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世話役会議REPORTー連携力を活かした食支援を目指してー(8/6開催)

参画するメンバーたち相互の情報共有、議論の場として隔月で開催している世話役会議の様子を残していきます。

開催日時:2024年8月6日19:00~20:30(オンライン)
参加メンバー(順不同・敬称略):
・坪山 (笠岡)宜代(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国際災害栄養研究室)
・上島 安裕(一般社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV))
・齋藤 由里子/原 裕樹(公益財団法人 味の素ファンデーション) 
・事務局 須賀/鳥山(Crops-Food x ESD Design-)

少人数ながら、前回(6月開催)の会議に不参加だったメンバーを交えて活発な意見交換が展開された今回。能登での復興に向けた継続的な支援や夏の水害発生による被災地域での支援状況に加えて、たべぷろ連携で実現している平時の取り組みについて報告がありました。

平時から行政管理栄養士と民間団体が連携する重要性

たべぷろ世話役メンバーが勢ぞろいした研修会が7月21日に行われました。
全国保健所管理栄養士会主催のスキルアップ講座の一環として「官民連携による被災地栄養・食生活支援について」をテーマに企画されたパネルディスカッションに、150人以上の行政管理栄養士が参加しました。
日本栄養士会の常任理事で、兵庫県庁保健・栄養指導部門のリーダーを担う諸岡氏がファシリテーターを務め、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下JVOAD)明城氏、ピースボート災害支援センター(以下PBV)上島氏、日本栄養士会下浦先生(2022年度までたべぷろ世話人を務める)らが登壇。JVOAD明城氏から災害中間支援組織の役割や被災地での官民連携の動き、PBV上島氏からは支援調整や食支援改善状況について、能登でのリアルな実態に基づく解説がありました。

活発に繰り広げられた質疑応答や事後アンケートの内容からは、参加者の関心の高さがうかがえました。「混乱している状況下で的確な現状把握や評価、査定を行うには、平時からの備えと担当者の力量が問われると思う」、「『民間支援団体にもっと頼っていい』という言葉を心強く感じた」といった感想から、災害時に民間支援団体と迅速かつ適切な連携体制を組んでいく彼らのコーディネート力の強化に期待が高まります。

続いて、能登半島地震での支援状況の進捗について簡潔にご紹介します。

キッチンカーを利用した被災地の食支援

PBVが2023年末に立ち上げたフェーズフリーな食支援を目指すキッチンカープロジェクト「FooBour(フーバー)」。能登半島での発災後は被害が大きかった珠洲市に設置。春以降は、地域のスーパーが倒壊し地元に商店もなく支援がなかなか行き届かなかった大谷地区の住民を対象に食材を届ける仕組みとして機能しています。
この8月には2台目を導入し、佐賀県大町町を舞台に全国発となる移動型無人コミュニティフリッジとして平時の活用が始動しています。

料理教室運営を通じたコミュニティ再生

地域コミュニティ再生を目的とした後方支援を進めている味の素ファンデーション(以下TAF)は、能登の各被災地域で支援拠点をもつPBVや災害NGO結、レスキューストックヤードなどのたべぷろメンバー団体の協力のもと各行政への提案が実現。7月後半に輪島市、能登町、穴水町の3地域で、住民主体で自律的に行う料理教室運営研修会を実施しました。11月には珠洲での開催を予定しています。詳細はぜひレポート記事でご確認ください。

災害時の調理支援体制づくりに向けて

「災害時の食と栄養」の問題を解決に導くうえで必要不可欠な食事提供現場での衛生管理。炊き出し現場での課題を踏まえ、食支援に関わる誰しもが衛生管理を徹底するためのアプローチについて再度議題があがりました。
世話役会議直後の8月8日には、調理技術の発達と養成教育の水準向上を目指す調理技術教育学会にて、災害時に柔軟に活躍できる人材育成に向けての議論の場がもたれていますので、次回の会議のレポートで報告したいと思います。

各地域での実践を後押しする「食の防災」啓発活動

TAFの「食の防災」を掲げた地道な啓発は、取り組む地域、対象者ともに広がりをみせています。埼玉県の子ども食堂運営団体向けに開催された「子ども食堂防災シンポジウム」での講演もその一つ。これまでもタッグを重ねてきた全国の子ども食堂の支援を推進するむすびえと、愛媛県宇和島市を拠点に官民連携で災害に強いまちづくりに取り組む宇和島グランマとともに、試食を伴ったワークショップを行いました。食の防災との親和性が高い子ども食堂を対象とした啓発は今後も積極的に続けていくことを目指しています。
(2023年12月に行ったJVOAD全国フォーラムでも、むすびえと宇和島グランマとともに登壇しています。レポートをぜひご参照ください)

自助互助領域での取り組みも進んでいます。
TAF
制作による「どんなときも ♪ レシピ集」は完成まであともう少し!となりました。調理環境や食材の制約下でも栄養に配慮したおいしい食事づくりを可能にする一冊は、日々の生活に役立つ実践的でフェーズフリーなツール。東日本大震災の被災経験に基づく参考情報もコラムとして盛り込んでいます。

9月末~10月上旬完成予定!乞うご期待♪

8月初旬には、埼玉県と立教大学新座キャンパスの学生たちが連携して開催した住民向けのイベントに伺い、災害時の食の問題についてお話してきました。こちらでも「どんなときも♪レシピ集」をご紹介しています。

世話役会議での議論や実際の取り組みについて、これからも定期的に記録していきます。ぜひご注目ください。


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