見出し画像

【冬を彩る】和風に酒蒸しロールキャベツ×「半蔵 純米酒 辛くち」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.4~

※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、ご家庭でもできる料理と日本酒の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
    ついでに日本酒では三重の地酒を中心に取り上げ、料理ではほとんど三重の地物食材を使っています。また、料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。


〇はじめに

 こんばんは( ˘ω˘ )。
 今回は日本酒ペアリング研究会の第4回です。

 ここまでの回では鈴鹿市の「作」を取り上げてきましたが、ここからは別の銘柄もどんどん紹介していきます。というわけで、今回は伊賀市にある大田酒造さんの「半蔵」より「純米酒 辛くち」を選びました。半蔵の「青ラベル」と呼ばれているものですね( ˘ω˘ )。

 料理は「和風に酒蒸しロールキャベツ」です。冬が旬のキャベツを活かした定番の煮込み料理ですね。まぁ今回は酒蒸しにするんですけれども(笑)。この料理ははあんまりお手軽ではないかもしれませんが、お時間があるときにやってみていただけたら嬉しいです!
また、僕なりのキャベツの巻き方も解説しています( ˘ω˘ )。

和風に酒蒸しロールキャベツ

それではさっそくやっていきましょ~( ˘ω˘ )。


◯材料と作り方

◇材料(2人ぶんぐらいのはず)

キャベツ        半玉
日本酒         100ml
水           100ml
昆布茶         適量

<肉だね>
豚ひき肉        200g
長ネギの白い部分    1本分
にんにく・しょうが   適量
塩           小さじ1/4
片栗粉         小さじ1
黒胡椒         適量

 今回も比率で考えましょう( ˘ω˘ )。キャベツの量はともかく、重要なのは肉だねの部分です。塩を入れすぎるとかなりしょっぱくなりますからね…。また、つなぎは一般的にはパン粉と卵を使うんですが、正直言って片栗粉だけで十分です。肉団子みたいなイメージですね。そしてこの比率をもとに、倍の量をつくりたければそれぞれを倍にしてください。ちなみに今回、作り方で載せている写真では、挽き肉500gで作っています(笑)。

 そして今回も、豚ひき肉は鈴鹿の山崎ファームさんのもの、野菜も鈴鹿産のもので作ってます。また、キャベツは寒玉キャベツでも春キャベツでもいいです。なんなら作り方で載せている写真は別日に撮ったものが混在しているんですが、片方は寒玉で片方は春キャベツです(笑)。ちなみに、一般的には寒玉キャベツはその名の通り冬が旬で、春キャベツは春が旬というイメージがあると思いますが、春キャベツは冬も出ます。なんなら冬のほうが甘味と水分があって美味しいです。

これは春キャベツで作っています。1枚目の写真は寒玉キャベツです。

 そして前回も書きましたが、「料理酒」ではなく「日本酒(清酒)」を使っています。もし「料理酒」を使うのなら、昆布茶を入れるとしょっぱくなりすぎるかもしれません。やったことはないですが…。

 それでは続いて作り方です( ˘ω˘ )。

◇作り方

1.半分になっているキャベツの中心部分と芯をとり除く。
 芯のまわりを三角形のようなかんじに切って取り除きます。

これは春キャベツですね。
こんなかんじに切り落としましょう。

 続いて、中心に近い部分は葉が小さくて肉だねを巻けないので、頑張って取り外します。下の画像ぐらいにするといいと思います。面倒ならそのまま次に行ってください。

 取り除いた中心部分は炒め物などに使いましょう。ちなみにキャベツの芯は煮たりスープにしたりすると繊維が口に残るんですが…

これぐらい薄めに切って、葉と一緒に炒め物にすると美味しく食べれます。細かく刻んで炒飯にいれてもよいです。せっかくなんで食べちゃいましょう。


2.キャベツを耐熱皿に置いてラップをし、ある程度柔らかくなるまでレンジで蒸す。そして冷ます。

蒸し上がり後。ちなみに寒玉キャベツです。

 キャベツは生のまま巻こうとすると確実に破れるので、レンジで蒸して柔らかくしておきます。だいたい600Wで5分ぐらいですかね。あんまりやりすぎると、それはそれで柔らかすぎてすぐ破れるので巻きづらいです。ちょうどいいところを探してみてください。

 また、温かいまま巻くと肉だねの脂が溶けだしますし、衛生上よくないのでしっかり冷ましましょう。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れておけばOKです。冷ましている間に、肉だねの準備や洗い物をしておきましょう。

