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旅好きの思考 "アイデンティティの確認"

旅好きがあつまるコミュニティTABIFLEEEEEKのKuniです。
旅好きの思考」シリーズ第七弾です。旅に熱中している人へ取材をし、旅に魅了されるその人の人物像も探っていきます。

取材相手は会社のスタッフ、サロンメンバー、はたまた外部の人など興味の赴くままにすすめようと思っています。どこか共感してもらえたり、発見があったり、さらに読んだら旅したくなっちゃった!と思ってもらえたら最高です。頑張ります、ぜひ最後までお読みくださいませ。

インタビュー プロファイル7 ) 山口県岩国市出身、静岡4年、京都11年、現在は故郷岩国でご実家のお寺を継いで住職に。突っ込まれキャラで10歳以上離れている後輩からも「キッスィ!」と呼ばれるほど親しみやすいお人柄。坊主バー や メリシャカ などお寺とは一見接点のない分野の方達とコラボしたり、臨床宗教師 (傾聴を中心とした心のケアを行う人)としての活動もされています。実は美容男子でサウナや温泉も好き、体のメンテナンスも結構ちゃんとしてますという意外な一面も見せてくれました。泳げないけどダイビングが大好き。

一人旅が好き

-山口の田舎で育ち、大学で世界を知る
高校生までは超インドア、流行りものにも全然ハマらず、ソフトボールやバスケ、ハンドボールなどのスポーツ活動はしていたものの、絵に描いたような優等生タイプ(๑>◡<๑)でした。転機は大学のとき。まず大学受験で大阪の鶴橋(コリアタウン)に踏み入れただけで驚きました。そして劇的に生活スタイルが変わったのは大学でアウトドアサークルに入ってから。キャンプや出かけるのが大好きになり、静岡から伊豆への日帰り温泉もよく行ってました。夏休みには青春18きっぷで移動しながら沖縄、鹿児島、長崎の離島などテント道具を持って旅を楽しんでいました。

-達成感が段違い、内向的な自分から卒業
初海外は友人と添乗員付きヨーロッパ旅。楽しかったのですがなんとなく物足りなくて、一人でものもあまり持たずに宿も予約せずタイへ行ってみたら、これが物凄い達成感でした。そこからバックパッカーのようなスタイルの東南アジア一人旅にハマりました。引っ込み思案で自分から話しかけるのが得意な方ではなかったのですが、一人旅をするようになって、1人ですべて完結させてないといけないですし、自分でコミュニケーションを取らないと旅ができないので、メンタルが強くなった気がします。なんでも自己責任ですから。

大きな起点となった旅

バングラディッシュへ旅した際に人種対立を目の当たりにし、社会問題・世界問題を考えさせられる大きな起点となりました。さらにそこで国際協力をしている仏教系NGO団体に出会ったのをきっかけに、単に自分が楽しいという旅をするだけではなく、国際交流やボランティア、平和問題や貧困問題、世界中に潜む諸問題にも目を向けるようになりました。

ポーランド・アウシュビッツ

ボランティアに関しては、出会った二人の言葉を今でも思い出します。一人はベトナムのダナンで出会った青年で「ボランティアはできる時にできる範囲でやればいいんですよ。無理してすることはない」と伝えてくれました。二人目は全盲の方で「交差点などで困っている白杖持った人がいた場合、急いでいたり別の方向に行く時にには無理に声をかけなくてもよくて、余裕がある時に助けてくれたらいいんですよ」と。本質を捉えている気がします。ボランティアも人助けもその場限りで終わるものなんてないですし、どちらかの立場が上とか下とかもないんです。自分に他人のことを考えられる余裕ができた時、無理をせず自然と相手の気持ちに寄り添うというのが大切なんですね。

刺激を求めて行ったことない場所へ

-陸(おか)マイラー ポイントで旅する
マイレージ活動は15年ほど。貯まりやすく、期限なども縛られないのでユナイテッド航空のマイレージを貯めています。私は飛行機に乗らないでマイレージを貯める陸(おか)マイラーなのでステータスとかは全く求めず、貯まったポイントを旅に使うという具合です。貯まったマイルでどこまで行けるかな、出発とゴール地点を決めてゲーム感覚でマイル旅って楽しめるのでおすすめなんです。

