーションの取り方を工夫して信頼されているように感じてもらえるようにしたりする、というのも大事だなと思っています。

今回の信頼の話は、自分が意識するときに大事にしてほしいもので、マネジメントする時には気をつけていただければと思います。

最後に

様々なPJで、いろんな人と仕事していく中で、"信頼"というものの重要性を肌で感じてきました。

これまで言葉にして整理することはなかったのですが、今回整理してみたことで "信頼残高"という考え方をもとに、日頃に積み重ねを大事にしていこうと改めて思いました。

自分の言動はマインドや価値観、バイアスなどに紐づくものだと思っているので、この後も日々アップデートしていきます。

何かしら感想やコメントをいただけると、自分の学びにもなるので、ぜひお願いしたいです。
最後まで見ていただきありがとうございました!

参考文献

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shun|事業開発/組織作り
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