3.長ネギ、にんにく、しょうがをみじん切りにする。
 にんにく・しょうがはすりおろしでもチューブタイプでもOKです。

4.肉だねに混ぜる塩、胡椒、片栗粉をあらかじめ準備しておく。

 洗い物は少し増えるんですが、あらかじめ小皿やバットに用意しておいたほうが楽です。次の工程から生肉を触るので、事前に用意していないと調味料をいれるタイミングで毎回手を洗う必要が出てきます。また、生肉の脂って手洗いで落ちにくいんですよね。そのため、衛生的にもあまりよろしくないですし、手が荒れやすくなるんじゃないかなと。
 逆にこのようにして分けておけば、そのまま小皿をつかんで入れて、あとは流しに置いておけばいいですからね。酒蒸しをしているあいだに洗えますし。


5.ひき肉に塩を加えて、粘りが出るまでこねる。

この構図を撮影するためだけに三脚を買いました。次はfps60にしようかな…。

どこで見たのか忘れましたが、こうすることで肉汁と旨味が逃げにくくなるとか。ミオシンというたんぱく質がなんやらかんやらしてこうなるそうです。

全体的に粘りが出て、まとまりが出てきたらOKです。暖かくなってきたら、室温と手の温度で脂が溶けださないように、氷水の入ったボウル保冷剤を使って冷やしながらやるとよりよいです。めっちゃくちゃ手が冷たくなりますけどね…(笑)。

6.肉だねに他の材料を加えて、全体が混ざるようにさらにこねる。

胡椒もここで入れてますが、あとあといろいろ見返したら塩と一緒に入れてもよさそうです。全体が均一になるようにしっかりと、しかしながら手早く混ぜていきましょう。

全体がまとまったらOK。


7.キャベツの葉の大きさに合った量の肉だねをとって丸め、キャベツで巻く。
 今回はいつも僕がやっている巻き方を詳しく解説します。

➀レンジで蒸したキャベツは水分が出てけっこう濡れているので、巻く前に軽く絞って水気をきる。

➁肉だねを片方の手にとってまとめる。

➁キャベツの葉をもう片方の手に取る。太い葉脈を自分側にするとやりやすい。

③葉の中心より少し下に肉だねを置く。

④葉の片方を内側に折りこみ、肉だねにかぶせる。

⑤太い葉脈がある手前側から巻く。

こんなかんじ。

⑥中の肉だねが見えるほうを上に向ける。

⑦折りこんでいないほうの端を、指を使って中に押し込む。

ほどけないようにしっかりと押し込みましょう。肉だねのなかにまで押し込む感じでやるとよいです。

⑧完成。

 葉が完全に1枚の状態でなくても、ある程度の大きさがあれば巻けます。方法は同じです。


8.巻き終わりの部分を下にしてフライパンに並べて、お好きな野菜と日本酒・水・昆布茶を入れる。
 スープなどで煮込むわけではないのでキャベツが解けることはあまりないと思いますが、一応巻き終わりを下にして並べます。そうしたほうが見栄えもいいですしね。その後、全体に昆布茶を振りかけます。やりすぎると塩辛いしくどいので注意。

 余ったキャベツはそのまま、余った肉だねは肉団子にして一緒に蒸しちゃいましょう。あとは好きな野菜を入れても入れなくてもいいです。

 水は焦げ付き防止でいれてます。どこでこのやり方を見たのかは忘れました。煮汁が濃くなりすぎないという利点もあると思います。

9.フライパンにふたをして中火で加熱し、沸騰してきたら弱火にして10~15分蒸す。
 沸いてきたらふたとフライパンの隙間から、蒸気がたくさん出てきます。分かりにくければいったんふたを開けて、液面に泡が激しく出ているかどうかを確認しましょう。下の画像みたいになっていたら、そこから弱火で10-15分ほど蒸してください。時間は量によります。心配なら1個割ってみて、火が確実に入っているかを確認してください。

水+酒が沸騰し、湯気がしっかり立っていることを確認。


10.盛り付けて完成。



◯今回のお酒とペアリング考察

 今回の料理には、「半蔵 純米酒 辛くち」を合わせていきます。

<蔵元情報>
大田酒造(三重県 伊賀市)
ホームページ
 https://www.hanzo-sake.com/


◇お酒の基本情報とコメント

「半蔵 純米酒 辛くち」 (大田酒造)

「半蔵 純米酒 辛くち」300ml 表/裏ラベル

区分:純米
米:国産米 精米歩合60%
度数:15度
公式商品紹介ページ:


筆者のコメント:
<香り>
バナナメロンを思わせる香りが主体。
   +
蒸米・餅のような米由来の香り
おそらく炭素ろ過由来ののような香り
わずかにローリエのようなハーブ感