刺激を求めて旅をする
旅に出るといろいろな人や考え方に出会うので、それが刺激になり、他の刺激を求め、予測不可能な出会いを求めて行ったことのない旅先を選びます。といいながら、仏教国であり優しい雰囲気を感じられる大好きなタイへは10回以上は行っています。世界の国数でいうと38ケ国くらいでしょうか、飛行機の中で行きたいところを探しながらバックパッカーの旅を楽しんでいました。

-泳げないけどダイバー
ダイビングにハマってからはダイビング目的の旅が多いです。泳げないんですが・・・ダイビング歴は約20年、120本潜っています。おすすめを聞かれれば沖縄の渡嘉敷周辺、海外ならメキシコのセノーテ。海の中は普段みることができない世界、地上とは全くちがう非日常感が味わえます。海の中ではジェスチャーのみで最低限のコミュニケーションしかとらないので、目の前のものに神経を研ぎ澄ますことができるのも魅了されるポイントです。美容男子としては日焼けも気になるのですが、一人で行っても現地で同じ趣味の仲間ができたり、なんといっても海の世界は言葉では表せない感覚的な魅力があるのでやめられませんね。もちろんリスクは当然あり、怖さを理解したうえで今後も楽しみたいと思っています。

セノーテ ダイビング

-今、旅したいのは
クロアチアのドブロブニク旧市街。コロナが流行する直前に計画していたのですが断念したのでそろそろ実現させたいです。要塞の街で海が近く、石畳に煉瓦造りの家々というのは日本ではない風景ですよね。

ドブロブニク旧市街

ダイビングなら未開拓のタヒチ、ニューカレドニア、イースター島、モルディブも行きたいですね。もう一度行きたいのはカンクン・セノーテ、海の美しさが忘れられないです。家族で行くならグアム・沖縄・ハワイ・シンガポール・タイあたりがいいかなぁと考えています。

-これから注目の旅先
お坊さん的にはインドネパールです。お釈迦様の生まれたネパール、活躍されたインド。ガンジス河から名をいただき、子どもには"恒河(ごうが)"と名付けました。恒河沙(ごうがしゃ)という数の単位で、仏教用語でガンジス川にある無数の砂という意味。砂の数ほどたくさんの人に会ったり影響を受けてほしい、自分もたくさんの方へ何か与えらる人になれるように、という願いを込めています。加えて自分が日本人でお寺の子として生まれたことなどを感じてもらったり、父として自分の好きなことを子どもと共有したい、というのもあります。

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さてここまでは旅のお話でしたが、さらに取材は続きます。オタク最強時代!日本と海外で"オタク"の認識のズレがあると思いますが、ここではオタクは薄く広くではなく一点深く愛する人と定義します。旅の他に熱量高く語りたいもの、どんな人を好きで、どんな哲学を持っているのか聞いていきます。どうぞお付き合いください。

隙間時間は休まず動きたい

1歳9ケ月、歩き回って目が離せないベイビーの子育てに奮闘中のキッスィさん。ただ忙しい中でも、とにかく時間は無駄にしたくない。きっかけは思いつきや他の人から勧められてがほとんどですが、ハマると、ストイックまでにのめり込むので、時間を割いてまでとことん熱中していきます。今何に熱中しているのか、伺っていきます。

-強制的に熱中しているエレクトーン
20代後半までエレクトーンを一生懸命に取り組んでいました。過去には参加していたエレクトーンアンサンブルで関西大会のグランプリをいただいた経験があります。周りがすごいメンバーだったのですが・・(謙遜されなくても)  。今は自分のお寺や出向いて演奏をしたり、今後も定期的に大きな行事で弾く可能性もあるので熱中せざるを得ない感じで弾いています。趣味にしては割と弾ける方かなと思います(*´∀`)。音楽って人の心を癒しますよね〜みんなで歌ったりもしています。

