ハンマーを持つ人には全てが釘に見える
こんにちは、旅人先生Xです。
今日は、日常でしばしば発生する「手段の目的化」について書いていきます。
目次は以下の通りです。
1 マズローの言葉から考える「あれもこれも~したくなる」気持ち
「欲求5段階説」で有名なアメリカの心理学者、アブラハム・ハロルド・マズロー の言葉に、「ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える」(If all you have is a hammer, everything looks like a nail.)というものがあるようです。
ハンマーを持っちゃうと、あの釘もこの釘も打ちたくなっちゃう気持ちになるってことですね。
はい。
わかります。
小学校の図工で、子どもにハンマーを持たせてみたことがある人は、きっとこの言葉がよ~くわかると思います。
彼らに持たせると、途端に、図工室イスや机を止めている釘の所を打ち出したり、釘を探し出したりするんですよね。
正直、私自身も教材研究で、図工室で作業している時、やりました。
だから子どもたちには、「あぁ…先生もそれやったよ…みんなと同じことしてました…」と懺悔したことを鮮明に覚えています。
子どもたちには、「先生、子どもだね」と言われて、「うん」しか言えなかったです。(笑)
皆さんも似たような経験はないでしょうか。
ハンマーを使いたくなっちゃうので、ついつい釘を探し出してしまうのでしょう。
ハンマーをもつことによって、あれもこれも叩いてまわりたくなってしまうようになるということですね。
2 別の解釈
実は、先ほどのマズローの言葉は、「ハンマーしか持っていな人には、問題が全て釘にしか見えない」と解釈することもできるようです。
ざっくり言ってしまえば、これは、本当は別の道具がいるはずのネジなどに対しても、ハンマーで叩けば何とかなるでしょうと思ってしまうということです。
ハンマーを持ったことによって、思考がハンマーに固執してしまう感じですね。
「確証バイアス」という言葉が認知心理学や社会心理学にあります。
確証バイアスとは…
仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと【Wikipediaより】
先の例で考えてみると、他の道具を使った方が良いネジを見た時に、ハンマーで打つべきか検証する際に、「釘っぽいものは、ハンマーで打った方が良いわ」という先入観にしばられて、他の情報を無視してしまうという感じです。
手段としてもっていたハンマーが、いつの間にかハンマーを使うことありきで、物事を考えてしまうようになるのですね。
3 手段の目的化について
手段が目的化してしまうと、いつの間にか本来の目的とは違った行動に時間や労力を割いてしまうわけです。
これが手段の目的化の大きなデメリットです。
時間と労力を浪費してしまう手段の目的化ですが、悲しいことに、しばしば、起こりがちだと私は思っています。
それはあまり望ましいことではないですよね。
ちょっと、先の小学校の図工の例で、手段の目的化について考えてみます。
「作品を作るため」という目的のためにハンマーを使うという手段があるのですが、いつの間にか、「ハンマーを使うこと」が目的にすり替わってしまっているようです。
まぁとりあえず、使いたいという気持ちはすごくよくわかります。
私だってやりました。
本来イスや机の釘をたたくという目的のために持ったのではないことは明白です。
ですが、ハンマーをもっただけで、「とりあえず、ハンマーを使う」、「使いたい」という思考に駆られるのですから、恐ろしいものです…
しかし、こうした手段が目的化してしまうことは、ハンマーにかぎらず、しばしば起こるのではないかと思います。
皆さんも仕事中や日常を思い返してみて、手段が目的化してしまっていることはないかぜひ、考えてみてください。
「確証バイアス」の陰に隠れて、意外と潜んでいるかもしれません。
4 手段の目的化を防ぐためには?
「なんのために~するのか」という思考を緩めてしまうと、手段の目的化は、起こりやすくなると思います。
ですので、手段の目的化を防ぐためには、「なんのために~するのか」を考え続けるのが良さそうです。
これは、学校でも、会社などでも同じだと思います。
ある手段を使って、何かをする際には、「なんのために~するのか」と考えるようにする。
そして、それを繰り返すことで、思考の習慣化を図るようにします。
多くの人に、「なんのために~するのか」ということを考える習慣がついてくれば、手段の目的化は大分防げるようになるのではないでしょうか。
手段の目的化の防止に関しては、この「なんのために~するのか」という思考は非常に有効だと思いますので、しっかりと子どもたちにも紹介していきたいと思います。
ちょっと注意が必要だなと感じていることがあります。
それは、「なんのために」を考えすぎると行動を起こせなくなる要因にもなりかねないということです。
思考のベクトルによっては、「やらない理由探し」みたいな方向に考えが突き進みすぎてしまうこともあるのではないかと思います。
ですので、しっかりとバランスを考えながら、日常に取り入れていこうと考えています。
以上、手段の目的化についてでした。
書いていて、自分自身も気を付けなければと感じました。
皆さんもぜひ、ご自分の日常を振り返ってみてください。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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