 全体の印象としては、まっすぐかつやや穏やか料理の邪魔せず、ちょうどいい度合いでまとまっている。

<味わい>
 最初に上品で軽い甘味を感じる。加えて、酸味も穏やかで丸みがあるので、一瞬柔らかい印象のお酒のように思わせる。これだけだと「あれ?辛くちって書いてなかったっけ?」となるが、あとから米の旨味がしっかりとひ広がってくる。最終的にはその旨味が余韻としてしっかり残り、甘味や酸味はすっと切れてドライな印象を感じさせる。

<総評>
 このお酒は食中酒としてのポテンシャルがかなり高く、特に和食には全般的に合う。まさに「飲み飽きしないお酒」という立ち位置で、食事と合わせたらずっと飲んでいられそうな予感がする。日々の食事の隣に、常に置いておきたいお酒といえる。

 また、常温や熱燗でも美味しいと思う。


◇今回の料理との合わせ方

 先述しましたが、この「半蔵 純米酒 辛くち」は香りが穏やかで、味わいも軽い甘味・酸味しっかりした旨味がある食中酒向きのお酒です。そのため、様々な料理に合う汎用性の高さがあります。そのなかで1品なにを合わせようかと考えたときに注目したのが、辛口ながら第一印象に感じる「軽い甘味」後から感じる旨味、そしてその順番です。

 それらにうまく同調させるには、料理のほうも優しい甘みのあとにしっかりとした旨味がきて、なおかつあまり主張が強すぎないものがいいのではないかと考えました。そこで行き着いたのが今回の「和風に酒蒸しロールキャベツ」です。

 特に冬のキャベツは甘味があり、加熱することによってそれが丸く穏やかな甘さになります。それで肉だねを包み込むことにより、キャベツの甘さを感じたあと、肉汁とともに肉の旨味が広がって合わさっていきます。

こちらは春キャベツ版。

 また、酒蒸しにした理由ですが、トマトで煮込むと全体がトマト味に支配されすぎるし、コンソメや出汁で煮込むともっと強い旨味を感じるお酒のほうが合いそうだと思ったからです。酒蒸しにすることによって全体が穏やかに仕上がり、よりロールキャベツ本体をダイレクトに味わっていただけるのではないかと思っています。

 そのようにして、キャベツの甘味と豚肉の旨味を最大限シンプルにかつまっすぐに感じられるよう意識しました。そうすることで、「半蔵 純米酒 辛くち」の特徴がより深く同調するのではないかと思います。また、2つを合わせることで、「軽い甘味→しっかりした旨味」の流れを口のなかで2回展開させています。こうすることで、それぞれを単体で味わうだけでは生まれない起伏が生まれるので、ペアリングならではの面白さ・楽しさを感じていただけるのではないかな…なんてぼんやり考えています(笑)。

 加えて今回は冷酒でしたが、常温や熱燗でも合うのではないかと思います。そちらも含めて、ぜひ試してみてくださいね( ˘ω˘ )。


〇終わりに

 今回は「和風に酒蒸しロールキャベツ」「半蔵 純米酒 辛くち」を合わせてみました。ロールキャベツというと煮込み料理なので、酒蒸しにするというのはあまりないのかなとは思いますが、僕はこれがいちばん好きなんですよね。上にも書きましたが、ロールキャベツ本体をがっつり味わっていく感覚がとても好みです(笑)。もともとは出汁で煮込んでたんですが、2-3年前に出汁をひくのが面倒だから酒蒸しにしてみるかぐらいの感じでやってみたら大当たりでした(笑)。
 
 あさりなど二枚貝類もそうなんですが、酒蒸しってなんであんなに美味しいんですかね。やはりうまみ成分が多く、かつ食材本来の風味を活かせる日本酒ならではなのかなとも思います。先人たちの知恵と、そこから続く伝統と技術に感謝です。

 また、これまでも「和風に酒蒸しロールキャベツ」は冬の定番メニューだったわけですが、この企画を通して「半蔵 純米酒 辛くち」がびっくりするぐらい合うことがわかって嬉しいです。それだけでなく、僕がつくる料理のレパートリーの多くに合いそうなので、これからはこちらもうちの定番になりそうです(笑)。今回は300mlでしたが、次回からは720mlで買おうかな…。

 というわけで、今回はここまでです!
 次回は…どの日本酒になりますかね…(笑)。

 それでは、素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。



「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。

 本企画とは別でやっているエッセイ企画「淡い雲をとどめて」のまとめです。ぼちぼち書いていきますので、こちらもぜひに。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?