-ムキになるほどに熱中しているのが映画
オススメの映画を聞くと何が何でも観たいです。TABIFLEEEEEKの視聴覚部に入って各段に映画を観る本数が増えましたね。映画は自分だと好みのジャンルが決まってくるのですが、他の方が勧める映画なら避けてきたジャンルにも出会えるので、意外と食わず嫌いだったのかな、と思うようになってきました。今の段階で464本。ここ半年は特に多くて50本くらい見てます。自分が好きな作品は心理や心情を抉り出すような、深く考えさせられるようなものを選ぶ傾向にあります。

-好きな本のジャンルは決まっています
①伊坂幸太郎
 泣いた小説といえば、殺し屋を主人公に描いた『AX』。他にも好きな作品は映画化された『死神の精度』、グラスホッパーの続編として描かれた『マリアビートル』(ブラッド・ピット主演で映画化されたブレット・トレインの原作)など。

石井光太 ルポルタージュや小説を書かれる方。アジアのスラムの取材が得意でインドや東南アジアが好きな方には特におすすめしたいです。インドの物乞いレンタルチャイルドの話、東北震災の遺体安置所の話『遺体』、海外話『砂漠の影絵』など。映像でみるだけではない裏社会の現実、取材で得たリアルな社会をモチーフとした作品が多いので、考えさせられるとともに楽しい、素晴らしい海外だけじゃないというのを知っていたいと思っています。差別問題や人権問題にも興味があるので、『蛍の森』は小説で久々に泣きました。

自分を分析してみると

-ボーッとできない性分
トランジットや出張先、忙しい合間にも時間が空きそうなら迷うことなく行きたいところにいきます。(そのために何ができるか、何がしたいかあらかじめ検索しておきます)せっかちなのもありますし、ボーっと過ごすだけだともったいないと思ってしまうんです。フットワークは軽くありたいですね。

-与えられた役割に全力投球
自分で1から作り上げたり立ち上げたりしたい、というよりは誘ってもらって活動することが多いかもしれないです。メリシャカ、坊主バー、おしごとけんがくも、参加させてもらう限りは貢献したい!能動的に動きたいな、とは思っているので飽きることなく継続できるタイプかもしれないです。

私のポリシー

-等身大を大切に、親しみを持って接してほしい
自分を過大評価をしない。お坊さんという立場もあり、過大評価していただくこともあり、身分不相応な扱いをしてもらえることが多いからこそ、自分の能力や置かれた立場を考えます。自分の人柄に対してではなく、立場や衣に対しての敬意だと受けとめ、その衣に見合った振る舞いをするよう気をつけています。自分に自信があるタイプではないので自己肯定感低いかもしれないですが、楽しさは共有したいと常に思っています。自分にできること、できないこと、歳相応に、社会ではどのくらいの立ち位置かなど意識し、等身大でいることを常に念頭において生きていますね。

いじられキャラとバレてますよ〜の一幕

-自分がどう思うかを大切に
みんなが好きだから好き、嫌いだから嫌いではなく、自分がどう思うのか。というのを判断軸にしています。みんなの評価が高くても自分にとってはいまいちならその感覚を大事にする。一般的に好まれないものでも好きならそれはそれでOK。そこは結構ブレないです。

-期待に応えられるような行動を
田舎の住職として、地域や門徒さんとのつながりを大切にしています。周りに支えられていることを実感するだけに、相手が嫌な思いをしないかどうか。相手が望むことを言われる前に動けるように、など支えてくださる想いに背かないような言動を心がけています。思い返してみると礼儀に関しての躾は特に厳しかったですね。父が門徒さんに接する態度を見てきたので自然と学んでいるのかもしれないです。

-小さな幸せに気づけるように
苦しい時、大変な時に、小さな幸せ、小さな喜びを見つけると究極なストレスになりにくいです。困難は報われる時がくるから頑張ろう!と思っています。そして楽しむ時は思いっきり楽しみます。辛い時期があってもその先、この試練が終わったら何しようと未来を想像するのもいいかもしれないですね。

-少しだけ損するくらいがちょうどいい
小さなことで言えば割り勘する時は端数は自分が負担する、メールのやりとりは自分で終わらせるなど、相手にちょっとした不快感を与えたり、ん?と思われるようなところがあるようであれば、それは解消するように心がけています。鍋や大皿でみんなで食べているもので、相手が欲しそうにしているものがあれば、譲ったり。ちょっと遠回りするくらいで済むなら、〇〇まで送っていきましょうか?といった感じで周りを見て心情を慮って行動をすることが多いように思います。

憧れの人と一生ものの出会い

自分は生まれた時から跡継ぎだと育ってきたので自分で職業を選べる人に憧れます。特に憧れていたのは飲食や航空会社のCAさん、ホテルなどのお客様と直で接するようなサービス業。接客のアルバイトをしていた時に人の喜ぶ顔を見たり、満足してもらえてやりがいを感じたり、相手が何を求めているのか、思いを巡らせるのが楽しかったんです。今の住職という仕事は実は "サービス業" で、人と接するという意味では憧れは叶っているのかもしれないのですが・・・。

-お坊さんの先輩
大学時代一度違う道へ進もうとも考えたのですが、一人の先輩をきっかけに意識が変化しました。お坊さん人生を突き進む!と強く意識したきっかけとなったのが、西本願寺の研修機関の専任講師との運命的な出会いです。お坊さんでいることへの誇り、布教することを楽しみ、伝えるべき内容をストイックに追求する姿、一方で普段はすごーく温厚というその姿に魅かれ、その先生の近くでいろいろお話をさらにお聞きしたいと思い、大学院に進むことを決意しました。20年来の付き合いで、今となっては親友に近い存在です。

多様化する社会に対応してほしい

今回はTABIFLEEEEEKのメンバーインタビューですが、せっかくなのでHISに期待すること、を聞いてみました。

ABロードがあった時代、HISはとにかくバックパッカーの頼みの綱だったので、よく利用していました。そういったニーズに合わせて業界そのものを変化させてきたHIS。今の時代はもっと多様化していると思います、様々な想いに応えるような選択肢を与えて続けてほしいです。特に社会課題に柔軟に対応していってほしいのが願いです。営利だけじゃない社会貢献(参加しているTABIFLEEEEEKのコミュニティもそうだと思います)にも力を入れられているところには感銘を受けます。

10年後、これからの未来について

-旅+αの課外学習
今はオーバーツーリズムなども問題になっていますよね。ただ行って楽しいというだけではなく、旅先にどういう社会問題(平和・貧困)が潜んでいるのか、行くことによって迷惑をかけていないか、行って何かできることがあるのではないか、課外学習のような観点を持っていたい。それを元に息子を連れて伝えていきたい。ダイビングでも珊瑚を守るなど、楽しむためにはお邪魔して大丈夫かな、という気持ちを忘れずいられる旅人が増えてほしいですね。旅+αの体験が当たり前にできるような未来になりますように!

旅することの意味

自分のアイデンティティの確認。自分の立ち位置や好きなこと、お坊さんであることを再認識することができ、非日常も楽しめ、リフレッシュにもなる。日本人である自分、ダイビング好きな自分、海外協力やボランティアに興味がある自分など俯瞰してみれて、次どんなアクションに繋げていったら良いかなど考えられるのが旅かなと思っています。

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2.5時間にわたる取材、ありがとうございました。ほんの一部なので全生音源データを公開したいところではありますが、コンプライアンスのラインなど判断が難しいので、公開は控えたいと思います💦

"人"を通して、旅の素晴らしさが伝わると嬉しいです。もっと旅を愛する人が増えていきますように。そして世界が平和でありますように。
次回の"人"もぜひお楽しみに。

過去のインタビュー記事はこちらからご覧いただけます。

旅好きなら知らない人はいない!そんなコミュニティにしていきたいTABIFLEEEEEKでした。ではまた。

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